第U部 中長期的にみた働き方と生活の変化
第1章 安定成長期の経済・雇用情勢
第1節 経済構造等の変化
安定成長期の働き方や勤労者生活の変化は、国際化、サービス化、情報化の進展などの経済構造の変化、高齢化、女性の職場進出、高学歴化といった労働力供給面の変化、労働市場や労働条件に関する制度の変化を背景に進展した。
(経済構造の変化)
我が国経済は、戦後長期間にわたって高度成長を続けてきたが、第1次石油危機により大きな打撃を受けた(
第24図
)。その後、第2次石油危機、円高といった危機を乗り越え、いわゆるバブル期には、成長率は安定成長期で最高となったが、バブル崩壊後は、景気が底を打った後も回復のテンポは緩やかである。また、この20年間の経済構造をみると、国際化の進展、サービス化の進展、技術の進歩と情報化の進展という大きな変化があった。
(労働力供給構造の変化)
この20年間の労働力供給面の変化をみると、労働力人口の高齢化が急速に進展している。今後は団塊二世層の労働市場への流入が終了し、高齢化は一段と進展する(
第25図
)。また、女性の職場進出が進んだ。女性の労働力率の推移を年齢別にみると、いわゆるM字カーブの底は25〜29歳層から30〜34歳層へと移動し、かつ浅くなっている(
第26図
)。労働者に占める大卒の比率は、40歳未満についてはほぼピークに達しているが、40歳以上については、今後も上昇すると考えられる。また、女性の大学進学率はこの20年間も上昇しており、若年女性労働者の高学歴化が進行中である。
(労働に関する制度の変化)
第1次石油危機後、雇用対策については、失業者の再就職の促進を中心とする対策から失業の予防などの事前的対策への転換が行われた。その後、高齢化、女性の職場進出、技術革新、サービス経済化等の変化に対応して、1986年に60歳以上定年の努力義務化(1998年から義務化)、1985年に男女雇用機会均等法及び労働者派遣法の制定などの施策がとられた。法定労働時間については、1987年の労働基準法の改正、1992年の時短促進法の制定等により段階的に縮減され、1997年4月から週40時間制が全面的に適用になった。
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