第3章 物価、勤労者家計の動向
(物価の動向)
- 1997年の国内卸売物価は、前年比0.6%上昇と、1991年以来6年ぶりの上昇となった。全国消費者物価(総合)は、前年比1.8%上昇と、4月の消費税率引上げにより上昇幅が拡大した後は総じて安定して推移した。商品・サービス分類別の伸び率をみると、一般商品がプラスに転じたほか、各分類ともプラスの伸びとなった。なかでも公共料金は消費税率の引上げ、診察料の本人負担の引上げ等により、2.5%上昇となった(第20図)。
(勤労者家計収支の動向)
- 1997年の勤労者世帯の実収入は実質で前年比 1.1%増となり、前年の伸びを下回った。また、可処分所得は実質で前年比 0.1%増とほぼ横ばいとなった。
- 1997年の勤労者世帯の消費支出は、消費税率の引上げ前後で大幅な駆け込み需要とその反動減がみられたが、年全体では、実収入の増加幅が拡大したものの、平均消費性向がほぼ横ばいとなり、特別減税の終了等に伴う非消費支出の増加及び消費税率引上げ等による物価の上昇が大きくマイナスに寄与したことから、実質で前年比 0.1%増と前年の伸びを下回り、足踏み状態となった。また、年末には相次ぐ金融機関の破綻等から消費者マインドが大きく悪化し、消費性向が低下し、消費支出は大幅に減少した(第21図、第22図)。商品とサービス別にみると、商品は前年に比べ実質で 0.8%減、サービスも同 0.1%減といずれも前年の増加から減少に転じた。商品では、耐久財が駆け込み需要の反動減等から実質で前年比 4.6%減と大幅に減少した。
- 収入階級別の動向をみると、実収入の伸びの格差がみられたほか、低収入階級で消費性向が低下したことから、収入階級間の消費支出の格差が広がった(第23図)。
ホームページへ