第65回 中央家内労働審議会議事録

平成11年2月26日(金)
14:00〜15:30
通産省別館第825号会議室

1  開 会
 
2  議 事
(1)  平成10年度家内労働概況調査結果について
(2)  その他
 
3  閉 会
 
4  出席者
公益代表 神代委員、水野委員
家内労働者代表  奥島委員、島田委員、龍井委員、
豊田委員、原 委員、古川委員
委託者代表 勝田委員、上西委員、橋本委員

○会長
 この審議会は、家内労働審議会令第5条第2項の規定による定足数を満たしておりますので、成立しております。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をご出席いただきましてありがとうございます。御礼申し上げます。審議に先立ちまして、本審議会委員の一部交替がありましたので、事務局のほうから、交替された委員のご紹介をお願いいたします。

○事務局
 お手元に委員名簿を配付させていただいておりますが、家内労働者の代表委員で、平成10年11月27日付けをもって、従来の高浪委員から同じくセラミック産業労働組合連合会のほうから、副委員長である原委員に交替をされておりますので、ご紹介申し上げます。

○原委員
 ただいまご紹介いただきました原でございます。前任の高浪が、昨年8月の私どもの定期大会を機に勇退をされました。以降私が担当するということになりましたので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

○会長
 それでは審議に入りたいと思います。審議につきましてはお手元に配付してあります議事次第に沿って、順次進めていきたいと思います。
 まず第1議題の「平成10年度家内労働概況調査結果」について事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局
 (資料1について説明)

○会長
 どうもありがとうございました。それではご質問やご意見がありましたらどうぞ。

○委員
 ワープロ作業に従事する家内労働者数が、第1表で4,607名ですか。これは、地域的に言うとどの辺がいちばん多いのか、もしわかっていれば、その辺を教えてほしいなというのが1つあります。それからもう1つは、またこれを正確に作るのかなと思うのですが、そうしたときに都道府県別にずうっと、例えば31頁に家内労働従事者数と補助者、委託者、代理人と全部細かく出ている。ここは、下2桁四捨五入しないで全部出ているわけです。かなり正確な統計数値を取っていらっしゃると思うので、できたらこれを横に長くしていただいて、業種別にどうなっているか、いわゆる都府県別、業種別を出していただけると、若干全体像がつかめるかなあと、そういう感じがするのでその辺だけ。これは要望です。以上です。

○事務局
 第1点目ですが、この概況調査についての今日のご報告は、現在までに取りまとまっている状況についてのご報告をさせていただいております。最終的には都道府県別の数も取れるかと思いますが、その辺りについてはまだ集計中ですので、今回は全国レベルでの業種別状況についての報告にとどめさせていただいております。

○委員
 業種別の所で、金属製品が300人ほど増加になっています。これは、数としては少ないのでしょうが、何か増加の原因がわかるかどうか。それと、年々こういう形で家内労働者が減少していますが、家内労働をやめた方がその後どうなっているのか、何か傾向としてわかりますか。この2点について教えてください。

○事務局
 第1点目の、金属について増加しているのは、全体の中で特異な状況ですが、これについて具体的な原因等はまだつかんでおりません。可能であれば、関係団体等を通じて、情報を探ってみたいと思っています。
 第2点目の、やめたあとどのような立場になられるかということですが、関連する家内労働の実態調査で、現在の家内労働をやめたい労働者について、今後したいことというようなことを聞いております。これは平成8年のものですが、それによると、パートタイマーになりたいという方が全体の34.6%、今後家内労働を含め、仕事はしたくないという方が23.5%、正社員になりたいという方17.2%といった状況になっております。これはもちろん希望ということですので、実際にこのような仕事に、あるいは立場に就かれるかどうかということはわかりませんが、家内労働者側の意向としてこのような状況がうかがわれるということでございます。

