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4.「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向(ゴールドプラン21)」について

(1)ゴールドプラン21の策定について
ア 策定の経緯について
 高齢者保健福祉施策の充実については、かねてより、「新・高齢者保健福祉推進
10か年戦略(新ゴールドプラン)」により着実に推進してきたところである。新ゴールドプランは平成11年度で終了することとなるが、平成12年度以降我が国においては、高齢化がますます進行し、世界最高水準に達する一方で、平成12年度には介護保険法が施行され、その一環として、全国の地方自治体において介護保険事業計画等が策定されること、同じく平成12年度から「健康日本21」とも連携を取って保健事業第4次計画が開始されることなどから、平成12年度以降の新たな状況に的確に対応することが課題となっている。そのような中で、昨年10月29日には、与党3党から介護制度に関する申し入れが政府に対してなされ、11月5日には政府として、新ゴールドプラン後の新たなプランを策定する方針が決定された。また、同じく11月29日には、10月15日時点における都道府県からの報告を基に、65歳以上の高齢者人口数等の見込み及び主な居宅サービス量及び施設サービス量の見込みについて厚生省における集計が完了し、公表が行われた。これらを踏まえ、新たなプランについて検討を行ってきたが、最終的には、昨年12月19日未明、予算編成に当たっての事前大臣協議において、大蔵、厚生、自治3大臣の合意により、新たなプラン(ゴールドプラン21)が平成12年度から開始されることとなった。(参考資料3、4参照。)
イ プランの概要
 プランの名称は、「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向」であり、その名前のとおり、介護保険法に基づくサービスを中核に据えながら、いかに地域の高齢者保健福祉水準の向上を図るべきか施策の大きな方向性を示している。略称については、21世紀に向けたプランということから、「ゴールドプラン21」としている。
 プランは大きく3つの部分から構成されている。
 第1は「プランの基本方向」であり、4つの基本的な目標を掲げている。社会全体で活力ある高齢者像の実現に向けて、意識改革を含め取り組むことが肝要であること、同時に要援護の高齢者やその家族が安心できるよう、介護サービスの質量ともの確保を目指すこと、また、これら高齢者に対する支援が地域においてなされなければならないこと、サービス提供が契約化される中で介護サービスの信頼性の確保こそ重要であることなど、介護保険法に基づくサービスを中核としながら、地域において高齢者に対する保健福祉施策を講じる上で基本となるべき目標を示している。次にプランの期間については介護保険事業計画及び保健事業第4次計画との整合性を踏まえ、平成12年度から平成16年度までの5か年計画としている。
 第2は、「今後取り組むべき具体的施策」であり、介護サービスの基盤整備と健康・生きがいづくり、介護予防、生活支援対策を車の両輪として進めていくこととしているが、具体的に6つの柱からなる各論として示している。介護サービスの確保に関わる部分が1と2の柱であり、特に痴呆性高齢者に対する支援が重要性を増していることから独立させている。3つ目の柱が活力ある高齢者像を構築していくための介護予防、生きがい等の一連の施策をまとめたものであり、啓発の意味も込めて「ヤング・オールド(若々しい高齢者)作戦」として展開していくこととしている。4つ目の柱が地域における支援体制づくりであり、生活支援サービスもこの中で採り上げている。5つ目の柱が措置から契約への仕組みの変更を踏まえた介護サービスの信頼性の確保に関わる部分であり、利用者の保護、介護サービスの健全な育成、質的な向上を目指すこととしている。最後の柱は、高齢者の保健福祉の基礎を支える部分であり、様々な取り組みを通じて、最も大本となる土台の強化に努めることとしている。
 第3は、「平成16年度における介護サービス提供量」であり、数量的に介護サービス提供の見込み量を示しているが、さる11月29日に公表した介護サービス量の取りまとめを基礎としたものである。したがって、この提供量が確保されれば、基本的には各自治体における需要に対応できるものと考えており、その確保に向けて支援に努めることとしている。
ウ 平成12年度予算における対応
 プラン初年度の平成12年度に講じようとしている具体的施策については、
(1) 特別養護老人ホーム等、地域において必要な介護サービス基盤の整備を引き続き進めるとともに、介護サービスの質の確保に重点を置き、ホームヘルパーのより上級に向けた研修(ステップアップ研修)等を実施、
(2) 今後、我が国において急速に増加することが見込まれる痴呆性高齢者支援対策として、痴呆性老人グループホームの整備を推進するとともに、高齢者痴呆介護研究センターを中心とした痴呆介護の質的向上・専門職の養成、
(3) 高齢者ができる限り、健康で生き生きとした生活を送ることができるよう「ヤング・オールド作戦」を新たに推進する、等である。
 このため、平成12年度において、ゴールドプラン21関係経費として、特別養護老人ホームや老人保健施設等の施設整備関係経費が約1,331億円、介護予防、生活支援など介護保険サービス以外の関係経費が約1,383億円、総額約2,714億円の予算を確保したところであり、今後とも新プランの推進に努めてまいりたい。



