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I 指定科目
(1) 考え方
指定科目とは、精神保健福祉士の業務を適切に行うために必要な精神障害者の保健及び福祉に関する専門的な知識及び技術として、4年制大学等において最低限履修すべき科目であり、指定科目履修者には受験資格が与えられます。
<指定科目>
1 | 精神医学 |
2 | 精神保健学 |
3 | 精神科リハビリテーション学 |
4 | 精神保健福祉論 |
5 | 社会福祉原論 |
6 | 社会保障論、公的扶助論、地域福祉論のうち1科目 |
7 | 精神保健福祉援助技術総論 |
8 | 精神保健福祉援助技術各論 |
9 | 精神保健福祉援助演習 |
10 | 精神保健福祉援助実習 |
11 | 医学一般 |
12 | 心理学、社会学、法学のうち1科目 |
1 | 社会福祉原論 |
2 | 社会保障論、公的扶助論、地域福祉論のうちの1科目 |
3 | 精神保健福祉援助技術総論 |
4 | 医学一般 |
5 | 心理学、社会学、法学のうちの1科目 |
(2)養成施設におけるカリキュラム
(1)考え方
大学等において基礎科目を履修している者については「精神保健福祉士短期養成施設等」を、指定科目、基礎科目のいずれも履修していない者については「精神保健福祉士一般養成施設等」を、それぞれ修了することにより、精神保健福祉士の受験資格が与えられます。これらの養成施設等において設けられるリキュラムを養成カリキュラムと言います。
(2)養成カリキュラム(昼間課程、夜間課程)
科 目 | 時間数 | |
精神保健福祉士 短期養成施設等 |
精神保健福祉士 一般養成施設等 |
|
精神医学 | 60 | 60 |
精神保健学 | 60 | 60 |
精神科リハビリテーション学 | 60 | 60 |
精神保健福祉論 | 90 | 90 |
社会福祉原論 | 60 | |
社会保障論 | 60 | |
公的扶助論 | 30 | |
地域福祉論 | 30 | |
精神保健福祉援助技術総論 | 60 | |
精神保健福祉援助技術各論 | 60 | 60 |
精神保健福祉援助演習 | 60 | 60 |
精神保健福祉援助実習 | 270 | 270 |
医学一般 | 60 | |
心理学 | 30 | |
社会学 | 30 | |
法学 | 30 | |
合 計 | 660 | 1,050 |
備考 | 1 | 大学、職業能力開発大学校等、その他厚生大臣の定める学校、文教研修施設又は養成所において既に履修した科目については、免除することができます。 |
2 | 指定施設において1年以上相談業務に従事した後、入学又は入所する者は、精神保健福祉援助実習は免除するものとする。 |
(4)養成カリキュラム(通信課程)
科 目 | 時間数 | |||
精神保健福祉士 短期養成施設等 |
精神保健福祉士 一般養成施設等 |
|||
面接 授業 |
印刷教材に よる授業 |
面接 授業 |
印刷教材に よる授業 |
|
精神医学 | 6 | 162 | 6 | 162 |
精神保健学 | 6 | 162 | 6 | 162 |
精神科リハビリテーション学 | 6 | 162 | 6 | 162 |
精神保健福祉論 | 9 | 243 | 9 | 243 |
社会福祉原論 | 6 | 162 | ||
社会保障論 | 6 | 162 | ||
公的扶助論 | 3 | 81 | ||
地域福祉論 | 3 | 81 | ||
精神保健福祉援助技術総論 | 6 | 162 | ||
精神保健福祉援助技術各論 | 6 | 162 | 6 | 162 |
精神保健福祉援助演習 | 6 | 162 | 6 | 162 |
医学一般 | 6 | 162 | ||
心理学 | 3 | 81 | ||
社会学 | 3 | 81 | ||
法学 | 3 | 81 | ||
合 計 | 39 | 1,053 | 78 | 2,106 |
備考 | 1 | 大学、職業能力開発大学校等、その他厚生大臣の定める学校、文教研修施設又は養成所において既に履修した科目については、免除することができます。 |
