ものづくり基盤技術基本計画(案)について(回答)
平成12年8月17日
文   部   省
通 商 産 業 省
労   働   省
概 要  ものづくり基盤技術振興基本法第9条第2項に基づき以下の事項について定めます。
・ものづくり基盤技術の振興に関する基本的な方針
(法第9条第2項第1号)
・ものづくり基盤技術の研究開発に関する事項
(同項第2号)
・ものづくり労働者の確保等に関する事項
(同項第3号)
・ものづくり基盤産業の育成に関する事項
(同項第4号)
・ものづくり基盤技術に係る学習の振興に関する事項
(同項第5号)
・その他ものづくり基盤技術の振興に関し必要な事項
(同項第6号)
(別添1 「ものづくり基盤技術」、「ものづくり基盤産業」の定義 参照)

 この計画の原案の策定事務を現在文部省、通商産業省及び労働省で行っているところでありますが、 さらに、ものづくり基盤技術の関係者等の意見の反映の一環として中央職業能力開発審議会の御意見を伺ったほか、 ものづくり基盤技術基本計画懇談会を文部省、通商産業省及び労働省の3省共同で開催して、検討いただきました。 (第1回:3月29日、第2回:5月19日)。
根拠法令  ものづくり基盤技術振興基本法(平成11年法律第2号)
 第9条
 (別添2 「ものづくり基盤技術振興基本法(抄)」参照)
趣旨・目的・背景  近年、就業構造の変化や海外の地域における工業化の進展等による競争条件の変化、その他の経済の多様かつ構造的な 変化による影響を受け、国内総生産に占める製造業の割合が低下するとともにものづくり基盤技術の継承が困難になっています。
 このような事態に対処して、我が国の国民経済が国の基幹的な産業である製造業の発展を通じて今後とも健全に発展していくためには、ものづくり基盤技術に関する能力を尊重する社会的気運を醸成しつつ、ものづくり基盤技術の積極的な振興を図ることが不可欠であるとの認識の下、ものづくり基盤技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、平成11年3月に「ものづくり基盤技術振興基本法」が成立し、同年6月に施行されました。
 「ものづくり基盤技術基本計画」は、ものづくり基盤技術の振興に関する施策を政府が総合的かつ計画的に推進するた めに策定されるものです。
国民に与える影響
・範囲等
 「ものづくり基盤技術基本計画」に基づき、ものづくり基盤技術の振興に関する施策が総合的かつ計画的に推進されることにより、ものづくり基盤技術の水準の維持及び向上が図られ、国民経済の健全な発展につながることになります。

☆内容を詳しく知りたい方はここ(「計画(案)全文」)をクリックして下さい。
 御意見等の内容  御意見等に対する考え方
ものづくりを産業者のみに限定せず、1人でも多くの国民がものづくりに係わるようすべき。 御指摘のとおり、広く国民一般がものづくりに関心を持ち、関わっていくことが重要と考えています。 このため、基本計画(案)においても第6章において、国民への普及啓発及び広報、 ものづくり基盤技術の関係者等の意見の国の施策への反映などを記述しているところです。 又、その趣旨から第6章第3節に「マスコミの積極的活用等による広報活動」との文言を追加しました。
「計画の目標」「目標年次」
「投入予算」等を計画に明記すべき。
ものづくり基盤技術基本計画は、法第9条で定められた事項について、政府全体としてのものづくり基盤技術の重要性の認識や、各省で進めていた施策の総合的・計画的推進を図ることを明確に位置づけるものであり、これにより、ものづくり基盤技術の振興に関して、効果的、効率的な施策展開を図るものです。なお、政府策定の基本計画については、具体的な予算措置や各種数値目標を書かないものが大半でありますので、その横並び上明記しておりません。
基本計画に基づく実施計画や全国各地域での計画の策定について定めてはどうか。 本計画策定後は、本計画に従って積極的にものづくり基盤技術の振興を図っていく予定です。また、法第5条においても地方公共団体の責務として、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務が規定されているところです。このため、本計画策定後、計画に従い各地域においてものづくり基盤技術の振興に関する施策の策定、及び実施が行われるものと考えております。
第1章第1節の中に、ものづくり基盤技術だけでなく、 ものづくり労働者の重要性についても明記すべき。 第1章第1節には、「基盤技術に係る業務に従事する労働者は、・・・重要な役割を果たしてきた。」と記述しているところであり、御指摘の「ものづくり労働者の重要性」については十分に認識しているところです。
市民の役割について明示すべき。 御指摘のとおり、市民がものづくりについて関心を持ち、ものづくりに関する理解を深めていただくことが重要と考えております。このため、計画(案)第6章において、国民への普及啓発、ものづくり基盤技術の関係者等の意見の国の施策への反映などを記述しているところです。また、一般市民に対する普及啓発、公民館・科学館・博物館における体験参加型の活動等より、青少年等に対してものづくりに関する理解を深めてまいりたいと考えております。
