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4 母子寡婦等福祉対策について

(1)児童扶養手当について

1) 手当額
物価スライドの特例
平成11年の消費者物価指数の下落が見込まれるが、平成12年度の手当額は前年度と同額とする。

 (11年度) (12年度)
全部支給 42,370円→ 42,370円
一部支給 28,350円→ 28,350円

2) 所得制限限度額
 平成11年度に、勤労者の所得が伸びていないことから据え置いたところであるが、平成12年度においても、依然として勤労者の所得が伸びていないことから、平成11年度と同額とする。

本  人 (11年8月〜) (12年8月〜)
全部支給(2人世帯・年収) 204.8万円 → 同 額
一部支給(2人世帯・年収) 300.0万円 →  〃
扶養義務者等(6人世帯・年収) 600.0万円 →  〃

3) 制度の適正な運営等
 児童扶養手当制度については、制度の適正な運営を確保するため、常に支給要件や事実関係の的確な把握に努めることが必要である。また、受給資格者に対する的確な制度の趣旨・支給要件等についての周知徹底も不可欠である。特に、児童扶養手当法第6条第2項及び第3項に規定する5年の認定請求期限については、受給資格者が支給要件に該当するに至った日以後5年を経過したときは、認定の請求をすることができない(ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。)とされていることから、受給資格者が児童扶養手当制度及び当該規定の趣旨の不知等により、請求できないケースが発生することがないよう周知徹底方お願いいたしたい。
 各都道府県におかれては、これらの趣旨を踏まえ、広報誌やパンフレットによる周知徹底のみならず、市区町村、母子相談員、児童委員、母子福祉団体等各方面の協力を得て、幅広い周知徹底を図るとともに、受給資格者のプライバシーに配慮しつつ不適正受給等にかかる債権の発生防止に努める等、厳正かつ適正な制度運営に努められたい。
 また、管下市区町村に対して、認定請求、現況届等関係書類の適正な審査を引き続き指導するとともに、担当職員への研修会等をさらに充実し、受給者や新たに手当の請求を行う者に対し、制度の趣旨の説明やプライバシーに配慮した適切な応対等をこれまで以上に留意させ、制度に対する誤解や福祉に対する国民の信頼を損なうことのないようにされたい。

(2)母子家庭等の自立促進について

1) 就労支援対策について
 母子家庭の自立のためには、雇用の確保が極めて重要であることから、従来から就労支援対策を推進してきたところである。
 平成12年度予算案では、保護者が出張、残業等で児童の養育が一時的に困難な場合に、児童福祉施設で預かる子育て支援短期利用事業において、保育士を派遣するとともに、休日にも対応できるようにするなど拡充を図ることとしている。
 母子家庭の母を取り巻く雇用環境は、現在、極めて厳しい状況下にあることから、各都道府県等におかれては、母子家庭就労支援計画の策定や関係機関の連携強化等による総合的な就労支援体制の整備を図る「就労促進支援事業」への積極的な取組によって、市町村、公共職業安定所等関係機関とも十分連携を図りながら、就労支援対策をさらに充実願いたい。

2) 母子寡婦福祉貸付金について
 平成12年度予算案においては、1)就労確保・促進の観点から、事業開始・事業継続資金の無利子化、2)介護保険制度を利用した場合の自己負担分に対応できるよう療養資金(特別分)の貸付限度額の引上げ等を盛り込み、貸付原資の追加として54.9億円を計上したところである。
 また、本貸付金が、母子家庭の経済的自立のために効果的に活用されるよう、市町村はもとより、修学資金等については、教育委員会とも連携し、学校関係者へも十分な周知を願いたい。
 なお、必要な時期に貸付が行われるよう事務処理について一層のご努力と償還促進について引き続きお願いする。

3) 母子生活支援施設について
 母子家庭の有する問題の複雑・多様化に伴い、母子生活支援施設の機能強化が、これまでにも増して重要となってきており、施策の充実を図ってきているところである。
 平成11年度においては、1)夫などからの暴力により保護を必要とする母子の広域受入れに必要な経費について措置費に加算するとともに、2)施設機能の地域開放の一環として、監護すべき児童を伴わない女性に対しても、相談・指導を行うことができることとした。
 また、平成12年度予算案では、子育て支援短期利用事業の短期入所生活援助(ショートスティ)事業において、母子を緊急一時保護する場合、児童分の費用のみ補助していたものを、新たに母親の生活費相当を助成することとしたので、本事業への積極的な取組をご指導願いたい。
 なお、このように、母子生活支援施設の充実強化を図っているにも関わらず、一部公立施設では職員の適正配置がなされず、単なる住居の提供にとどまり、母子家庭の自立に向けその生活を支援していくという本来の施設機能を果たしていないところも見受けられるが、こうした施設に対しては、統廃合等の検討も含め適正な施設運営について厳正なる指導をお願いする。

4) 相談指導体制の整備について
 母子家庭に対する自立促進のための相談・指導体制の一層の充実強化を図るためには、母子相談員や母子生活支援施設、母子福祉団体等の果たす役割は極めて重要であり、特に、母子相談員については、母子寡婦福祉貸付金の業務に限らず、各種相談業務への積極的な対応が必要であり、その活用と適正な配置についてご配慮願いたい。

5) 父子家庭への支援について
 父子家庭に対しては、従来から父子家庭等支援事業、介護人派遣事業、特別相談事業などを実施してきたところである。
 平成12年度予算案において、子育て支援短期利用事業の中で新たに保育士の派遣や休日預かりの導入など、さらなる利便の向上を図ったので、各都道府県等におかれても、父子家庭支援に係るこれら事業の一層の広報及び積極的な活用をお願いする。

(3)子育て支援短期利用事業について

 本事業は、保護者が疾病、出産、残業等の事由により、家庭での養育が一時的に困難な児童や夫の暴力などにより緊急一時的に保護を必要とする母子を児童福祉施設で預かる事業であるが、平成12年度予算案においては、1)共働きの子育て家庭にも拡大し、2)保育士等の派遣による事業の実施、3)休日預かりの実施、4)緊急一時保護の母親への生活費相当の助成の実施などの事業の拡充を行うこととしているので、積極的な取組についてご指導方よろしくお願いする。


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