○委員
 先ほど触れられたワープロ作業の所で伺います。前回にJILの在宅就業の調査のレポートを受けましたが、これを拝見する限り印刷、同関連の人の中で、ワープロ作業を扱っている人というふうに読めるのです。つまり、数字が減っていますね。減り方が上とほぼ平行している。つまり、内数としてというような読み方でよろしいのでしょうか。だから、ワープロだけで。家内労働のファジーな領域なわけですが、そこについて、この調査でフォローしているということでは、必ずしもないですね。それはまた別の領域になりますね。

○事務局
 ここでは平成2年の解釈に基づいて、委託者からフロッピー等の提供を受けて、与えられた原稿に従って、ワープロ入力作業を行う作業というふうなことを、家内労働として定義しておりますので、それに該当する方ということになります。この統計としては内数ということです。

○委員
 前回JILの調査のご指摘に対して出されたような「増加傾向にある」ということは、こことは整合しなくていいわけですね。

○事務局
 JILの調査においては、在宅形態での情報通信機器、電話、ファックス、パソコン等を活用した勤務形態について、幅広く調査を行っております。その中では例えばプログラミングとかデザイン、翻訳、設計、システムエンジニアリングといった、幅広い業態について調査を行っておりますので、必ずしもこれに限定されるものではないということでございます。

○委員
 ずうっと減ってきていますね。平成5年から約1,000名ほど減っているでしょう。5,500だったのがいまは4,500。この辺は何かあるのですか。

○事務局
 例えば私どもで一度、印刷業界の関係の方にお話を伺ったことがありますが、やはりワープロとかパソコンの、家庭あるいは職場における普及で、ほとんどの方が、そういう文書作成等を行うことが可能となっている中で、そういう在来型の印刷物の発注のようなものについては減少傾向も見られると。特に今後、スキャナーとか読取り機械等も普及していく中で、その傾向が加速する可能性もあるのではないかというふうなご意見もいただきまして、そのようなワープロ、パソコン等の普及が影響している可能性はあろうかと思います。

○会長
 私なども学生や、もとの学生で家庭の主婦になっているような人に、急ぎのときはインターネットで頼んでしまうのです。図や表を作るのは大変でしょう、時間がかかる。だから、ファックスで送っておいて、頼むよと言って。だけどそんなのは、こういう調査には引っかかりようがないですよね。実際にインターネット、パソコンを使って、テレワークでやっている人は、JILの調査でもある程度は出ていたと思うけれども、感覚的には、相当増えているのではないかなあという気がします。
 この家内労働調査の、調査の仕方というのはどういうものでしたか。

○事務局
 委託者が委託する場合には、委託状況届というのを、労働基準局へ提出することになっていまして、それをベースにして、例年10月現在の状況を私どものほうで、各労働基準局のほうから吸い上げてまとめるという形の調査です。これと並行して1年おきに、家内労働者を対象に抽出をして、調査表を各労働者にお送りする形のものと、委託者を対象に抽出をして、そういう実態を把握する家内労働実態調査というのをやっておりまして、平成10年は労働者のほうの実態調査をしているのですが、まだその集計が間に合っておりませんので、それについては次回のときにご報告させていただきたいと思います。

○会長
 もしテレワークなどをカバーしなければいけないということになると、どういうことになるのですか。自動的には上がってきませんね。伝統的な家内労働のシステムに入っていないと、上がってこないわけですね。

○事務局
 そうですね。

○会長
 ほかにはよろしいですか。なければ次の議題に移らせていただきます。
 その他となっていますが、前回の審議会でご要望があった「家内労働者労災保険特別加入状況」「監督指導実施結果」「都道府県における家内労働関係地方単独事業について」、資料を準備しておりますので事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局
 (資料2資料3及び資料4について説明)

