第4節 働き方の変化の方向と今後の課題
働き方の個別性、自律性重視の流れの中で、長期雇用を維持するためにも、働き方の仕組みを変えていくことが重要であり、働き方の自己選択と評価制度等の新しいルールの整備が重要である。また、中高年齢層への配慮が必要である。新しいルールの整備等には、労使の努力が基本的に重要であり、政府の役割も重要である。
(働き方の個別性、自律性の重視)
日本型雇用慣行は、現業部門に最も適しており(
第69図
)、今後は研究部門や管理部門などで変化していくが、労働者のモラール、長期的な能力開発などの点で優れた仕組みである(
第70図
)。また、雇用安定の確保や生涯設計の立てやすさという点でも重要であり、雇用維持の仕組み(長期雇用慣行)を維持しつつ、労働者の個別性、自律性を重視し多様な選択肢のある仕組みに変えていくことが重要になる(
第71表
)。
(自律的な働き方のための環境整備)
労働者が自律的に働いていくためには、人事管理制度を多様化、個別化し、職業生涯の節目節目で労働者が働き方を自ら選択できることが重要である。また、自らの職業キャリア等を客観的に把握できる仕組みの構築と自己啓発の促進が求められる。
新しい働き方に適合したルールの整備が重要であり、第1に、客観性、公平性、透明性があり、労働者の納得が得られる評価制度の確立、第2に、異なるタイプの労働者に応じ、バランスのとれた人事管理、キャリア設計や能力開発、第3に、労働条件その他について個別の労使間の争いに対応する仕組み等が重要である。
従来型の雇用制度下で働いてきた中高年世代に自律と自己責任を求めるには、長期的な賃金と貢献のバランスの観点等からも賃金面等十分な配慮が必要である。
働き方のルールの設定と適切な運用、個別紛争の解決等には労使の努力が重要であり、労働組合が新しい働き方に柔軟に対応しつつ多様化する労働者のニーズを的確に汲み上げること、企業が人事労務管理等を柔軟に対応させつつ雇用維持の努力を行うことが期待される。また、社会全体の共通のルールの整備と監視等に関する行政の役割も重要である。
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