第2部 欧米諸国における就業形態の多様化

3 労働条件

(1) 均等待遇

1) イギリスでは、パートタイム労働者の労働条件については、労働法上の一般原則に従うこととされている。ただし、雇用保護法の適用については勤続年数の要件が存在するため、勤続年数が比較的短いパートタイム労働者、有期雇用労働者等については適用されないことが多い。アメリカにおいても、パートタイム労働等の賃金等について特段の法律は無い。
 
2) ドイツ、フランス、オランダでは、法律によってパートタイム労働者等についての均等待遇原則があるので、様々な権利をフルタイム労働者と平等に有することとされている。すなわち、不当解雇からの保護等の労働者の基本的な権利に関しては労働時間の長さに関わらず保護され、また、賃金、諸手当等については比較しうるフルタイム労働者と比べ時間比例的な処遇が保障されている。

(2) パートタイム労働・フルタイム労働間の転換

 ドイツでは、使用者に労働者への情報提供が義務づけられており、労働者がフルタイムからパートタイムへ、パートタイムからフルタイムへ転換するための情報獲得の道を開いている。ただし、労働者に対して、希望ポストへの転換・配置請求権や、労働ポスト補充の際の優先権を認めたものではない。
 フランスでも、事業主に対して、転換を希望するパートタイム労働者にフルタイムの空席ポストのリストを通知することを義務づけている。
 オランダでは、約80%の労働協約がパートタイム労働に関する事項を盛り込んでおり、この中に、フルタイムからパートタイムへ転換する権利が規定されている。

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