第3章 物価、勤労者家計の動向
(物価の動向)
- 1998年の国内卸売物価は、前年比1.5%下落と、6年ぶりの上昇となった1997年(同0.6%上昇)から再び下落に転じ、弱含みで推移した。消費者物価(総合)は、1〜3月期は前年同期比2.0%上昇となったが、その後は消費税率引上げの影響の剥落等により安定して推移し、前年比0.6%上昇した。消費者物価の動きを、商品・サービス分類別でみてみると、生鮮商品以外のすべての分類が物価の安定に寄与している(第16図)。
(勤労者家計の動向)
- 1998年の勤労者世帯の家計収入(実収入)は世帯主収入の大幅な減少から、前年比名目 1.1%減少、同実質 1.8%減少と減少幅はいずれも現行の調査開始以来最大となった。また、可処分所得も、名目では現行の調査開始以来初めての前年比 0.2%減少となった。
- 家計収入の減少に加え、平均消費性向が前年比 0.7%ポイント低下し、71.3%と現行の調査開始以来最低の水準となったため、消費支出は名目前年比 1.1%減と現行の調査開始以来最大の減少、実質でも同 1.8%減と第1次石油危機に次ぐ減少と低調となった(第17図)。また、一般に実質可処分所得が減少した時には、消費水準はすぐ下がらないため平均消費性向が上昇する傾向にあるが、厳しい雇用・失業情勢を反映した雇用不安や所得環境の悪化と将来の先行き不透明感の高まりを背景に、消費マインドが冷え込んだため1998年は、実質可処分所得の減少にもかかわらず平均消費性向は大幅に低下した(第18図)。
- 30〜40歳台の中堅層では雇用不安や将来の先行き不透明感を厳しく受け止め、平均消費性向が大幅に落ち込んだことから、実質消費支出が大幅な減少となった(第19図)。
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