第3節 雇用発展分野の特徴と課題
近年雇用の伸びが大きく、今後も雇用創出効果が高く見込まれる分野として具体的に「情報通信分野」、「医療・福祉分野」、「教育・余暇分野」及び「ビジネス支援分野」の4分野を取り上げ、雇用構造、労働条件や質の高い雇用機会を提供していくための課題について検討を行った。
各分野とも、今後の課題としては、人材の確保とそのための労働条件整備、少子・高齢化が進む中での中高年齢層の活用、高度化・多様化するニーズや技術に対応した人材の育成等があげられる。
(情報通信分野)
情報通信分野では、女性比率が低く、中高年齢層も少ない(
第48図
)。正社員・正職員は産業計と比較して多い。また、若年層が多いため、平均勤続年数は短いが、入・離職率は低く、特に労働移動が活発化しているわけではない。労働条件は、賃金は高学歴を反映して高水準だが(
第49図
)、所定外労働時間が長い。
情報通信分野では、技術革新等に対処して労働者の専門的知識・技能の一層の高度化をいかに図るかが大きな課題である。また、人材の確保には長時間労働の解消も必要であり、さらに、少子化の進展の中で中高年齢層、女性の活用も重要であろう。
(医療・福祉分野)
医療・福祉分野では、女性比率は高く、特に若年層の割合が大きい(
第50図
)。女性の非正社員・非正職員比率は全般に低いが、福祉分野では女性の中年層の非正規労働者の比率も比較的高い。平均勤続年数は新規参入が多いためか総じて短い。また、賃金水準は、福祉分野の大卒が比較的低くなっている(
第51図
)。平均労働時間は比較的短い。
医療・福祉分野では、人材の確保が最大の課題であり、今後社会保障関係の費用が増大する中で、労働条件の整備を図り人材を確保するためには、事業の効率化を進めていくことが重要であろう。
(教育・余暇分野)
教育・余暇分野では、女性比率が比較的高く、学校教育、旅行業以外は正社員・正職員比率が低い。余暇分野では、娯楽業は若年層の割合が、宿泊業は中高年齢層の割合が比較的高い(
第52図
)。また、平均勤続年数が短く、入・離職率も高く、労働移動は比較的活発といえる。労働条件は、教育分野は賃金水準が高く、平均労働時間も短いが、余暇分野では賃金水準が低く(
第53図
)、平均労働時間も特に宿泊業において長い。
余暇分野では、労働者の確保や定着の向上が課題となっており、労働条件の改善を図ることが必要である。また、中途採用者や非正規労働者についてもバランスのとれた人事管理が重要である。教育分野では、生涯学習ニーズが今後ますます高度化・多様化する中で、今後体系的・計画的な人材育成の必要性が一層高まってくるものと考えられる。
(ビジネス支援分野)
ビジネス支援分野では、専門サービス業とその他の事業サービス業では状況が異なっている。ともに女性比率は低いが、専門サービス業では、正社員・正職員比率が高く、高学歴化が進んでおり(
第54図
)、若年層の割合が高い(
第55図
)。また、平均勤続年数は長く、定着性が高い。労働条件面では賃金水準は高く(
第56図
)、週休2日制も進んでいる。一方、その他の事業サービス業は、非正社員・非正職員比率が高く、中高年齢層の割合が高い(
前掲第55図
)。また、平均勤続年数は短く、入・離職率も高い。労働条件についても、総体的に低い(
前掲第56図
)。
ビジネス支援分野のうち、専門サービス業では、今後少子・高齢化が進む中で、中高年齢層の活用を図ることが重要となる。また、新技術への対応や教育訓練の充実等が課題となる。一方、その他の事業サービス業では、労働者の定着が課題であり、労働条件の改善が求められる。
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