1 日 時 | 平成11年4月28日(水) 午前10時から午前10時30分まで | |
2 場 所 | 労働省省議室 | |
3 出席者 | 公益代表委員 | 岡部委員、桑原委員、神代会長、辻山委員、嶺委員、渡辺委員 |
労働者代表委員 | 小柳委員、加藤委員、金子委員、久保委員、滝澤委員、山口委員、山根委員 | |
使用者代表委員 | 浅澤委員、石井委員、小柳委員、栗原委員、坂口委員、渡辺委員 | |
事務局 | 鈴木賃金時間部長、羽毛田賃金課長、宇野主任中央賃金指導官 | |
4 議 題 | ・ 目安制度について | |
5 議事内容 | 別紙のとおり | |
6 配布資料 | 目安制度のあり方に関する検討の進め方について(案) |
(別紙)
○会長
ただいまから第147回中央最低賃金審議会を開催いたします。前回の審議会で労側から「目安制度のあり方」について、今後審議会において議論をしていただきたい旨のご提案がありました。使用者側が持ち帰り検討することとなっておりましたので、まず使用者側のご意見をお伺いしたいと思います。
○委員
私から説明させていただきます。前回労働側からいろいろな問題提起がなされまして、私どもも一応拝見をさせていただきました。個々についてはいろいろな問題が私どもとしてはあるのですが、基本的には5年をメドにして、いままでやってきた制度はどういう問題があるのかということを勉強をしていく、その過程の中で、直すことがあればお互いの理解の中で見直していくことについては、それはそれでよろしいのではないか、と思っております。したがって基本的な部分としては、この中身についてはいろいろ見解が違う部分がありますが、そういった基本的な部分については、そういう方向で勉強をしていくのがよろしいのではないか、というふうに思っています。
ただ、拝見させていただいて、どういう問題があるのかという指摘はされているのですが、その問題になったもともとの要因はどこにあるのかというのは、これから勉強をしていくことにもなると思うのです。これは制度本来はちゃんとしていたにもかかわらず、労使のお互いのやり取りの中と言いますか、あるいは労働側が非常に強行にいろいろなことをやった結果として、制度自体が当初の趣旨に合わない形の中で格差が生じたとか、あるいはプラスアルファーが多く出たことによって、長年の中で労働側が指摘するような問題点が生じたと思うのです。要するにいままでマイナスということはないわけですので、結果として物事というのは、プラスがあればマイナスがある。そういった中で全体の平均というもの、あるいはバランスというものが動くだろうと思っているのですが、そこの部分がない中で制度を運用してきた。その結果のツケとして、労働側がご指摘のような格差の問題とか、そういった問題も生じてきていると思うのです。
あるいは、本来の趣旨はこういった目安というのは、額でやるべきところだったはずです。これは使用者側にも多少責任のある部分もあるのですが、都合のいいところで額を使ったり、率を使ったり、いろいろな形の中でやってきたものですから、結果として当初考えているような運用となってこなかったわけです。その結果として問題が生じているといったこともありますので、そういったことも含めて、どういう形の中で運用をきちっと考えていくのかということも、これから制度を問題のない形の中で運用をしようとすれば、そういったことも含めて、幅広い議論もしていかなければいけないのではないかと思っています。
繰り返しになりますが、制度本来の考え方として、お互いがいろいろな条件を考えてみて、納得できる方向の中で見直していく。制度はきちっとしてあって、自分たちのやり取りも的確にその趣旨に沿ってやってきたにもかかわらず、その最賃自体がどうも問題を抱えてしまっている。これは経済社会の変化の問題とか、いろいろな要因の中で、どうも実態に合わなくなってきている、ということをベースにして考えていくというのが、基本的な筋道としてよろしいのではないか、というふうに思っています。
大枠としては、そういったことの基本線を、お互いにしっかり持った中で、こういった問題を幅広く勉強をし、そして、こういう所はどう考えても見直していく必要があるのではないか、あるいは実態に合わないのではないのかという事について、勉強をした結果を制度に反映していくということでないといけないのではないか。最初からここと、ここの部分は、検討をして直していくべきだという問題提起の仕方は、私はこれからの制度のあり方を考える場合には、必ずしもいいアプローチの仕方ではないと思っていますので、基本部分としてはそういった所を経営側としては、あらかじめはっきり申し上げておきたいと思っています。
個々の問題については、表示単位の問題、目安の作り方の問題等いろいろあるのですが、これについて、いちいちここでコメントをしてよければコメントをしますが、それはこれからの問題だとおっしゃれば、あえて申し上げるつもりはありません。
