トピックス | HOME | 本文目次 | 前ページ | 次ページ |
急速に少子・高齢化が進展する中で、地域社会においては、社会福祉協議会(以下、本項において「社協」という。)、民生委員をはじめとして、ボランティア団体、生協、地域住民等による助け合い活動や様々な福祉活動が活発になってきている。
地域福祉を進めていくうえで、公的施策の充実はもとより、このような地域社会における住民相互の助け合いや交流活動、社協等の民間福祉活動等の支援を積極的に進めていくことが重要であるため、厚生省としては、今後とも次のような取組みを通じて地域福祉の推進を図っていくこととしている。
1) 社協については、市区町村社協を中心として、「ふれあいのまちづくり事業」の実施等により、地域に密着した社協活動の一層の充実を図る。
2) ボランティア活動については、社協に設置されたボランティアセンターへの助成等を通じ、国民の自主的・自発的な福祉活動への参加を促進するための基盤整備を積極的に図っていく。
3) 民生委員については、地域住民の身近なところで活動する民生委員の特徴に鑑み、民生委員に対する研修の実施により、資質の向上、活動の強化を図る。
各都道府県・指定都市・中核市においては、このような動向に十分留意され、地域社会において社協、ボランティア、民生委員等の活動が一層活発になるよう、その指導等に積極的に取り組まれたい。
(1) 社協活動の推進
ア ふれあいのまちづくり事業の推進
【A型事業】 | 11年度 | 12年度(案) | |
○ 1〜3年次 | 11,866千円 | → | 10,595千円 |
○ 4,5年次 | 9,785千円 | → | 8,814千円 |
【B型事業】 | 2,081千円 | → | 1,781千円 |
イ 「市区町村社協強化推進事業」の充実
近年、市区町村社協は、都道府県・指定都市社協の実施する「事業型社協推進事業」による支援等を受けながら、様々な在宅福祉サービス等の企画・実施に取り組んできたところである。
これら、訪問介護(ホームヘルプサービス)事業等の住民に対する直接的なサービスは、社会福祉協議会に対する地域住民の信頼を高め、社会福祉協議会の事業への住民参加を促進する効果があったことから、今後とも地域の実情に応じて自主的に取り組んでいくことが望まれる。
今後は特に、地域で活動する住民組織、ボランティア組織の連携強化、一般の社会福祉事業者が行わないような日常的生活援助等の事業が、市区町村社会福祉協議会の中心的な活動として展開されることが必要である。同時に、利用者によるサービスの選択を援助するための情報提供、権利擁護、苦情解決などの役割も期待されている。
このような事業を積極的に展開していくためにも、会費や寄付金等の自主財源の一層の充実が望まれるとの意見が、中社審社会福祉構造改革分科会より具申された。
このため、都道府県・指定都市社協が、インフォーマルな福祉サービスの研究開発や巡回指導を実施することにより、市区町村社協の事業型化を更に推進するとともに、独自財源の確保、活動手法等に関する検討、管理職員等を対象とした研修の実施を通じて運営基盤の強化についての助言、指導等を行う「市区町村社協強化推進事業」を平成11年度より行っているとこである。
また、平成12年度予算(案)により、本事業において複数の市区町村社協か共同で在宅福祉サービスを行うこと等、事業の広域的実施について検討できるよう事業容の充実を図ったところである。
各都道府県・指定都市においては、これらの趣旨を踏まえ、本事業の推進について、管下都道府県・指定都市社協に対する指導・支援に特段の配慮を願いたい。
・実施主体 | 都道府県・指定都市社協 |
・1ヶ所当たり事業費 | 2,465千円(負担割合 国 1/2,県 1/2) |
(2) ボランティア活動の基盤整備
厚生省においては、「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年4月)や「ボランティア活動の中長期的な振興方策について(意見具申)」(平成5年7月)等に基づき、国民の自主性、自発性を尊重しつつ、「いつでも」、「どこでも」、「誰でも」、「気軽に」、「楽しく」、ボランティア活動に参加できるよう、ボランティアセンターに対する助成等を通じて、その基盤整備を図っているところである。
また、中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会においてまとめられた意見の中でも、地域で活動する住民組織、ボランティア組織の連携強化などの取り組みが地域福祉を推進していくうえで重要である旨、指摘されている。
都道府県・指定都市・中核市においては、これらの動向を十分に踏まえ、ボランティア活動の推進の機運を一層高めるよう、体制の整備はもとより、ボランティア基金や地域福祉基金等の積極的な活用を図る等、ボランティア活動の促進に特段の指導・支援を行うよう配慮されたい。
ア ボランティアセンター事業の推進
(ア) 都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業
11年度 | 12年度(案) | |
16,020千円 | → | 16,217千円 |
(イ) 市区町村ボランティアセンター活動事業
11年度 | 12年度(案) | |
3,483千円 | → | 3,438千円 |
イ ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰等