○会長
 どうもありがとうございました。それでは3つの資料について何かご質問、ご意見がありましたらどうぞ。

○委員
 資料3の監督実施状況についてお聞きします。違反事項の内訳がこれだけなのかどうか。要は、違反事業所が1,009事業所あった場合、本来は、違反事項の内訳は、複数違反であれば、1,009を超えるわけですね。これは800件ぐらいしかないのですが、もうちょっと、項目として何があるのか。あとは全部「その他」でまとめられるのかどうか。その辺の違反事項の内容が、どんなものがあるかということが、もしわかれば教えてください。

○事務局
 例えば、委託者は委託状況届を都道府県労働基準局長に、毎年届け出をすることになっていますが、それを行っていない場合があります。それについては調査の項目に入れておりませんので、この表の中には具体的には出てこないということでございます。

○会長
 合計との差は「その他」と考えていいわけですね。

○事務局
 はい、「その他」の条項の違反ということでございます。

○委員
 資料2の労災の関係ですが、この加入団体というのは、委託者と見てよろしいのですか。もう1点、労災の発生件数については、実態調査か何かで明らかにされるのでしょうか。

○事務局
 この団体は、家内労働者の団体ということでして、例えば地域レベル等で、新たに適当な団体を作っていただいても差し支えないわけですが、そういう家内労働者の団体を通じて手続をしていただいて、また保険料についても、その団体を通じて納付していただくという仕組みでございます。

○委員
 ちなみに全国では、団体というのはどのくらいあるのですか。

○事務局
 資料2の「101」いう数字が、加入団体数ということになります。

○委員
 団体としても全国で101しかないということですか。

○事務局
 はい、この101の団体を通じて、1,762名の方に、労災保険に特別加入を願っているという状況でございます。
 2点目の労災の発生件数につきましては、これは平成8年の家内労働実態調査の中の家内労働者に対する調査結果ですが、この中で、過去2年間に家内労働の作業を原因とする怪我や病気、負傷、疾病があるかということでお尋ねしたところ、あると答えられた方は全体の1.4%。その内訳は、怪我をしたことがあるという方が51.6%、病気にかかったことがあるという方が49.9%ということでございました。

○委員
 今度の平成10年の実態調査で、また出てくるということですね。

○事務局
 はい、平成10年の実態調査についてはいま集計中ですが、取りまとめましたら明らかにさせていただきたいと思っております。

○委員
 資料2関係は詳しくないので、ちょっと初歩的な質問で恐縮ですが、3つほどお聞きします。1つは、この5つの作業は、加入は任意ということですが、どういう基準で選ばれたかは別にして、これは望ましいと言いますか、あるいは、作業の内容からして、これはそうした危険負担を伴うものであると。これはたぶん、何らかの基準があってのことだと思うのですが、この加入状況が果たして、どう見ておられるのか。かなりいってると判断されるのか、これは非常に不十分だと判断されるのか。何をもって評価というのは、いまのところわからないわけですが、これをどう見たらいいのか、我々にはちょっとわからないわけです。
 もう1つは負担の問題です。一部負担を含めれば4通りですが、両極にある労働者自身の全額負担と委託者の負担。これはもちろんコスト面で言っても、ずいぶん違いがあるわけですが、それについての基準と言うか、目安と言うか、全くそこまでフリーで、つまり、何らの指導もしないということで、これは全くお任せということなのか。先ほど団体を作ることも、委託・事業者の希望によるということでしたので、その辺が、ちょっと私どもこの数字も、どう評価していいかということが読めないので、教えていただきたいということ。
 もう1つは細かい話ですが、市町村の一部負担という所で、例えば(ヘ)の表で見ますと、加入団体1の中に40人いる、40人いる中で、委託者一部負担が37人で、市町村の負担が3人だけ、3人だけなぜか市町村が一部負担なのか。これも、市町村の一部負担の仕組みがどうなっているのか、ちょっとわからないので、簡単で結構ですから教えていただきたい。
 最後は基礎額の問題です。この表を見る限り、一般の労働者の賃金準拠のような基準はなさそうなのですが、これも素人目で、1万8,000円が1人、2万円が1人というようなところからみると、これもおそらく同じような委託作業をしている中で、金額が違う設定がされる。これもどういう目安というのか、基準というのか。
 いちばんベーシックな、見方がわからないところが4点ほどありますので、教えていただきたいのです。

