第2節 高齢化に伴う高年齢者の属性と意識の変化
60歳男性の平均余命は20年であり、60歳定年が言われ始めた1970年頃と比べてちょうど5年延びている。高年齢者雇用を考える際に、専門的知識の蓄積など年齢とともに上昇していく能力を有効に活用する仕組みを作っていくことが重要である。
我が国高年齢者の就業意欲は国際的にみても高く、厚生年金支給開始年齢の引上げは、 就業への動きをさらに強めることが予想される。
(重みを増す就業という選択)
60歳男性の平均寿命は20年であり、60歳定年が言われ始めた1970年頃と比べてちょうど5年延びている(
第65図
)。20年は余命としてはあまりにも長い。この期間をいかに充実したものにするか、多様な選択肢があり得るが、人口の高齢化、減少を考え併せると社会的にも「就業」という選択が重みを増してくる。
(過去に比較して高まっている高年齢者の体力)
一般に高年齢者については、健康面や体力面の不安から、社会的弱者のイメージでみられがちであるが、平均余命の伸長に伴い、健康状態の面でも元気な者の割合が高く、体力面でも過去の同年齢の世代に比べ、高まっていると考えられる(
第66図
)。60歳以上男性労働者で健康であるとする者は、50歳台後半層よりむしろ割合が高くなっている。
(年齢とともに上昇していく能力も存在)
加齢と職務能力の変化をみると、体力等は加齢により低下するが、「専門的知識の蓄積」や「不測の事態への対応」など加齢により上昇する能力も存在する(
第67図
)。企業としては、体力など加齢に伴って低下する能力を補いつつ、高齢になっても落ちない、あるいは上昇し続ける能力を第一線で有効に活用する仕組みをつくっていくこと、また働く側も長く働こうと思えば、こうした能力を意識的に高め、高齢期に至っても、第一線で存在価値のある人材であり続けられるように努力を怠らないことが重要である(
巻末囲み
)。
(勤労観の違いが大きな要因)
国際的にみても我が国の高年齢者の就業意欲は高い。経済的理由ばかりでなく、日本人の勤労観がこうした高い就業意欲をもたらしている面がある(
第68図
)。また、老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げは、さらに高年齢者の就業への動きを強めることが予想され(
第69表
)、高年齢者の本格的就業のための環境作りを早急に進めていく必要がある。
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