ボランティア活動が一層拡大していくためには、誰もがボランティア活動に参加しやすくなるための基盤整備や啓発 ・広報等を推進するとともに、ボランティア活動が社会的に評価されることが重要である。
このような観点から、厚生省においては、都道府県・指定都市・中核市等からの推薦に基づき、ボランティア功労者に対する厚生大臣表彰を毎年実施し、ボランティア活動の社会的評価の向上を図っているところである。
都道府県・指定都市・中核市においては、平成12年度においても、各地域で活動している様々な個人や団体について推薦願いたい。また、福祉分野等のボランティア功労者に対する表彰制度については、ほとんどの都道府県・指定都市・中核市において設けられているところであるが、未だ表彰制度を設けていない場合は、制度化について早急に検討されたい。
なお、被表彰者等については、活動事例の紹介等のPR活動を行うこと等により、ボランティア活動の社会的評価の向上に積極的に努められたい。
ウ その他
平成12年度(第9回)の全国ボランティアフェスティバルは、平成12年9月23日・24日に徳島県(徳島市)で開催されることとなっているので、各都道府県・指定都市・中核市においては、本フェスティバルへのボランティア等の幅広い参加等について協力願いたい。
また、今後の開催地については、平成13年度(第10回)は神奈川県が既に決定されているところであるが、平成14年度以降の開催を希望する場合は、早期に全国ボランティアフェスティバル推進協議会(事務局:全国社会福祉協議会)へ要望するとともに、社会・援護局地域福祉課へもその旨連絡願いたい。
(3) 民生委員活動の推進
ア 民生委員活動の充実
民生委員は、社会奉仕の精神をもって、地域住民に最も身近なところで相談・支援活動を行っているが、今後はより地域住民の立場に立ち、地域の福祉需要に即した相談・支援活動を活発に行っていくことが求められている。
このような時代の変化に対応した民生委員活動を行えるようにするため、中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会の意見を踏まえ、民生委員の職務内容を明確にすること等、民生委員法の改正を行い、民生委員活動の強化を図ることとしている。
各都道府県・指定都市・中核市においては、これらの動向を踏まえ、今後とも民生委員活動の円滑な遂行と充実が図られるよう努められたい。
なお、平成12年度の全国民生委員児童委員大会は、鹿児島県において開催することしているので了知願いたい。
イ 人権・同和問題に関する理解の促進等
民生委員法においては、民生委員の職務の遂行に当たり、個人の人格の尊重、差別的な取扱いの禁止について規定している(第15条)。全ての民生委員が、研修等を通じて人権問題や同和問題についての理解と認識を一層深めるとともに、日々の活動において、基本的人権の尊重や差別意識の解消に向けて、積極的に実践していくことが必要である。
各都道府県・指定都市・中核市においては、今後とも民生委員に対する人権・同和問題に関する理解と認識を深めるための研修等の充実強化に努め、その実施に当たっては、都道府県・指定都市民生委員児童委員協議会等と連携し、積極的な指導について配意願いたい。
痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者など、判断能力が不十分な者に対して福祉サービスの利用援助等を行う「地域福祉権利擁護事業」が、平成11年10月から開始されたところである。
今後、福祉サービスの利用制度化に伴い、益々ニーズが高まる事業であることから、本事業を着実に実施することが重要なため、各都道府県におかれては管下都道府県社会福祉協議会に対して特に以下の点について更なる指導、支援をお願いしたい。
平成11年度予算額 | 平成12年度予算額(案) | |
958,224千円 | → | 1,871,657千円 (平年度化による増) |
(1) 制度の効果的運営
(2) 介護保険法の円滑な実施のための特別対策
(1)利用料の自己負担(1割負担)等に対する貸付 |
福祉制度における利用者の負担は、これまで負担能力に応じたものとされていたのに対し、介護保険制度においては、基本的に全ての利用者から利用料の1割の負担を求めることとなっている。
このため、低所得者等の中には、(1)年金などの収入が得られるまで間がある、(2)家族が遠隔地に居住していること等により一時的に家族の援助が得られない等により、その自己負担額が一時的に融通できない者も生じることから、自己負担額及び食事標準負担額、介護保険料に相当する額を生活福祉資金で貸付することにより介護保険制度利用者の負担軽減を図るよう運用の拡大を図り対応するもの。
(2)現金給付(償還払い)となる介護サービスの立て替えのための貸付 |
○ 貸付限度額 270,000円以内(特別498,000円以内) ○ 貸付対象期間 原則1年(特別1年6ヶ月) ○ 据置期間 最終貸付日から6月以内 ○ 償還期限 5年以内 ○ 貸付利子 無利子 |
(1)地方改善事業の推進
(ア)地区道路・橋梁等整備事業
地区道路等の地方改善施設(設備)整備事業については、法期限内に実施できなかった事業や新たな幹線道路整備に伴うアクセス道の必要性等を勘案し、平成12年度予算(案)においても、各地方自治体の要望も踏まえた上で、所要の整備量を確保しているので、その計画的な整備について、管下市町村に対し周知願いたい。