2 | 精神保健福祉援助実習が、90時間以上行われること。ただし、指定施設において1年以上相談援助の業務に従事した後、入学又は入所する者については、これを免除するものとします。 |
(3)シラバスについて
精神保健福祉士養成施設等における授業科目の目標及び内容は以下のとおりです。
[目標]
1 精神医学、精神医療の歴史を理解させる。
2 脳および神経の生理・解剖の基礎を理解させる。
3 精神医学の概念について理解させる。
4 精神医学診断の基本的な方法について理解させる。
5 代表的な精神障害について理解させる。
6 治療の概要について理解させる。
7 病院精神医学および地域精神医学について理解させる。
[内容]
1 精神医学、精神医療の歴史
2 脳および神経の生理・解剖
3 精神医学の概念
(1)薬物療法とその副作用
(2)電気ショック療法
2)精神療法
3)環境・社会療法
4)精神科リハビリテーション
[目標]
1 精神保健についての基本知識について理解させる。
2 ライフサイクルにおける精神保健について理解させる。
3 精神保健における個別課題への取り組みと実際について理解させる。
4 地域精神保健と地域保健について理解させる。
5 諸外国における精神保健の概要について理解させる。
6 関連法規および施設について理解させる。
[内容]
1 精神保健についての基本知識
[目標]
1 精神科リハビリテーションの概念について理解させる。
2 精神科リハビリテーションの構成について理解させる。
3 精神科リハビリテーションのプロセスと技術について理解させる。
4 精神保健福祉士が行うリハビリテーションについて理解させる。
5 精神科リハビリテーションにおける連携について理解させる。
[内容]
1 精神科リハビリテーションの概念
(1)病院リハビリテーション施設等
(2)社会復帰施設及びその他の社会資源(小規模作業所、グループホーム、地域生活支援事業など)
(3)精神保健福祉センター及び保健所
(4)その他の協力機関、支援団体
5)精神科リハビリテーションの関連領域
(1)病院におけるリハビリテーション
(2)社会復帰施設及びその他の社会資源におけるリハビリテーション
(3)地域におけるリハビリテーション
3)疾病の経過、ライフサイクルと精神科リハビリテーション
(1)集団精神療法における精神保健福祉士
(2)生活技能訓練における精神保健福祉士
(3)デイケアおよびナイトケアにおける精神保健福祉士
(4)訪問看護・指導における精神保健福祉士
2)社会的リハビリテーション
(1)日常生活への適応のための訓練
(2)社会復帰のための相談・助言・指導
(1)地域ネットワーク
(2)ケアマネジメント
(3)地域生活支援事業と訪問援助
(4)家族会および自助グループ
(5)ボランティアの育成と活用
(6)職業リハビリテーション
(7)精神保健福祉施策と精神科リハビリテーション
[目標]
1 障害者福祉の理念と意義及び障害者基本法等全ての障害者に共通の福祉施策の概要について理解させる。
2 精神障害者の人権について理解させる。
3 精神保健福祉士の理念、意義、対象について理解させる。
4 精神障害者に対する相談援助活動等を理解させる。
5 精神保健福祉法、精神保健福祉士法等精神障害者に関する法律の意義と内容を理解させる。
6 精神保健福祉施策の概要について理解させる。
7 精神保健福祉の関連施策について理解させる。
[内容]
1 障害者福祉の理念と意義
(1)障害者福祉の発達
(2)ノーマライゼーション
(3)リハビリテーション
(4)生活の質(QOL)
(5)生活支援
2)障害及び障害者
(1)障害の概念
(2)障害分類(国際障害分類を含む)
(3)精神障害の特性
3)障害者福祉の基本施策
(1)障害者基本法
(2)障害者プラン
4)現代社会と精神障害者
(1)精神障害者の概念
(2)精神障害者と家族
(3)精神障害者と地域社会
(4)精神障害者のノーマライゼーション
(1)医療施設における相談援助活動
(2)社会復帰施設等における相談援助活動
