第3節 労働者の意識の変化と生活の充実に向けての課題
今後一層の生活の充実のためには、我が国経済と雇用に対する不透明感の払拭と高齢社会における具体的な生活のビジョンが必要であり、また内外価格差の是正等による消費者物価等の低廉化や自由時間の充実を図るほか、企業中心のライフスタイルの転換のため、社会や企業の仕組みの変革と併せて労働者自らの発想の転換が必要不可欠である。
(国際比較による消費水準)
労働者の生活水準は大幅に向上しているが、名目消費支出の国際比較と購買力平価で換算したものでは差があり、その背景には、内外価格差という問題がある(
第78図
)。また、住宅価格も国際比較をするとまだ高い。豊かな生活の実現のためには内外価格差の是正・縮小等により消費者物価や住宅の価格等を低廉なものとすることが重要である。
(今後の生活の見通しに不透明感)
バブル崩壊後、今後の生活についての不透明感が強まっている兆しがみられる。今後の生活の見通しについて悲観的な考え方が楽観的な考え方を大きく上回っている (
第79図
)。この背後には、我が国経済の将来や雇用に対する不透明感の高まりや高齢化の進展などに対する不安感の強まりがある。したがって、構造改革等により我が国経済と雇用に対する将来の不透明感の払拭と高齢社会における具体的な生活のビジョンの明示が重要である。
(企業中心のライフスタイルの転換)
労働時間短縮が進んでいるが自由時間をもっと欲しいとする労働者がまだ多い。今後労働者が自律的な働き方を求められていく中で、メリハリのある働き方により家庭生活、社会活動の充実を図っていくことが必要であり、一層の労働時間短縮等により自由時間の充実を図ることが重要である。
我が国では欧米諸国と比較して家庭生活のパターンが男女で異なっている度合いが大きく、特に女性は結婚・出産後に生活時間構造が大きく変わり、自由時間が減っているが、こうした役割分担についての意識も次第に変化してきている。男性も家庭生活を重視するようになってきている。したがって、働き方の面からだけではなく、家庭生活や地域生活への参加を進めていく観点からも企業中心のライフスタイルを変えていくことが求められている。そのためには、社会や企業の仕組みの変革と併せて労働者自らの発想の転換が必要不可欠である (
第80図
)。
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