○事務局
 まず、対象業務、作業と言いますか、これについては、家内労働に関して、業務上の負傷や疾病が発生するおそれが多い業務、というようなことで範囲を定めて行っております。実はこの業務については、過去に随時見直しを行って、その範囲の拡大を図ってきたところがありまして、その結果、お手元にあるような(イ)から(ヘ)までの作業が、現在対象となっているということでございます。
 次に1,762名という数についてですが、実はこの(イ)から(ヘ)までについて、分母と言いますか、そもそもどれぐらいの方が従事しておられるか、ということに着目した調査というのは行われておりませんで、むしろ一般的に危険、あるいは有害な業務に従事している方が、どのくらいおられるか、というような観点からの調査を行っております。その調査の結果、災害発生等のおそれのある機械、原材料の使用者というようなことで聞いていますが、それは全体の18.7%、というようなことになっていますが、これのいわば分母に当たるような形の調査は行っていませんので、いわば加入率的なものは、出して評価するということはできない状況でございます。私どもではこの労災保険の特別加入のため、それに特化したリーフレットも毎年作っておりまして、今年もまた5月に家内労働旬間を行いますが、そういう機会に制度の周知に努めているところでございます。ただ、先ほど申し上げましたようにこの特別加入制度は、家内労働者の方が自らの負担で、かつ任意で加入することができるという仕組みとなっていますので、行政としては、まずはその制度の周知を十分図っていきたいと考えております。
 次は負担の問題ですが、雇用労働者であれば雇用労働者を使用する企業が、労災保険分については全額負担するということになるわけです。しかし、家内労働者の方については、雇用される立場にないということで、それがないというふうなことになっております。行政としても、委託者の方の負担については元より好ましいことですので、機会をとらえてそのようなお願い等も行っているということでございます。
 市町村の負担、これは市町村の独自の判断で行われているものですが、特に家内労働の場合には、地場の産業と言いますか、その地域の特性に根ざした作業なり、産業なりが多いというようなことで、各地域の実情に応じて、市町村で保険料の一部負担を導入している場合があるということでございます。元より望ましいものであるということは言えるかと思います。
 基礎額についてですが、これも先ほど申し上げましたように、雇用労働者と違って計算上、賃金を基礎にして日額を出すということができませんので、特別加入者については、2,000円から2万円の範囲内で希望を伺いながら、都道府県労働基準局長が定めるということになっております。その希望する額は、もちろん、額が高くなれば保障も厚くなる代わりに、保険料の負担も増えてくるというようなこともありますので、その辺の状況を勘案されながら、それぞれの特別加入者において、希望を述べておられるのではないかなと思っております。

○委員
 聞きたかったのは、給付額に関しては、個人ごとの設定なのかということと、市町村に関しては、1団体の中に市町村一部負担の人が3人いて、別れているのはどうしてですかということです。

○事務局
 あとのほうは、団体が例えば、市町村のエリアをこえたりして広域的な場合とか、そういうことはあろうかと思います。

○委員
 資料2に関連してですが、これは、作業ごとに保険料率がどういうふうになっているのか。それと、保険料を計算するときは、どういうふうにして計算するのか。もしわかればお願いします。

