タイトル:労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会報告書について

発  表:平成12年6月6日(火)
担  当:労働基準局安全衛生部労働衛生課
                 電 話 03-3593-1211(内線5492)
                     03-3502-6755(夜間直通)


1 労働省では、労働者の心の健康づくり対策について総合的に検討するため、昨年
 5月から「労働者のメンタルヘルスに関する検討会」(座長  櫻井治彦  中央労働
 災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)を開催してきたが、今般、別添のと
 おり報告書がとりまとめられた。概要は次のとおりである。

(1)本報告書は、事業場における心の健康づくり対策の基本的な進め方、心の健康
  づくり対策について事業場で実施すべき事項、心の健康づくり対策について行政
  及び関係団体が支援すべき事項等を整理したものである。
   事業者に対しては、各事業場の実態に応じて実施可能な部分から取り組むこと
  を、行政に対しては、その実現のための援助等を要望する。

(2)仕事や職業生活に関する強いストレスを感じる労働者の割合は年々増加し、平
  成9年には約63%となった。今後、労働者の就職意識の変化や働き方の多様化、
  情報通信技術の進歩等の中で、労働者の心の健康問題は、さらに増大し、かつ多
  様化すると予想され、事業場における心の健康づくり対策の推進が強く求められ
  ている。

(3)事業場における心の健康づくり対策は、労働者の健康の保持増進対策の一環と
  しての意義があり、また、労働生活の質の向上、ひいては事業場の生産性及び活
  力の向上に寄与する。さらに、企業の生産性向上及び安全確保上のリスクマネジ
  メントとしての意義もある。

(4)心の健康については、心の健康問題が周囲の人々にとって理解されにくい問題
  であり、プライバシーの保護等が重要となる。また、人事労務管理と関連する要
  因によって影響を受けるため、人事労務管理と連携する必要がある。また、家庭
  ・個人生活等の影響を受けている場合も多い。

(5)心の健康づくり対策は、(6)に示す4つのケアが密接に連携されつつ、継続
  的かつ計画的に取り組まれることが望まれる。このため、各事業場において、
  「心の健康づくり計画」を策定することが有効であり、この中で事業者自らが、
  心の健康づくり対策を積極的に実施することを表明することが効果的である。
   心の健康づくり計画で定める事項は次のとおりである。
   @ 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
   A 事業場における問題点の把握及び4つのケアの実施に関すること
   B 心の健康づくりを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に
    関すること
   C プライバシーへの配慮に関すること
   D その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

(6)事業場における心の健康づくり対策の4つのケアの主な内容は以下のとおりで
  ある。
   @ セルフケア(労働者が自ら行うストレスへの気づきと対処)
    ・ 心の健康づくりは、労働者自身がセルフケアを積極的に実施することか
     ら始まる。
    ・ セルフケアに関する知識、技術等が、労働者に提供される必要がある。
    ・ 労働者へのストレス等を知る機会の提供や、相談体制の整備が求められ
     る。
   A ラインによるケア(管理監督者が行う職場環境等の改善と相談への対応)
    ・ 作業環境、作業方法、労働時間等の職場環境等を改善することが心の健
     康づくり対策に寄与する。
    ・ 管理監督者が、個々の労働者に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的
     負荷、責任等が生じないようにする等の配慮を行う必要がある。
    ・ 管理監督者が、心の健康問題を持つ労働者に気づいて、話を聞いたり、
     必要な助言を行うことも、心の健康問題の早期発見及び早期対処の上で有
     効である。
    ・ 管理監督者に対する心の健康に関する教育研修が実施される必要がある。
   B 事業場内産業保健スタッフ等によるケア(産業医等による専門的ケア) 
    ・ 事業場内産業保健スタッフ等が、職場環境等について評価し、管理監督
     者と協力してその改善を図ることが有効である。
    ・ 事業場内に、労働者の心の健康相談に応ずる相談機能を持つことが有効
     である。また、事業場内産業保健スタッフ等は、専門的な治療を要する労
     働者への適切な事業場外資源の紹介し、心の健康問題を有する労働者の、
     職場復帰及び職場適応を指導及び支援する。
    ・ 事業場内産業保健スタッフ等は、必要な知識及び技術を習得する必要が
     ある。
   C 事業場外資源によるケア(事業場外の専門機関によるケア)
    ・ 事業場外の専門機関等との連携が重要である。
    ・ 事業場外の専門機関には、地域産業保健センター、産業保健推進センタ
     ー、中央労働災害防止協会等がある。
    ・ 家族、地域医療機関、地域保健機関等との連携が有効な場合もある。


2 今後、労働省としては、本報告書を踏まえて、「心の健康づくり指針(仮称)」
 を策定し、関係事業者団体等に対して周知することとしている。

 

 心の健康づくりの基本的な考え方
 4つのケアにおける各担当者等の役割
 労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会開催要綱
 労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会メンバー
 労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会開催状況


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