今年度の目安は今世紀最後のものとなるものであることから、これがどのように決まるかが我が国の最低賃金の将来に大変大きな影響を及ぼすものとなるため、本年度の審議については、慎重に対応する必要があると考える。 |
具体的な目安の審議に当たっては、賃金改定状況調査の第4表の賃金上昇率を従来どおり重要な参考資料として取り扱うことには異存はないが、その一方、昨今の経済状況をみると、低成長経済への移行など構造的な変化が進み、ますます複雑で多様な様相を呈しており、第4表の賃金上昇率だけを尊重すべきではなく、他の社会経済情勢について総合的に検討を加え、適切な目安を決定することが重要である。 |
また、我が国の経営状況をみると、3月期決算に象徴されているように惨憺たる有様であり、昨年度赤字決算を出した企業は過去最高の数に上り、企業倒産件数は依然として多い状況にあるなど、現在の景況としてはいまだ厳しい状況にあるといわざるを得ない。とりわけ最低賃金の適用労働者の多い中小企業については、特に厳しい状況にある。そのような中で、中小企業をはじめとする経営者は必死に経営を行っている事実を踏まえるべきである。 |
以上のようなことから、今年度は過去のトレンドに引きずられることなく大きなカーブを切るべきであり、将来にわたる最低賃金制度の健全な発展を期すためにも、最低賃金額を引き上げるべきではない。
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