○事務局
 保険料率は、作業の危険度に応じて異なっているのはご承知いただいているとおりですが、これは特別加入制度についても同様でして、現在いちばん料率が高いのは1,000分の18のもので、これは具体的には金属・ゴムなどの加工の作業、刃物などの加工の作業、仏壇・木製品などの製造の作業といったものでございます。次に料率が高いのは1,000分の16のものに、陶器等の製造の作業というのがありますので、例えばここで言うと(ニ)陶磁器の製造、これなどは1,000分の16ということになるものでございます。履物、ベルト、グラブ、ミット等の製造加工の作業は1,000分の6となっていますので、(ハ)はその保険料率が適用されるということかと思います。1,000分の4というのも1つありまして、これは織機等を使用する作業ということになっております。
 それで、保険料の額は、給付基礎日額ということになりますので、例えば4,000円を選択した場合は、年間146万0,000円ということになる。その146万0,000円の方について、例えば1000分の4、織機を使用する作業ということであれば、146万円に1,000分の4をかけて、年間5,840円ということになりますし、1,000分の16の危険度の高い作業ということになると、年間2万6,280円ということになります。
 また、団体で年間の保険料総額が20万円を超えるときには、分割納入も可能ということになっております。実はこれらのことについても、先ほど申し上げた家内労働者向けの特別加入についてのご案内のリーフレットの中で、詳しくご案内させていただいております。

○会長
 家内労働者の場合の工賃の不払いというのは、賃確法の対象にはならないのですか。

○事務局
 はい、それはなりません。

○委員
 平成9年度で工賃の支払い違反というのが14件ほどあります。毎年何件かあるわけですが、金額的にどうなっているのか。例えば、これは申請された件数だと思いますが、申請されても賃確法の対象にならないということであると、委託者が払えればいいけれども、払えない場合にどうなっているのか。その辺の問題が1つ、どういうふうに処理されているのか。やっぱり、働いた賃金、工賃が貰えないというのはいちばん、働いた者にとっては悲惨というか、眉間にしわ立つものがありますが、そこら辺の問題をどう考えるか。それから、いわゆる違反が相当あるわけですが、是正勧告なり、家内労働で、一定の罰則事項があると思うのです。そういう是正命令なりは何件されているのか。本当に実効ある行政指導をされているのかどうか。その辺をお聞きしたいなというのが1つあります。
 労災のことではだいぶいろいろ細かく聞いていただいたのですが、できれば、先ほど出ているような保険料率とか、給付案件とかいうのを全部出して、そしてなおかつ、加入対象者がこの(ヘ)までの部分で何名いて、こういう状況なんだと。なぜ入らないのか、この審議会ではやっぱりその問題点をえぐり出して、どうしたらみんな入るようになるのか。そこら辺の政策的な方向性がなければならない。率直に言わせてもらえば、先ほど来ずうっと聞いていると大体、見ればわかるような中身について相当、親切丁寧にご説明願ったのは有難いのだけれど、そうではなくて、なぜこんなにしか入ってないのか、こんなにしか入ってないと、思うか思わないかまたいろいろあるわけですが、どうするのかという、そこのところが大事じゃないかと思うので、そういう点で、この労災保険なんかどう思っていらっしゃるのか。
 私なんかは、前から言っている点で言えば、例えば、こういう業種でも任意ですから、逆に言うと逆選択なんですよ。危なっかしい人だけ入るわけです。逆に言えば、怪我をしそうな者が自分で入る。そういう関係だから、いわば保険料率から言っても、これは相当リスクがあるわけです。そういう点から言って、やはりここら辺の問題をもう少し考える必要があるんじゃないか。
 それから、団体を作らなくてはいけないというのも、これも変な話です。団体を作ってもこの労災保険の特別加入の場合は、一銭の報奨金もないんです。事務手数料が一銭もない。そうすると、ボランティアで団体を作って、誰かの金を集めて、ボランティアで給付事業から全部面倒をみなくてはいけない。給付案件の事項なんていうのは専門用紙だから、書くだけでも一定の知識と、中身に熟知しなければ申請書を書けないのです。そういう点があるんだということも改めて呼び出して、その辺の問題をどう改善するのか。そこら辺の問題があるんじゃないかと思っているので、その辺は省としてどうお考えになっているのか。その辺をお聞きしたいと思っています。