新規創業と同様既存企業についても手厚い施策が必要と思われる。 御指摘のとおり、新規創業だけでなく、既存企業についても支援が必要と考えております。
計画(案)においても、第4章第1節において、ものづくり事業者の技術の高度化や新分野への進出について記述しているところです。また、第4章第2節においても、中小企業の経営基盤の強化や経営の革新について記述しているところです。
ものづくりには直接使われなくなった「旋盤」や「研削」等の「基本的技能・基盤技能」について職業能力の開発及び向上の施策とし て追加できないか。 「第3章第2節 職業能力の開発及び向上」の中で記載のある、ものづくり労働者の技能の向上を図るための職業訓練等の中には、「基本技能・基盤技能」についての職業能力の開発及び向上も含んでおり、御指摘の点は、計画(案)の中に既に盛り込んでいるものと考えております。
現在、ものづくりに関する施設、制度が整備されているが、有機的連携が十分とは言えないため、これを地域の各企業にとって活用し やすいようにすべき。 現在、平成10年12月成立の新事業創出促進法に従って、地域において中核的な機関を中心として、既存の各種支援機関を統合・ネットワーク化し、個人あるいは企業が遭遇する技術面、資金面、人材面等の課題に対して適切な支援を行う総合的な支援体制を整備しているところであり、その趣旨を第4章2.「新規創業等に係る支援機能の充実等」に記述しているところです(現在、45の機関を中核的支援機関として指定)。 また、本年5月に改正された中小企業支援法に従って、今後、都道府県の公設試験研究機関等に加え、各種中小企業支援機関を含めた総合的な連携体制を図ってまいる予定であり、第4章第2節1.「中小企業の経営基盤の強化」にその趣旨を記述しているところです。
ものづくり労働者同士、さらには消費者とものづくり労働者の交流により、 仕事の意味を再確認させるとと もに、技能の高度化・複合化を図るべき。 ものづくりの重要性が再確認されるためには、広く国民がものづくり労働者の有する技能の必要性、重要性について理解を深めるとともに、ものづくり労動者自身も、その技能に磨きをかけることが重要と考えています。このため、御指摘の点を踏まえつつ、計画(案)中「第3章第3節2.技能尊重気運の醸成」を記述しています。
 また、技能の高度化・複合化は今後重要になっていくものとの認識は持っているところであり、このような趣旨も踏まえて「第3章 第2節 職業能力の開発及び向上」を記述しているところです。
第6章において関係者の意見の反映が挙げられている が、国民へのフィードバックの仕組みをもうけてはどうか。 御指摘のとおり、施策の状況を国民に公開していくことは重要と考えており、計画(案)においても第6章において、国民への普及啓発及び広報、ものづくり基盤技術の関係者等の意見の国の施策への反映などを記述しているところです。政府が進める施策については、今後とも国民への広報等によりその施策の実施状況について知らせてまいりたいと考えております。
ものづくり基盤技術の現状及び将来像を明らかにするため、調査研究の推進が求められる。 ものづくり基盤技術の振興に関する施策を推進するに当たっては、ものづくり基盤技術の現状等について実態把握を行うことは極めて重要と考えており、今後ともその調査研究を行って参りたいと考えております。また、その趣旨から第4章第2節1.「中小企業の経営基盤の強化」の項に「中小企業の技術力に係る実態把握に努め」の文言を追加しました。
施策の推進について適正な評価、チェックが必要。 御指摘のとおり、ものづくり基盤技術の振興にあたっては、その施策の適正な評価、チェックが必要と考えており、適宜その施策の推進について評価、チェックを行ってまいりたいと考えております。
基盤技術の維持継承のためのマニュアルとテキストづくりを進める必要がある。 第2章第1節2.(3)「ものづくりに係る技能・ノウハウの客観化・マニュアル化」において、ものづくり事業者に蓄積された技能・ノウハウを情報技術の活用などにより客観化し、データベースやマニュアルとし体型化・保管することを記述しています。
地域の職業教育、技術・技能指導機関について文部省、通商産業省、労働省の3省 系列の一元化を図ってほしい。 ものづくり基盤技術基本計画は、政府全体としてものづくり基盤技術の重要性の認識や、各省で進めていた施策の総合的・計画的推進を図ることを明確に位置づけるもので、これにより、ものづくり基盤技術の振興に関して、効果的、効率的な施策展開を図るものです。計画策定後は、政府一体として、ものづくり基盤技術の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
大学の地域共同センターに雑務を含めた事務的な業務を担当する人がいない現状を解消すべき。 御指摘の共同研究センターの事務的な支援体制については、研究協力課の設置等により進めてきたところでありますが、その充実を図ってまいりたいと考えております。共同研究センターにおける研究等をはじめとした研究開発の推進については、第2章第2節「ものづくり事業者と大学等の連携」で記述しているところです。
