第1部 1998〜99年海外労働情勢

1 経済及び雇用・失業の動向と対策

(1) 経済及び雇用・失業の動向

1) 経済の動向
 98年は、欧米先進国において景気の拡大が続いた一方、アジア諸国では景気が悪化した。

2) 雇用・失業の動向

表1 各国のGDP成長率の推移
図1 各国のGDP成長率の推移
表2 各国の失業率の推移
図2 各国の失業率の推移

(2) 雇用・失業対策

1) アメリカ、イギリス
 再就職促進のための職業訓練を中心とした対策を実施。
 アメリカでは、労働力投資法が成立し職業訓練制度が整備された。福祉改革法とともに、福祉対象者の就職を促進する体制が整備された。
 イギリスでは、若年失業者、長期失業者に対するエンプロイアビリティの向上と就職の促進を図る対策を実施している。

2) ドイツ、フランス
 直接雇用創出、ワークシェアリングを通じた失業削減策を実施。
 ドイツでは、公共分野における直接雇用創出を拡大すること等を内容とする「新雇用プログラム」を実施した。
 フランスでは、時短を通じて雇用の維持・創出を図る「週35時間労働法」が成立した。この動きに刺激され、イタリア、スペインでも労働時間短縮の動きが始まっている。

3) アジア諸国
 97年の通貨危機にみまわれたタイ、インドネシア、韓国では、財政支出の増大を通じた景気刺激策、雇用・失業対策に取り組んでいる。
 また、経営側の負担を軽減するため、タイでは、98年8月に施行された労働者保護法の施行規則が緩和された。
 インドネシアでは、98年10月に予定されていた労働法の施行が1年延長された。
 他方、韓国では、政府の積極的な取り組みにより、雇用保険の適用範囲が全事業所へと拡大された。
 マレーシアでは、内国人の雇用を保護するため、外国人労働者の就労を制限する動きがみられた。



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