○事務局
 順に申し上げますが、まず、不払いについてです。件数について申し上げますと、例えば平成9年の期間に、新たに把握した工賃の不払い案件というのが、全国の労働基準監督署で81件。実はその中で、前期からの繰越しの分も合わせて、その平成9年の期間内に、それが監督署の介入によって解決を見たという案件も、60件ほどあるわけです。もちろん、残り21件の問題はありますが、各労働基準監督署においても、工賃不払い事案の解決に向けた努力を、一生懸命させていただいているということがまず1つございます。
 先ほど監督指導状況の資料で申し上げましたが、これら違反については、内容の程度に応じてということになりますが、必要な指導なり勧告なりといったことを、適切に行わせているところでございます。また、それらを通じていま申し上げましたように、年間60件ほどの工賃不払い案件の解決といったことにも、結びついているのではないかなと思っております。
 対象者がどれだけいるのかということがわかれば、もちろん論点の分析の上で大いに有用だろうということは、大変わかるところですが、現在の調査の仕組みの中で、ぎりぎりの項目で行っている関係もあり、なかなか難しいなと。むしろ、政策的な方向というようなことで申し上げれば、任意加入ということが前提となっている中では、その制度をそもそも知らなければ、その加入ということに結びつかないということもあろうと思いますので、まさにその、任意での選択をしていただくための制度の周知ということが、政策としては極めて重要ではないかと思っているところでして、そこで、毎年リーフレット等を作って周知に努めています。もちろん、まだまだ不十分だというご指摘もあろうかと思いますが、まずは制度の周知ということが、政策的な方向としては、最も重要ではないかなというようなことで、取り組んでいるところでございます。
 一方で、強制加入にできないかということもご提案としてありました。もちろん、保険の仕組みから言っても、確かにハイリスクの方がたくさん入ってくることは、というようなご指摘もあります。しかし一方で、この特別加入制度においては、雇用する者がいないということで自己負担ということになるわけです。もちろん、委託者のほうで負担をということもお願いしておりますし、市町村のほうで独自の取組み等もされているところですが、制度としては、本人のほうで払うという義務が生じるもので、先ほど申し上げましたように、例えば最高率の1,000分の18でも決して膨大な額ではありませんが、大体2%ぐらいですから、消費税が上がるぐらいの影響も出てきますし、これを一律に義務という形で押していくということについては、なかなか難しいものがあるのではないかなと思っているところでございます。

○会長
 どうもありがとうございました。まだいろいろご質問があると思うのですが、もう1つ議題がありまして、時間の関係がありますので、もし質問があれば、あとでまたいただくことにして、取りあえず資料の5について、事務局のほうからご説明をいただきたいと思います。

○事務局
 (資料5について説明)

○会長
 どうもありがとうございました。

○委員
 省庁再編の、つまり、数を減らすという大きな任務があるので、ご苦労されているのはわかるのですが、折角こういう新しい枠組が作られるというときに、この家内労働審議会も当然その1つなのですが、8頁のチャートの中で、先ほどの細かい分担の所を拝見していても、女性局の再編後の名称は雇用均等・家族局、もちろん仮称です、となっていますが、そういう位置付けの中に、このいろいろ議論していることを、今後も位置付けていくのか。つまり、女性が多いからという流れで言えばパートも、派遣は事業法だけれど、そういう実態だけであれば、もっと違う枠組ができる。むしろそういう流れではなくてこの雇用均等が、ジェンダーの均等だけではなくて、雇用形態差別をなくしていくんだというような視点がもしおありになれば、また違う枠組になっていくだろう、働き方のルールということでいけば。その辺が、むしろ女性が外れることのプラスと言うのか、問題の展開と言うのか、そういうようなことが議論されているのか、意識されているのか。その1点だけお伺いしておきたいと思います。

