第3章 高齢化と雇用・就業問題
第1節 中高年齢者の就業・失業の実態
現在までのところ、60歳までの失業の方が深刻となっているが、団塊の世代が60歳台前半に差しかかる10年後には、より65歳までの就業の必要性が増すものと考えられる。それまでに雇用・就業機会確保のための環境条件を整備する必要がある。60歳台前半層で過去と比較すると、就業者割合は変わらないが、雇用者割合は大きく上昇し、しかも55歳当時の企業での継続雇用が増加している。
(10年後に就業の必要性が増す60歳台前半層)
中高年齢者の失業率をみると、60歳以上の男性で特に高いが(
第61図
)、これは定年退職により、失業頻度が特に高いことが影響している。一方、失業継続期間は40歳台、50歳台前半の方が長い。50歳台はまだ生計費がかかるが、それに見合った求人が少ないために失業が長期化する(
第62図
)。60歳台になると、失業と非労働力の間を移動する層も多いため、失業継続期間は短い。
こうしたことから、現在までのところ、60歳までの失業の方が深刻となっているが、10年後は団塊の世代が60歳台前半に差しかかる。この世代は、厚生年金の定額部分の支給開始年齢の65歳への引き上げが完了する最初の世代であり、より65歳までの就業の必要性が増すものと考えられる。それまでに雇用・就業機会確保のための環境条件を整備する必要がある。
(多様化する高年齢者の就業形態)
55歳以上の高年齢者男性について年齢別の就業状態をみると、一般的な定年年齢である 60歳の前後を境に不就業者が大きく増加し、普通勤務雇用者が大きく減少している。また、60歳以降は自営業・家族従業者や短時間勤務雇用者が増えており、高齢期には就業形態が多様化している様子がわかる(
第63図
)。
ただ、男性60〜64歳層の就業状況を過去と比べると、就業者割合は変わっていないが、雇用者割合が顕著に高まっている(
第64図
)。これは、全体としての雇用者比率の高まりに加え、60歳以降の継続雇用の進展も影響しているものと考えられ、実際、55歳時点での雇用者が60歳、65歳時点で同じ企業に継続して勤務している割合が高まっている。
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