第1部 1998〜99年海外労働情勢

2 賃金・労働時間等労働条件の動向と対策

(1) 賃金・物価の動向と対策

1) 賃金・物価の動向
 欧米先進諸国では、概ね、賃金、物価ともに安定して推移し、アメリカでは、物価安定を反映して、実質賃金は引き続き2%以上の伸びを示した。
 アジア諸国では、通貨危機の影響を受けたタイ、インドネシア、韓国で物価が大幅に上昇し、周辺諸国の物価も上昇傾向にある。
 96年まで10%以上の伸びを示していた韓国の賃金上昇率は、97年の7.0%の後、98年はマイナスとなった。

2) 賃金・物価に関する対策
 最低賃金の引き上げが多くの国で行われた中、イギリスでは、93年に廃止された最低賃金制度が99年4月から復活することとなった。

(2) 労働時間の動向と対策

1) 労働時間の動向
 労働時間は、国・地域により増減があったが、その動きはわずかであり、全体としては大きな変化はなかった。

2) 労働時間に関連した動き
 イギリスでは、EU労働時間指令の国内法制化を図るための、労働時間規則が公表された。労働時間指令は、93年にEU労働社会理事会で採択されたが、これに反対するイギリスは、欧州司法裁判所に同指令の無効を訴え、その訴えが棄却さた96年以降は、指令違反状態となっていた。
 欧州委員会は、98年11月、労働時間指令の適用範囲を拡大するための包括指令案を採択した。

(3) 労働災害の動向

 アメリカ、イギリス、ドイツ及びアジア諸国の一部の国においては労働災害の発生件数は減少している。

表3 各国の賃金上昇率の推移
表4 各国の物価上昇率の推移
表5 各国の週労働時間の推移
表6 労働災害発生件数



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