○事務局
 今回、統合に当たりまして、どういう括りと言いますか、それでやっているかということで、いろいろ議論をしました。いま私ども女性局で担当しているのは、大きく分けると、1つが雇用機会均等法に基づくいわゆる直接的な均等行政。それから、育児・介護休業法をはじめとする様々な、仕事と家庭の両立を支援するような対策。それからパートタイム労働対策、在宅就労等を含めた家内労働対策。それとその他、労働の分野を中心にした女性の地位向上対策ということで、いま女性が、アントレプレナーと言いますか、起業するのを支援するような事業も始めているわけでございます。そういうものを括る上位概念はなんだろうかということでいろいろ議論をして、2つぐらい視点を出していこうとなったわけです。
 1つはやっぱり、パートにしても家内労働、在宅にしても、一般労働者との均衡・均等というのが、対策の1つの柱になっているのは、いまの法体系の中で間違いない話ですので、それは切り口の1つであろうということです。それから、家内労働、在宅就労の現状を見ると、やはり家庭との両立、パート労働もそういうことが多いようですが、家庭と仕事との両立ということで、そういう選択をされているということも現状でございます。ほとんど女性労働者と申し上げてよろしいと思いますが、そういうことになるとやはり、両立支援という観点からの家内労働対策、パート労働対策、そういうものをまとめて、これまで女性局でやってきている。この流れの中で一括りにしてやるべきではないかという考え方でございます。それを全部ひっくるめて表す言葉が、なかなかありませんで、結局、雇用均等というのが、最も代表的な名称ではないかということで、私どもとしては雇用均等という名称を出しました。
 そして厚生省のほうからは、いま児童家庭局でおやりになっている仕事を、最も端的に表すとすると家族という言葉かなということだったので、将来はともかく現状においては、雇用均等・家族局という形で、局名を決めさせていただくよりしょうがないかなという感じがしております。

○委員
 2つお聞きします。
 いまの問題はさておいて、この間の経過で言うと、懇談会の件があって、たしか、前々会の63回のときに、平成10年度内、来年度までには一定の方向を出すというお話があったのですが、その辺が今日はご報告がなかった。それがどうなっているかという問題と、懇談会とは別に、この間、研究会を立ち上げていろいろご研究、ご検討されているかと思うのですが、その辺はどうなっているのかなという点が1つ。
 もう1つは、第6次最低工賃が始まったわけですが、率直に言って、全体的に言うと、工賃の改定サイクルが大体2年前後ぐらいに、だいぶ圧縮はされてきているのですが、ここで言っても、諮問があって決まるまで、大体、早い所で3カ月、あとは、半年以内で大体決まっているんですね。ただ、中には、例えばいま革靴の最低工賃改定の審議をやっているのですが、諮問からすでに2年近くたって、まだ結論が出ないという状況とか、そういう事態があります。そんな点で、最低工賃の問題については、やはり、最賃が毎年、毎年改正されるという中で、それより低位の状況にある家内労働者の工賃が、全くそういう点では4年も5年も変えられないままきている。そういう状況もあるので、ここのところをどうするのかということです。
 かつては小委員会も設置されて、どうするかということだったのですが、これも途中でうやむやになってそれきり。そういう状況があるわけですが、そういう中でこの辺、今後どういうふうに継続していくのか。新たにテレワークの問題も出てきているわけだし、しかもいまお話を聞くと、中家審は今度原則廃止。ということになると、当然、新しい所でぶら下げていく関係になるのかもしれませんが、そんな問題等があるので、そこら辺はどのようにお考えなのか。
 もう1つお聞きしたいのは、革靴の最低工賃で相当委託者が抵抗しているのは、東京と埼玉だけ決められたのではかなわない、全国的にも相当あるのに、なぜ東京と埼玉だけだ。そういう点では、全国的な最低工賃の関係を検討してもいいのではないかと思っているんです。そこら辺の問題についてどのようにお考えなのか。その辺だけちょっとお聞きしておきたい。
 もう1つ言えば、例えば今度イギリスでは新しい省ができて、家内労働者の最低工賃というか、この中で全国一斉最賃が実現したわけですが、家内労働者の工賃をこの中に含むということで、100万人ぐらいの家内労働者が、その中にカバーされるということも聞いていますので、そんなことを含めてちょっとうかがいたいと思います。そこまで一遍にいくかどうかは別にしても、最賃との整合性が言われているわけですから、最低、その辺ぐらいは、検討する時期にきているのではないかという感じがするので、その点どういうふうにお考えなのか、お聞かせ願いたいということです。