(3)地域社会における相談援助活動
4)相談援助活動の事例
(1)精神障害者福祉対策
(2)社会復帰対策
4)精神保健福祉における社会資源
(1)精神障害者保健福祉に関わる専門職との連携
(2)社会資源
[目標]
1 現代社会における社会福祉の理念と意義について理解させる。
2 社会福祉の対象と援助の形態及び方法について、老人や障害者を中心に介 護との関係に十分留意させつつ理解させる。
3 社会福祉サービス体系の概要について理解させる。
4 社会福祉の専門性と倫理について理解させる。
5 社会福祉関係職種の内容について理解させる。
6 社会福祉の法体系、実施体制及び財政全体の概要について理解させる。
7 社会福祉を巡る我が国及び諸外国の動向について理解させる。
[内容]
1 現代社会と社会福祉
[目標]
1 現代社会における社会保障の理念と意義について理解させる。
2 社会保障制度の体系について理解させる。
3 社会保障の各制度の概要について理解させる。
4我が国の年金保険について熟知させる。
5 我が国の医療保険について熟知させる。
6 我が国の介護保険について熟知させる。
7 我が国の民間保険の概要と公的施策との関係について理解させる。
8 社会保障の実施体制及び専門職について理解させる。
[内容]
1 現代社会と社会保障
[目標]
1 現代社会における公的扶助の理念と意義について理解させる。
2 生活保護のしくみと近年の動向について理解させる。
3 生活保護及び関連分野の組織・専門職及びその連携のあり方について理解 させる。
[内容]
1 現代社会と公的扶助
[目標]
1 地域福祉の理念と内容について理解させる。
2 地域福祉の推進方法について理解させる。
3 地域福祉の現状について理解させる。
[内容]
1 現代社会におけるコミュニティと地域福祉
2 現代社会と地域福祉
[目的]
1 精神障害者を中心とした社会福祉サービスと援助活動について理解させる。
2 精神障害者を中心とした社会福祉援助活動の目的・価値等を具体的事例に基づいて理解させる。
3 社会福祉援助活動における専門的援助技術の体系について理解させる。
4精神保健福祉士と専門的援助技術について理解させる。
[内容]
1 精神障害者を中心とした社会福祉サービスと援助活動
(1)医学モデル
(2)生活モデル
4)社会福祉援助活動の共通課題
(1)契約・介入・課題の意義と方法
(2)面接の意義と方法
(3)記録の意義と方法
(4)評価の意義と方法
(5)スーパービジョンの意義と方法
(6)自助グループ及びボランティアとの協力
(7)ケアマネジメントの意義と方法
(1)個別援助技術(ケースワーク)
(2)集団援助技術(グループワーク)
2)間接援助技術の内容と機能
(1)地域援助技術(コミュニティーワーク)
(2)社会福祉調査法(ソーシャルワーク・リサーチ)
(3)社会福祉運営管理(ソーシャル・アドミニストレーション)
(4)社会計画(ソーシャル・プランニング)
(5)その他(ソーシャル・アクション、患者権利擁護、エンパワーメント)
[目標]
1 精神障害者の疾病及び障害に配慮した個別援助技術(ケースワーク)について具体的事例に基づき理解させる。
2 精神障害者の疾病及び障害に配慮した集団援助技術(グループワーク)について具体的事例に基づき理解させる。
3 精神障害者ケアマネジメントについて具体的事例に基づき理解させる。
4精神障害者を対象とした地域援助技術(コミュニティワーク)について具体的事例に基づき理解させる。
5 精神障害者を対象とした援助技術について具体的事例に基づき理解させる。
[内容]
1 精神障害者を対象とした個別援助技術(ケースワーク)
(1)ノーマライゼーションの推進と住民参加
(2)社会資源の活用と開発
(3)地域社会における連携と調整機能
(4)家族会、自助グループの支援
(5)ボランティア等地域マンパワーの育成と活用
(6)地域援助
3)具体的事例検討
(1)ケアマネジメント
(2)適用と対象
(3)人権への配慮
2)ケアマネジメントの意義と留意点
(1)ケアマネジメントの意義と留意点
(2)関係機関との連携