企業サイドが職業教育の担当力を減少させつつある中で、今後の基盤技術施策を総合的に立案する「職業教育庁」のような部署、事務局が必要。また、職業教育基本法を立案し、その中で基盤技術について扱うことが望ましい。 現在策定中の「ものづくり基盤技術基本計画」はものづくり基盤技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されるものであり、当該計画を推進していくことが重要なものと考えています。
普通学科、総合学科又は理数学科を置く高等学校にお いてものづくりに係る実験・実習設備を充実すべきではないか。 第5章第1節(2)「高等学校における専門教育の充実」において、専門高校における実験・実習施設・設備の整備が必要である旨を記述しております。学校教育上必要となる実習設備等の整備は重要であり、総合学科等におけるものづくり等に必要となる設備整備に係る経費の一部を国が負担するなど、ものづくり教育に係る設備の整備を推進しています。
ものづくり基盤技術基本計画案、第5章第1節中の小・中・高等学校のものづくりに関する教科について「関係教科」と記述されているが、内容を明確化するために「技術に関わる教科・科目」と訂正すべきではないか。 ものづくり教育は、「技術・家庭」のみならず、「図画工作」、「美術」、「社会」などでも、ものを作る楽しさや完成の喜びを体得させたり、ものづくりの職場見学などの体験的な学習が行われています。そのため、第5章第1節においては、技術に関係のある教科・科目を含め、ものづくりに関係する教科・科目を総称するため、「関係教科」という記述としております。
小学校と地域産業界との連携を図るべきではないか。 第5章第1節「初等中等教育におけるものづくり教育の充実」の中で、学校や地 域産業界との連携を図り、地域の熟練ものづくり労働者などの教育力を積極的に 活用するとともに、地域の製造現場等における職場見学の実施などの取組みを推進する旨を記述しております。
教員に対してものづくりを体験するような各種の研修 機会を充実するべきではないか。また、教員養成大学・学部においてものづくり教育に係る実習・実験施設・設備の導入を図る必要があるのではないか。 第5章第1節「学校教育におけるものづくり教育の充実」の中に、ものづくりを担当する教員に対する各種研修の充実が必要である旨を記述しているところです。 また、教員養成大学・学部の実習設備の整備等の導入については、同節で、大学における学生がものづくりを行うための実験基盤施設設備の整備について記述しているところです。
各地域に企業・学校・住民の連携のもと、地域住民の ものづくり活動の企画運営等を行う協議会などを設置すべきである。 第2章第2節「ものづくり事業者と大学等の連携」、第5章第1節「学校教育におけるものづくり教育の充実」の中で、学校と地域や産業界との連携を推進する旨記述しております。なお、各地方公共団体等において、ものづくりの協議会などを設ける取組が行われているところもあり、そのような取組みを今後一層推進してまいります。
市町村の公民館等に工作する場を設け、ものづくりを行えるようにするべきである。また、成人が青少年にものづくりを指導できるような場を作っていくことが必要ではないか。 第5章第2節「ものづくりに係る生涯学習の振興」において、公民館等の社会教育施設で行われるものづくりの推進について記述しております。生涯学習の振興の観点からも、そうした取組みは重要と考えており、今後とも一層推進してまいります。
産学官の連携によるものづくり推進のために、研究指導、技術指導、開発指導等を行う研究開発機関の設立が求められる。また、当該機関の職員が大学等の研究業務を行い、教育効果の高揚を図ることが求められる。 第2章第2節「ものづくり事業者と大学等の連携」において、共同研究センター等における研究開発の推進について記述しておりますが、当該機関においては、産学官の連携により研究指導、技術指導、開発指導等が行われ、また、職員が大学等の研究業務を行う取組みがなされています。産学官の連携により、大学等の教育効果の高揚を図ることは、非常に重要であり、そうした取組みを今後とも一層推進してまいります。
(注)  今回添付してある「ものづくり基盤技術基本計画(案)」については、中央職業能力開発審議会、ものづくり基盤技術基本計画懇談会(文部省、通商産業省及び労働省で共同開催)等での議論を踏まえたものとなっております。従って、4月6日から4月17日にかけて意見募集を行った「ものづくり基盤技術基本計画(案)」から若干の修文が施されています。
 担当課室:労働省職業能力開発局能力開発課
 御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。



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