第2節 高齢化とマクロ経済への影響
高齢化のマクロ経済への影響としては、技術進歩の活発化、消費需要の拡大等、需給両面でプラスの効果を期待できる。
労働力人口の少子高齢化に対応して企業の雇用需要構造を変革していく必要がある。
労働力人口減少への対応としては、高年齢者、女性の有効活用をまず考えるべき。
(高齢化のマクロ経済への影響)
今後、中長期的に若年者の急減と高年齢者の急増という年齢構成変化が見込まれる中で、高齢化や人口減少が経済社会の活力を低下させ、マクロ経済面にも悪影響をもたらすとの議論がある(
第31図
)。しかし、これまでの諸外国の経験も含めた結果では、労働力人口増加率の低下はむしろ技術進歩の活発化をもたらしている(
第32図
)。一方、需要面では、高齢化は、豊かな個人金融資産の活用、介護サービス等の新たな消費需要の創造などを通じて、消費拡大や雇用需要の拡大に大きな役割を果たす可能性が高い。
(高齢化の下での年齢間ミスマッチ拡大のおそれ)
今後10年程度で、労働力人口は、若年層(15〜29歳)が400万人減、高年齢層(55歳以上)が380万人増と、年齢構成が大きく変化する。現在の若年層に偏った労働力需要構造が今後も変わらないとすると、高年齢者の失業問題が深刻化する一方で、企業にとっても若年層の急減による大幅な要員不足が生産活動への隘路をもたらす(
第33図
)。このため、着実に企業における雇用需要構造を「より少ない若年とより多い中高年」という供給構造に見合ったものに大きく変革していく必要がある。
(労働力人口減少への対応)
中長期的にはより顕著となる労働力人口の減少への対応としては、高年齢者活用に向けた世代間の働き方の仕組みの構築に加え、就業を希望しながら育児との両立の難しさや能力を活かせる形での雇用機会の不足から活用に至っていない女性の有効活用をまず考えるべきである。
2025年までのラフな予測によれば、今後、高年齢者、女性の積極的な活用を図れば、一人当たり2%の成長の達成は十分可能と考えられる(
第34表
)。
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