○会長
基本的なお考えをいま伺ったところで、労働側の感触も伺ってみたいと思いますが、いかがですか。
○委員
総体的には良いと思うのですが、格差の要因等については少し考え方も違うので、それは別途いろいろな話の中で、お互いが意見を闘い合わせたほうがいいと思いますが、全体的にはそういうところで結構と思います。
○会長
事務局で何か進め方について腹案がありましたら示していただけませんか。
○事務局
ペーパーを用意しておりますので、お配りして説明したいと思います。「目安制度のあり方に関する検討の進め方について(案)」について説明させていただきます。事務局で叩き台としてこのような進め方で進んでいっていただいてはどうか、ということで提案させていただくものです。
最初の4行ですが、この部分は前回からの「目安制度のあり方」に関します経緯を書いております。前回は平成7年4月28日の全員協議会報告で締めくくられたわけです。平成7年度からその見直しに基づく目安制度が運用されてきているわけです。その報告書のくだりで、今後の見直しに関しても触れられているわけです。すでにご案内のとおりですが、1つには前回、20の指標によりまして、総合指標を作成の上、これを各ランクに振り分けするという作業を行いました。こういった各都道府県のランク区分への振り分け等ランク区分の問題につきましては、今後そういった指標に基づきまして、5年ごとに定期的に見直しをしましょうということになっています。
また、2つ目には、したがいまして「その他の事項も含め」ですから、ランク区分も含めということに当然なるわけですが、ランク区分及びランク区分以外のことも含めまして、「目安制度のあり方」につきましては、こちらのほうは「概ね」というふうに、ややボカしていますが、概ね5年ごとに見直しを行うことが適当であるとされているところです。こういった背景もありまして、かつ労働側のほうからもそういった何らかの見直しといいますか、検討をしてはどうかという提案があった、ということになるわけです。
私どもの提案がその次に4行書いてあります。この部分のポイントは、その検討をしていくとしても、その際の前提条件ですが、目安制度が必要か否かにつきましては、先ほどの使用者側の話からも伺えますように、労使いずれの側からも、これを否定する意見はないと考えられますので、目安制度は維持していくという前提で、その範囲で、できるだけ維持していくとすれば、可能な限り経済実態を踏まえて適切なものに、という観点から見直しをしていってはどうかということで、以下1、2という形での進め方を提案しております。
具体的に1に掲げられている事項は、これまでのそうした経緯等から見て、「目安制度のあり方」に関しまして検討をすべきものとして考えられる事項を、前広に列記させていただいたつもりです。したがいまして前広に議論をいただいて、議論の過程で公労使の皆様方の話し合いによりまして、合意の上でさらに重点的に今回の検討事項を絞り込んでいくということも考えられるわけですが、とりあえず新しい方もおられるということもありますし、前広にご議論をいただいてはどうかということで、提案させていただいています。
(1)ですが、「ランク区分、表示方法のあり方について」、前回以降の経済実態等を踏まえて見直すことについていかがか、検討をしていただいてはどうかということです。ランク区分につきましては、現在4ランクに47都道府県を区分しているわけですが、先ほどお話ししました定期見直しの振り分けの問題を含めまして、ランク区分のあり方についてどうすべきか。表示方法についてですが、現行では表示方法としましては、いまお話ししましたような4ランクごとに一律の引上げ額を表示されているわけですが、これについて今後このままでいいかどうかという辺りをご議論いただいてはどうかということです。
(2)の「表示単位期間のあり方について」ですが、これについては現在は日額と時間額の併用方式となっているわけですが、これにつきまして就業形態の多様化、パート労働者の実態等々を踏まえてどうすべきか、という辺りをご議論いただいてはどうかということです。
(3)ですが、「参考資料その他データのあり方について」ですが、現在これにつきましては、中央最低賃金審議会での目安審議における改定状況調査等々の問題、あるいは地方最低賃金審議会における最低賃金額の改定時における参考資料等も含めまして、改善の余地があるかどうかといったことについて、ご検討をいただいてはどうかということです。
2の「検討体制及び期間」についてです。(1)の「検討体制」ですが、これは従前の例に習いまして、全員協議会方式で検討することとしてはいかがかと、提案させていただいています。審議の状況等に応じまして細かい問題等、必要があれば小委員会等を設置することもその過程の中で考えていってはどうか、ということです。