なお、本事業については、平成9年度以降の5年間(平成13年度まで)に限り補助率を3分の2としている。
(イ)隣保館整備事業
隣保館整備事業については、一般対策移行後は、社会福祉施設等施設(設備)整備費補助金において実施しており、平成12年度予算(案)においても、各地方自治体の要望に応えうる額を確保したところである。
なお、本事業については、平成9年度以降の5年間(平成13年度まで)に限り補助率を3分の2としている。
また、一般対策移行の際、老朽施設に対する増改築等や社会福祉施設並びで昇降機設備やスロープの設置等を新たに補助対象(補助率2分の1)としているので管下市町村に対し制度の周知等引き続き指導願いたい。
(ウ)隣保館運営事業
隣保館は、周辺地域の住民を含めた地域社会全体の中で、生活上の各種相談事業など社会福祉に関する総合的事業の推進や同和問題をはじめとする人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、極めて重要な役割を担っている。
平成12年度予算(案)においては、隣保館デイ・サービス事業及び広域隣保活動事業の拡充を図ったほか、人件費等運営単価についても所要の改善を行ったところである。
また、一般対策移行時に創設された3事業(地域交流促進事業、継続的相談援助事業、広域隣保活動事業)についても、引き続きその定着を図るとともに、隣保館活動における重要な課題である高齢者、障害者在宅福祉対策についても一般施策の一層の活用が図られるよう管下市町村に対し特段の指導を願いたい。
ウ ウタリ福祉対策事業
ウタリ福祉対策については、ウタリ集落の生活環境の改善を図るため北海道庁において策定された「第4次ウタリ福祉対策」(平成7〜13年)の実施とあわせ、平成9年5月に制定されたいわゆる「アイヌ新法」の趣旨を踏まえ、アイヌの人々の福祉の向上、生活環境の改善等に向けた事業を推進する必要がある。
(ア)地区道路・橋梁等整備事業
地区道路等の施設整備事業については、平成12年度予算(案)においても所要の整備量を確保しているので、その計画的な整備について、管下市町村に対し周知願いたい。
(イ)生活館整備事業
生活館整備事業については、平成10年度以降、社会福祉施設等施設(設備)整備費補助金において実施しており、隣保館と同様に老朽施設に対する改築費等を新たに補助対象としているので関係市町村に対し、制度の周知等引き続き指導願いたい。
(ウ)生活館運営事業
生活館運営事業については、アイヌの人々を中心とした地域住民に対する相談事業や地域交流事業等を実施しているが、アイヌの人々の生活の改善、啓発等生活館の活動が一層推進されるよう関係市町村を指導願いたい。
(2)人権・同和問題に関する啓発等の推進
イ 「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画
平成7年から「人権教育のための国連10年」の取組が開始されているが、政府では平成9年7月4日に国内行動計画を策定し、「重要課題への対応」として、「同和問題」、「アイヌの人々」が位置付けられたところである。ついては、隣保館等における総合的な活動の推進やアイヌの人々に対する歴史・文化・伝統等への理解と認識を深めるなど国内行動計画の趣旨に沿った教育及び啓発が推進されるよう各般の指導を願いたい。
なお、平成8年に成立した人権擁護施策推進法に基づき、法務省に設置された人権擁護推進審議会においては、平成9年5月以降「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項」について審議が行われ、平成11年7月29日に答申がなされた。その答申においては、国、地方自治体等の人権教育・啓発を行う各実施主体が、その役割に応じて相互に連携協力して、総合的かつ効果的に人権教育・啓発を推進していくことが必要であるとされており、この答申を踏まえた一層効果的な取組が行われるよう配慮願いたい。
また、現在、人権擁護推進審議会では、「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する基本的事項」について審議がなされているので、その動向等についても注視されたい。
(1)ホームレス問題への対応
イ 「当面の対応策」に基づく施策の推進
この「当面の対応策」においては、ホームレスが自らの意思で自立して生活できるように支援することを基本に、老齢や健康上の理由などにより自立能力に乏しい人々に対しては適切な保護を行うこととし、以下の五分野にわたる施策を推進することとしている。
ウ ホームレス自立支援事業の実施
平成12年度予算(案)においては、「当面の対応策」の主要な柱である「ホームレス自立支援事業」の実施のための経費を新たに計上している。本事業は、就労意欲を持つホームレスを対象に、宿所、食事等を提供するとともに、健康診断、生活相談・指導等により自立意欲を喚起させ、公共職業安定所との密接な連携の下で職業相談員による職業相談・斡旋等を行い、就労による自立ができるよう積極的に支援する事業である。
平成12年度においては、ホームレスが相当数存在する大都市を中心に事業を実施する予定であり、関係地方公共団体については、早期に事業実施できるよう積極的な対応を図られたい。
(2)各地方公共団体におけるホームレスの実態把握について
(1)生協を取り巻く環境
(2)健全な運営の確保
(3)指導体制の確保等
(4)「消費生活協同組合模範定款例」の改正
トピックス | HOME | 本文目次 | 前ページ | 次ページ |