(2)ゴールドプラン21を踏まえた老人保健福祉計画の作成について
 現在、全国の地方公共団体において、老人保健福祉計画の策定に取り組んでいただいているところであるが、今後の高齢者保健福祉施策の方向性を明らかにする上で、老人保健福祉計画は重要な意義を有している。
 これまで、老人保健福祉計画の見直しについては、全国介護保険担当課長会議において示した「老人保健福祉計画の見直しについて(基本となる考え方)」、「老人保健福祉計画参考事例集」等をもとに進めていただいているが、前述したようにゴールドプラン21が策定されたことから、そうした考え方も参考として、それぞれの地域の実情に応じた老人保健福祉計画づくりを進められたい(参考として、東京都の「安心・いきいき・支え合いの21世紀高齢者ビジョン」の抜粋を示した。)

(参考) 21世紀高齢社会ビジョン <抜粋> (東京都)
東京の高齢社会のすがた

 「21世紀高齢社会ビジョン」により、介護保険の実施に向けた対応などの緊急課題に取り組み、つぎのような東京の高齢社会の実現をめざします。

東京の高齢社会のすがた
21世紀の東京の高齢者施策

重点施策の展開

 高齢化の急速な進行や介護保険の実施などに対応した緊急課題に取り組み、そのなかで、めざすべき東京の高齢社会を実現するために、つぎのような方針で、重点的に施策を展開します。

(1) 介護保険の円滑な実施
 介護保険は、介護を社会的に支えるしくみとして極めて重要です。
 保険あって介護なしということがないよう、高齢者が必要なサービスを自ら選択して利用できるための介護サービス基盤の整備を急ぎます。
 介護保険の実施により、サービスの提供が「措置」から「契約」に変わります。また、民間などの多様なサービス提供事業者が、新たに参入してきます。こうしたことから、利用者を保護するしくみづくりや事業者の育成指導など、ソフト面での体制を整備します。

(2) 高齢者の自立支援と在宅福祉充実
 介護保険の対象にいたらない高齢者や、在宅のひとり暮らし高齢者についても、自立した生活を続けられるよう、支援することが必要です。
 介護保険の実施とあわせ、介護保険の対象外サービスの充実を図ることも課題です。ひとり暮らし高齢者などが、自立して在宅生活をおくるために必要な施策を展開していきます。

(3) 元気な高齢者への施策充実
 元気な高齢者は、現在、高齢者の約8割を占め、今後さらに増加すると見込まれます。
 サラリーマンOBが多い東京の特色も踏まえ、元気な高齢者の社会参加の促進、豊かな知識・経験を社会的に活用することが求められており、そのためのの施策を充実していきます。また、介護が必要な状態にならないための寝たきり予防、健康の維持・増進にも積極的に取り組みます。

(4) 区市町村主体の地域福祉の推進
 平成2年に老人福祉法などのいわゆる福祉8法が改正され、区市町村主体の地域福祉の推進に向け、法的には整備がなされています。しかし、その後も、国や区市町村、民間などとの役割分担が十分整理されてきませんでした。
 区市町村が保険者となる介護保険の実施を契機に、都民に身近な区市町村主体の地域福祉を一層推進します。区市町村が地域の実情に応じた、きめ細かなサービスを総合的に展開できるように、独自の施策を柔軟に実施できる包括補助事業などの施策を、思い切って充実させます。

(5) 自助・共助・公助のバランスをとるため、共助を積極支援
 これまでの福祉は、公的サービスを中心に展開されてきました。高齢化の急速な進行や、介護を社会的に支えるしくみである介護保険が実施される機会をとらえ、自立・自助や共助、とりわけ共助を一層進めます。
 そのため、NPOやボランティアなどの地域貢献的な活動の支援策を充実します。

高齢者施策の新たな展開一覧(主なもの)



(3) 都道府県介護保険事業支援計画における施設整備量の見込み方について
 介護サービス量の見込みとして市町村が算出した数値は施設の利用人員数であることから、都道府県介護保険事業支援計画において施設整備量を見込むに当たっては、稼働率を考慮し、それぞれ次の数値で割り戻すこととされたい。

 ・特別養護老人ホーム-----0.986
 ・老人保健施設-----------0.878
 ・療養型病床群-----------0.909

 その上で、介護サービス量をまかなうための施設整備は前年度中に実施しておく必要があることから、割り戻して得られた平成16年度の数値と平成11年度末時点での整備量との差について、平成15年度までの4年間(平成12〜15年度)に整備することを基本とされたい。


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