2 フレックスタイム制を採用するには、次の2点が要件となります。

フレックスタイム制を導入するために必要な手続きは

1  始業、終業時刻の労働者による決定
 就業規則その他これに準ずるもので始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨定めること(就業規則例参照)。
 始業及び終業時刻の両方を労働者の決定に委ねることが必要です。例えば、始業時刻が決められていて、終業時刻のみ労働者の決定に委ねるものはフレックスタイム制には当たりません。
 なお、労使協定で定めるとされている清算期間、清算期間における総労働時間は、一面では労働者の始業及び終業の時刻に係る事項でもあるので、就業規則でも、規定する必要があります。

2  労使で協定
 労使協定でフレックスタイム制の基本的枠組みを定めること。
 この労使協定は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と締結するものです。

労使協定で定める基本的枠組み
イ 対象となる労働者の範囲
 フレックスタイム制を適用する労働者の範囲を明確に定めることが必要です。この場合、対象となる労働者の範囲を「全労働者」あるいは「特定の職種の労働者」と定めることができます。個人ごと、課ごと、グループごと等様々な範囲も考えられます。
ロ 清算期間
 清算期間は、労働契約上労働者が労働すべき時間を定める期間で、1か月以内とされています。1か月単位のほかに、1週間単位等も可能です。賃金計算期間と合わせて1 か月とする場合が一般的のようです。
 清算期間については、その長さと起算日を定めることが必要です。単に「1か月」とせず、毎月1日から月末までなどと定めることが必要です。
ハ 清算期間における総労働時間
 労働契約上労働者が清算期間内において労働すべき時間として定められている時間のことで、いわゆる清算期間における所定労働時間のことです。
 この時間は、清算期間を平均し1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定める必要があります。

清算期間における総労働時間≦40×清算期間の暦日数7=清算期間における
法定労働時間の総枠

清算期間1週の法定労働時間が
40時間の場合
(法定労働時間の総枠)
31日の場合177.1 時間
30日の場合171.4 時間
29日の場合165.7 時間
28日の場合160.0 時間
 労使協定では、清算期間における法定労働時間の総枠の範囲内で、例えば1か月160時間というように各清算期間を通じて一律の時間を定める方法のほか、清算期間における所定労働日を定め、所定労働日1日当たり7時間というような定めをすることもできます。
ニ 標準となる1日の労働時間
 標準となる1日の労働時間とは、清算期間内における総労働時間を、その期間における所定労働日数で除したものです。
 フレックスタイム制を採用している労働者がその清算期間内において、有給休暇を取得したときには、その取得した日については、標準となる労働時間を労働したものとして取り扱うこととなります。
ホ コアタイム、フレキシブルタイムの開始及び終了の時刻
 コアタイム、フレキシブルタイム等を設ける場合は必ず労使協定でその開始及び終了時刻を定めることとされています。  なお、コアタイム等については、法令上必ずしも設けなければならないものではありません。


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