3)ケアマネジメントのプロセス
(1)受理面接(インテーク)
(2)ニーズの把握とその評価
(3)目標設定と計画的実施
(4)包括的サービスの実現
4)チームケアとチームワーク
5)具体的事例検討
[目標]
1 精神保健福祉士の専門的援助技術及びリハビリテーション技法について、 実技指導を中心とする演習形態により具体的事例を取り上げ、個別指導及び 集団指導を通してその精度を高めつつ習得させる。
2 学生自身が自分自身で学習し、考え、主体的に行動する態度を養成する。
[内容]
精神障害者に対する援助技術及びリハビリテーション技法が学生個々人に身につくよう、精神障害者の社会復帰に対する援助事例を取り上げるなどして、担当教員による個別指導並びに集団指導の下で、学生自身が積極的に報告し議論しあう形で事例研究およびロールプレイ等を行う。その際、次の点に留意すること。
1 実習前においては、少なくとも精神病院等保健・医療施設及び社会復帰施 設等福祉施設における精神障害者援助技術のモデル的な事例を取り上げ、講 義の内容を深め、実習の教育効果が上るようにする。
2 演習を通して援助関係の実際及びチーム医療の実践を身につけるようにする。
3 実技指導等
4精神保健福祉士としての、職業倫理についての理解を身につけるようにする。
5 実習後においては、実習総括をふまえて、精神障害者に対する援助技術及びリハビリテーション技法をより深めて身につけさせるようにする。
[目標]
1 現場体験を通して精神保健福祉士として必要な知識及び技術並びに関連知識の理解を深める。
2 精神保健福祉士として必要な知識及び技術並びに関連知識を実際に活用し、精神障害者に対する相談援助及びリハビリテーションについて必要な資質・ 能力・技術を修得する。
3 職業倫理を身につけ、専門職としての自覚に基づいた行動ができるようにする。
4 具体的な体験や援助活動を、専門的援助技術として概念化し理論化し体系だてていくことができる能力を涵養する。
5 関連分野の専門職種との連携のあり方を理解する。
[内容]
精神病院等保健・医療施設及び社会復帰施設等福祉施設における精神障害者 援助実習には、精神障害者のプライバシーに十分配慮しつつ、下記の内容を必ず含めることとする。但し、4は必要に応じ行うこととする。
1 実習オリエンテーション
2 視聴覚学習
3 現場体験学習
4見学実習(急性期病棟など)
5 専門援助技術実習指導
6 リハビリテーション実習指導
7 配属実習
8 全体総括
[目標]
1 人体の基本的な構造や機能について理解させる。
2 臨床医学の各分野の概要について理解させる。
3 医学的リハビリテーションの概要について理解させる。
4現代社会の代表的な疾患について理解させる。
5 公衆衛生の概要を理解させる。
6 保健医療対策の概要を理解させる。
7 医事法制と保健・医療機関及び専門職について理解させる。
[内容]
1 人体の構造・機能
2 一般臨床医学(内科学、外科学、整形外科学、精神・神経科学等)の概要
3 医学的リハビリテーションの概要
4現代社会と疾病
[目標]
1 心理学の概要を理解させる。
2 乳幼児期・児童期・青年期・老年期等人間の発達段階のそれぞれの時期に 特有な身体的、心理的特徴について理解させる。
3 心理学理論による人間理解とその技法の基礎について理解させる。
4心理学的援助技法の概要について理解させる。
[内容]
1 人間の心理学的理解
(1)精神分析
(2)行動分析
2)測定と診断
(1)発達
(2)知能
(3)性格
[目標]
1 現代社会の特質について理解させる。
2 現代社会における家族や地域社会の特徴について理解させる。
3 現代社会における社会問題について理解させる。
[内容]
1 経済社会の変化と国民の生活及び意識の変化
2 現代社会と科学技術
[目標]
1 社会生活における法の作用や役割について理解させる。
2 憲法、民法及び行政法の基礎を理解させる。
[内容]
1 社会生活と法
2 憲法
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