○事務局
 まず、家内労働問題懇談会のご指摘ですが、ご指摘のように懇談会については、平成8年に3回にわたって開催して、意見をいただいたりヒアリング等を行ったりしました。当初、この懇談会の検討事項として掲げていた中に、パソコン等を活用した在宅就労者の対策ということがありまして、その3回目の議論の中で議論をいただいていたわけですが、その後ご承知のように、日本労働研究機構のほうに実態の調査を委託して、これは前回発表したとおりですが、そういう在宅就労に絞って、現在研究会を別途設けて、在宅就労の特殊性についての調査研究を行っているということです。当面は、こちらの研究会のほうの動向を、懇談会のもともとの関心事項と重なる部分が多いということですので、今後、この研究会の状況を踏まえながら、然るべき機会に、従来の懇談会としての形の整理をしていく、当面は、その研究会の状況を踏まえていきたい、というふうに考えております。
 最低工賃については、これは、第6次最低工賃新設改正計画というのが、昨年度からスタートしているわけですが、全国会議の開催、例えば、ちょうどいまの時期に担当課長の全国会議が行われているわけですが、そういう会議の開催の際に、先ほど申し上げました計画に沿った、適切な運営がなされるように、各労働基準局に強く指導しているところでございまして、今後とも、適切な改正が行われるように、指導していきたいと考えております。したがって、各個別の都道府県の状況で、いま委員がおっしゃられたような状況もあろうかと思いますが、私どもとしても、前回の改正からかなりの期間がたっているというようなものについては、できるだけ早く改正していくようにと。それから、中にはかなり、その適用者が減ってきているというようなこともあるようですので、そういったものについては、工賃そのものの見直しをしていく、最低工賃の設定そのものの見直しをしていく、そういうことの指導を強めていきたいと思っております。

○委員
 懇談会といわゆる研究会は別々のものだというふうに、前回、前課長のときに答えているんです。私はいま63回の議事録を見ているのですが、そこでもちゃんと分けて、その出たものを対比して、いわばこの旧来型の伝統的な家内労働と、新たな、いわば在宅テレワークの中での家内労働と、この問題をどういうふうに整合性を持たせたりとか、問題点の解決をするかという点で、来年度中には出しますと、こう明言されているのです。私、この点だけはきつく、というかしつこく聞いたのです。それは大丈夫ですからという話をしていたんですが、変わってしまったら、それで反故になってしまうのかどうかよくわかりませんが。
 何が言いたいかと言うと、この間いろいろ小委員会をやったりいろいろやっているんだけれど、いろんな事情があるのでしょうが、言っては悪いけれど、全部これなんです。結論が出てない。折角公費を使ってやるんだから、少なくとも一定の中間の、完全なものができなくても、やはり方向性を出して、そこに基づいてまたどうするか、ということをやらなかったら、ただ集まって、皆さん貴重な時間を割いて、もったいないじゃないかということを、1つ言いたいのです。その点がちょっと、どうもはっきりしないなという感じがする。

○事務局
 懇談会については、研究会をそういう形で、現在開催しておりますので、そちらのほうの状況を踏まえさせていただきたいということで、ご理解を賜りたいと思うのですが。

○委員
 まあいいです。時間のようですので。

○会長
 ほかになければ、これで本日は終りたいと思いますが、議事録の署名は、公益側は私、家内労働者側は豊田委員、委託者側は橋本委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。



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