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3 児童自立支援施策について

(1)児童福祉施設入所児童支援事業の創設について
 児童福祉施設については、昨年、複数の自治体の児童養護施設等において職員が入所児童に対し身体的苦痛や人格を辱める等懲戒に係る権限の濫用に当たる行為を行っていたことが判明し、通知を発出して迅速かつ適切な対応をお願いしたところである。
 これら児童の権利を擁護し適切な処遇を確保するためには、第三者が客観的かつ専門的な立場から、児童養護施設等に入所している児童の処遇について評価するとともに、児童の不満や苦情にも適切に対応する仕組みを作ることが重要であることから、本事業を創設し、全国10か所で試行的に実施することとしているので、積極的な取り組みをお願いする。

(2)地域小規模児童養護施設の創設について
 児童養護施設の入所児童については、早期の家庭復帰を通じた自立支援を図る観点から家庭環境の調整に取り組んでいただいているところであるが、実親が死亡したり、行方不明等の場合には、長期にわたり家庭復帰が見込めないことから、主としてこれらの児童を対象に、本体児童養護施設と一体的に運営するものとして、地域の住宅地などに新たな小規模な施設(定員6名)を全国10か所(各ブロック1か所程度)に設置し、近隣住民との適切な関係を保持しつつ、家庭的な環境の中で養護を実施することにより、入所児童の社会的自立を促進するものである。
 なお、その運営に係る費用については、新たな単価を設定し措置費から支弁し、施設整備についても補助の対象とする。

(3)児童養護施設の整備等について
 最近の児童養護施設入所児童の年齢構成(中・高校生の割合が増加していること)など、その現状に鑑み、これら児童のプライバシーを確保し、住環境を中心とした生活環境の改善のために、平成12年度から、個室化の推進及び補助基準面積の拡大を図ることとしている。
 特に、児童福祉施設最低基準改正後の最低基準の規程の適用において、「当分の間、なお従前の例による」とされた居室のある施設については、整備を促進し、児童の生活環境の改善に積極的に取り組まれるようお願いする。
 (現行)(平成12年度)
一人当たり 23.5平方メートル →25.9平方メートル

また、平成11年度第2次補正予算において、

ア 児童養護施設の整備促進
 児童養護施設の中には多人数で使用する居室があり、入所児童のプライバシーの保護の観点等入所児童の生活環境の改善を図るため、居室面積が狭隘で老朽度の高い施設の整備促進を図る。

イ 心理療法器材の整備
 児童養護施設等には、虐待など家庭環境上の理由により入所してくる児童が急増しており、虐待などの不適切な養育を受けた児童に対して心の傷を癒すために有効である箱庭療法用具などの心理療法に必要な器材を138か所に整備する。
こととしているので、これが整備方について積極的に取り組まれるようお願いする。

(4)児童自立支援施設入所児童の就学について
 児童自立支援施設入所児童の就学については、民生主管部局と教育委員会が密接に連携を取りながら、早期に就学できるようご尽力いただいているところである。厚生省においても、学校教育実施促進事業を継続して実施するとともに、文部省と連携しつつ、入所児童が早期に円滑に就学できるよう努めているところであり、各都道府県におかれても、引き続き一層のご尽力をお願いしたい。

(5)入所児童の処遇について
 入所児童の適切な処遇の確保については、一昨年、児童福祉施設最低基準を改正し、施設長の懲戒に係る権限の濫用を禁止する規程を明確にし、その徹底を図ってきたところであるが、先般、複数の児童養護施設等において職員が入所児童に対し身体的苦痛や人格を辱める等懲戒に係る権限の濫用を行う行為を行っていたこと、また、千葉県の児童養護施設において園長が過去に行っていた体罰について更に新たな指摘があったにもかかわらず、迅速な対応がなされなかったことは誠に遺憾である。
 今後は、体罰等児童への権利侵害に当たる行為の蓋然性が高いと判断された場合、入所児童や職員など関係者に対し、都道府県児童福祉審議会の関与などによる客観的な調査を速やかに実施し、関係者からの証言等により体罰等入所児童への権利侵害が明らかとなり、最低基準に達しないものと判断された場合には、児童福祉法第46条に基づく改善勧告を行う等厳正に対処されたい。
 また、入所児童の健全育成と権利擁護が図られるよう、管下施設の運営指導、児童相談所による技術的支援、職員研修の充実等にも引き続き努力されるようお願いする。

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