第2章 賃金、労働時間、労働安全衛生の動向
(賃金の動向)
- 1998年の賃金(事業所規模5人以上)は、雇用情勢の急激な悪化と企業利益の減少を背景に、1998年の春闘賃上げ率が過去最低となったことなどを受けて、所定内給与が統計調査開始以来最も低い伸びとなった。これに加え、所定外給与及び特別給与も大幅な減少に転じたため、現金給与総額は前年比 1.3%減と統計調査開始以来初めて減少した(第14図)。このため、実質賃金は、消費者物価が1997年の消費税率の引上げの影響の剥落等により安定したにもかかわらず、前年比 2.0%減となった。
- 労働省労政局調べによる1998年の民間主要企業の春季賃上げ率をみると、2.66%と1997年の2.90%を下回り比較可能な1965年以降で最も低い数字となった。また、民間主要企業の夏季一時金は前年比1.11%増であったが、伸び率は1997年(2.89%増)を下回り、年末一時金の伸び率は前年比1.83%減と、1997年(2.78%増)の増加から減少に転じた。なお「毎月勤労統計調査」により、中小企業も含めた賞与(事業所規模5人以上)をみると、夏季(2.1%減)、冬季(2.9%減)ともに減少したが、その大きな要因は経常利益の減少と労働力需給の悪化であり、冬季は、さらに消費者物価が1997年より安定したことも影響した。
(引き続き減少した総実労働時間)
- 1998年の総実労働時間(事業所規模5人以上)は、前年比1.1%減(前年同1.4%減)と引き続き減少した(第15図)。所定内労働時間は1997年と同様、小規模事業所ほど減少しているが、これは法定労働時間週40時間労働制の達成事業所割合が増加したことによる。
(大幅に減少した製造業の所定外労働時間)
- 1998年の所定外労働時間は、景気の低迷を背景に、製造業で大幅に減少したほか、建設業、卸売・小売業,飲食店でも減少幅が拡大したことから、1997年の増加から減少に転じたが、年後半は横ばい又はやや弱含み傾向で推移した。
(死傷災害の動向)
- 1998年における労働災害の発生状況をみると、死傷者数(死亡及び休業4日以上)は14万8,248人(前年比5.4%減)と引き続き減少した。また、死亡者数は1,844人(前年比11.3%減)となり初めて2,000人台を割り込んだ。
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