第4節 今後の課題
今後、若年者意識や産業構造変化に伴う構造的問題への対応が重要である。学校から職業への円滑な移行のためには、企業内での長期的育成システム、若年者の初職選択への真剣な取組やその環境作りの他、学校、行政、企業が一体となったマッチングが重要である。特に高卒については、質の向上に加え、より広い範囲の企業へのアプローチなどの取組が必要である。また、再チャレンジ可能な柔軟なシステムとなるよう、企業外の職業能力開発機能の充実などを図るとともに、企業における定着対策等が重要である。
(今後の若年者雇用の課題)
今後、10年間に学卒就職者が2割弱程度縮小し(
第59図
)、需給がひっ迫に向かう中で、意識や産業構造の変化に伴う需給のミスマッチなどの構造的問題への対応が課題であり、学校から職業への円滑な移行、再チャレンジ可能な柔軟なシステムが重要である。
(学校から職業への円滑な移行)
学校から職業への円滑な移行を図る上では、企業の考え方、若年者の意識、両者のマッチングの3つの要因がある。第1の企業の考え方では学卒採用を基本とする企業の姿勢は変わっていない。新卒者を企業内で長期にわたって育てるシステムが依然として重要であり、行政としても積極的に支援していく必要がある。第2の若年者の意識ではキャリア形成を真剣に考えた初職選択への取組とその環境作りが重要であり、職場体験の機会を豊富にすることなどが重要である。家庭の役割も大きい。第3の両者のマッチングでは学校や公共職業安定機関の役割が大きく、企業とも一体となって取り組む必要がある。企業の具体的な情報を的確に把握、提供するほか、ものづくりの体験・学習の機会を設定することや、福祉人材の養成等の取組が重要である。特に、高卒者について、応募者の質の向上への取組とともに(
第60表
)。広範囲の企業へのアプローチや、生徒の意識の人材ニーズへの適合、人材ニーズに応じた能力開発なども必要である。
(再チャレンジ可能な柔軟なシステム)
一方、豊かな時代になって働く側の選択肢も広がっている。再チャレンジ可能な柔軟なシステムに向け、企業外の能力開発機能の充実等が必要である。ただ、頻繁な転職は本人や社会にとって損失が大きく、若年者意識の変化を踏まえた企業の定着対策も重要である。
目次
|
戻る
|
次へ
ホームページへ