(2)「検討期間」ですが、当面、平成11年度中のなんらかの取りまとめを目指して検討を進めるということでいかがかということで提案しておりますが、この趣旨は先ほどお話ししましたように、少なくともランク区分への振り分け等のランク区分につきましては、5年ごとの見直しということで、確定的な表現になっています。定期的な見直しということになっていますので、7年度から4年経過して、後に12年度の目安審議に間に合わせることが必要になりますので、この点を含めまして、この点につきましては可能な限り11年度中にまとめる必要があります。したがいまして、この点を含め、中間報告か、あるいは最終報告かは、今後の議論の行く末次第ですが、なんらかの取りまとめをする必要があるのではないかということで、このような表現とさせていただいているところです。いずれにしましても、進め方や、取りまとめ方についても、適宜ご相談をさせていただきながら進めていくこととしてはいかがかと考えているところです。事務局からの叩き台と言いますか提案につきましては以上です。
○会長
どうもありがとうございました。ただいまの説明についていかがですか。
○委員
基本的には勉強をしていくというか、これを検討していくわけですが、具体的にどんな形の、要するにいままでやったことについての問題点の実態を洗い出していくという形にするのか、どういうアプローチの仕方で、この1年間というか、1年間というのは難しいかもしれませんが、スタート点を考えておられるのか、ここ1、2回はどんな中身の中で議論をしていくのか、ということをお聞きしたいのが1つです。
2つ目に労働側に対して、前回提出された労働側のペーパーの問題点の中で、「目安のあり方」も含めて3つぐらいのことが書かれているのですが、最後にこのくだりの1、記の上の所に「公労使各側の現行目安制度に関する認識と見解を確認しておく必要がある」と、こうなっているのですが、この3つとか何か挙がった中で、労働側としてもいま事務局で話がありました現行目安制度については、基本的には了解していきましょうよと、こういう理解でいいのですね。3つ挙がって、こういう事をやるのか、こういう事をやるのかということがずうっと書いてあるのですが、要するにいままでのように中賃の目安を策定して提示して、地方に示す方式、全て地方でやる方式、それから地方最低賃金審議会の審議決定方式を廃止して、全て中賃でやる方式、この3つが挙がっているのです。要するにこの最後のくだりは現行目安制度について、お互いに納得した中でスタートをしましょうと、こういう意味でいいわけですか。
それはいま事務局が言われたように労働側も、現行目安制度をベースにして基本的にアレンジしましょうと、こういうことでいいのですね。3つも書いてあるから最終的にはどれを考えていかれるのかなと、こう思っていたのです。
○事務局
最初の御質問についてですが、もし、こういうことでご了解いただければ、進め方としましては、この夏前に過去の経緯等について、やや詳細に事務局から説明させていただくとともに、先ほどお話ししました各項目ごとにもさらにブレイクダウンして過去の労使のやり取り、あるいはそれにかかわる経済実態の変化、あるいは目安の変化とかいったものを、できるだけ前広に資料等を出しながら、フリートーキングをしていただいた上で、夏以降につきましてはそういったものを勉強等々を踏まえまして、さらに議論を深めていっていただくということを考えています。その進め方についても、さらにご要望の資料や内容のものがあれば適宜事務局で用意させていただくようにしたいとは思っています。大まかにはそのような進め方をさせていただければと思っています。
○会長
そういう方向でよろしいですか。
○委員
わかりました。
○委員
先ほど別の委員からお尋ねがあったことで、簡単にコメントをしておきたいと思います。いま事務局からご提案がありましたように、我々としましては現行目安制度の仕組みを維持していくことを前提ということで考えております。先ほど「3点書いているではないか」と言われたのですが、これは前提を確認したいということと、余分なことかも知れませんが、我々のほうも予断予見を入れずに、前回の平成7年の時の論議をしっかり踏まえて、先ほど説明のあったようなことをベースにして、率直な議論をしていきたい、というのが基本的な考え方です。改めて申し上げます。
○会長
概ね各側の御了解をいただいたようですので、議論を進めていく中でいろいろ個々の論点についてもまた御相談をさせていただくことにいたしまして、いま御提案のありました線に沿って今後の「目安制度のあり方」に関する検討については、全員協議会で審議をしていただくということにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○会長
それでは、以上で第147回中央最底賃金審議会は終了いたします。
以 上