第6節 今後の課題
高年齢者活用の条件は、(1)年齢による制約の少ない賃金・処遇制度、(2)第一線でそれまでの経験をいかした業務、(3)責任、権限の分権化である。65歳までの雇用機会確保のための方向性は、(1)今後10年での65歳定年制への労使の自主的取組、(2)65歳までの本格的就業機会確保に向けた段階的な取組、(3)企業の年齢に対する固定観念の払拭(求人年齢要件の緩和)、(4)確固たる能力を確立するための自己啓発への支援である。
(高年齢者活用のための条件)
企業の高齢化への対応を整理すると、(1)高齢化の下での企業の組織効率との調和のため、賃金・処遇制度を年齢による制約の少ないものにすること、またその際、働く側に対する、賃金、職位に代わるモチベーションとして、(2)中高年齢者になっても第一線でそれまでの経験をいかした業務を遂行すること、(3)責任、権限の分権化を進めること、が挙げられる。
(65歳までの雇用機会確保のための方向性)
65歳までの雇用機会確保のための方向性は、第1に、労使の自主的な取組を促進することにより、今後10年かけて65歳定年制の定着を目指した取組を図る必要がある。65歳までを一つの雇用管理の単位とし、途中引退の選択肢は残しつつ、賃金、処遇、働き方をトータルに設計することが働く側のキャリア形成や能力の有効活用からも望ましく、そのため、賃金、処遇、働き方を、年齢による制約の少ないものに変えていく必要がある。
第2に、65歳までの本格的就業機会確保に向けた段階的な取組を進めることである。定年の段階的引上げや再雇用制度、短時間雇用等を含め、何らかの形での65歳までの雇用継続の仕組みを整備し、それを本格的就業機会の確保への足がかりとすることである。
第3に、企業の年齢に対する固定観念の払拭を進めていくことである。年齢制限により中高年齢者の再就職は難しいが、企業としても優秀な人材獲得のチャンスを失いかねない。行政としても求人者に対し、年齢要件の緩和を積極的に働きかけていくことが重要である。
第4に、働く側が職位によることなく組織の中で存在価値を認められる確固たる能力を確立するための自己啓発を積極的に支援することである。
若年と中高年による、より効果的な仕事の進め方(=若年と中高年のベストミックスの 仕組み)により、各々が社会の中でその能力を十分に発揮できる状況を目指すべきである。
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