第3章 生活の中長期的変化
第1節 消費行動の変化
勤労者世帯の収入及び消費支出は、1975年以降増加傾向にあるが、1990年代に入り、収入の伸びは緩やかで、実質消費支出は横ばいである。平均消費性向は保険や住宅ローン等の増加による家計の自由度の低下に加え、バブル崩壊後の不透明感の増大により、低下を続けている。貯蓄は増加傾向にあり、生命保険などの増加が著しく、負債は住宅・土地のための負債を中心に増加し、中年層で大きく増加している。
(妻の収入の割合が上昇)
勤労者世帯の実収入及び可処分所得は1975年以降、名目、実質とも増加傾向であるが、バブル崩壊後は伸びが緩やかである。また、既婚女性の職場進出が進んだことを反映して、実収入に占める妻の収入の割合が上昇傾向にある。
(低下傾向にある平均消費性向)
消費支出は1975年以降増加傾向であるが、1990年代に入り実質消費支出は横ばいである(
第72図
)。平均消費性向は1980年代初め以降低下傾向で(
第73図
)、その要因は、40〜49歳層を中心に住宅ローン、保険等の契約性黒字の増加で、家計の自由度が小さくなったことに加え、バブル崩壊後は今後の生活や雇用に関する不透明感の影響も考えられる。
(消費支出のサービス化)
消費支出の構成をみると、生活のための基礎的な性格が強い食料、被服及び履物や物価上昇率が低い家具・家事用品は低下傾向にあり、生活の豊かさを支える性格が強い教養娯楽、交通・通信や相対的に物価の上昇が著しい教育、住居及び光熱・水道は上昇傾向にある。消費水準の上昇などから、消費支出のサービス化が進んでいる。
(貯蓄・負債とも増加)
貯蓄は増加傾向で、1997年で年間収入額の 1.6倍であるが、生命保険などの増加が著しく、また、高年齢層ほど大きな増加である。負債は住宅・土地のための負債を中心として増加傾向で、特に30〜39歳層及び40〜49歳層での増加が顕著である(
第74図
)。
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