第3節 企業の採用行動と学校等のマッチング機能
新卒採用を基本としつつも、大規模企業を中心に、緩やかではあるが中途採用拡大の動きがみられる。今後、転職による産業間労働力調整の必要性も高まる。中途採用市場の整備に向けた課題への対応が必要である。
学卒採用システムについては、仕事を選ぶ際に必要な知識などを付与し、また、職業や職場の実態に接し、体験する機会を提供することが重要である。
(中途採用は増えているか)
全体として中途採用のウェイトは高まっていないが、大規模企業を中心に、新卒採用は基本としつつ、緩やかではあるが中途採用拡大の動きがみられる(
第55図
、
第56図
)。これは、中途採用比率の高いサービス業の拡大や各産業で専門・技術職などを即戦力として中途採用する傾向が広がりつつあるためと考えられる。
今後、新規学卒が減少する中で、産業構造変化への対応としても、転職による産業間労働力調整の必要性が高まることとなる(
第57図
)。こうした流れは、今の仕事とは別の形で自己実現を図りたいと考える若年者の再チャレンジの可能性を広げる動きでもある。
このような観点から中途採用市場の整備が必要であるが、客観的な能力判定や情報不足など企業も労働者も中途採用に当たって課題を抱えており、これらの課題への対応として、能力評価の仕組みの充実、転職希望者に対するキャリアカウンセリングシステムの構築などが必要不可欠である。
また、若年者を中心として企業のパートタイム・アルバイト需要が拡大しており(
第58図
)、フリーターが増加している1つの要因となっている。ただ、その3分の2が定職に就きたいと考えており、彼らの正規雇用への移行を円滑にする環境作りの必要性が高まると考えられる。
(学校のマッチング機能)
学卒採用システムについて、職業指導が十分でない、校内選考の基準として本人の興味や適性よりも生活態度や学業成績が重視されているなどの問題点が指摘されている。仕事を選ぶ際に必要な知識などをできるだけ付与したり、インターンシップなど生徒自身が様々な職業や職場の実態に直接的に接触したり、体験する機会を提供することが重要である。
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