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11 社会福祉施設の整備等について
(施設人材課)

(1)平成12年度社会福祉施設整備費予算(案)の状況

 社会福祉施設等施設整備費
(ア)施設整備費については、平成11年度第2次補正予算において730億円、さらに平成12年度予算(案)として1,436億円、合わせて2,166 億円を予算計上し、特別養護老人ホーム等の介護関連施設、多機能保育所、障害者プラン等にかかる施設整備の着実な推進を図ることとしている。

【具体的な社会福祉施設等施設整備費の内容】
1) 介護関連施設整備分として1,115億5,300万円を計上し、ゴールドプラン21(平成12年度〜平成16年度)において掲げられた平成16年度における介護サービス提供量を踏まえて、計画的な整備を推進する。

2) 多機能保育所整備分として、従来からの整備量に加えて76億9,600万円を計上し、新エンゼルプラン(平成12年度〜平成16年度)を踏まえて老朽化している保育所改築、地域の需要に応じた保育所の多機能化を図るための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。

3) 障害者プラン関連施設整備分として、従来からの整備量に加えて 65億1,900万円を計上し、平成8年度を初年度とする7か年計画の5年次分として障害者施設の整備を推進する。

4) 老朽民間社会福祉施設緊急改築整備分として、従来からの整備量に加えて38億9,400万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備を引き続き推進する。

5) 一般整備分として100億4,300万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備量を確保する。

6) 隣保館等施設整備分として29億6,700万円を計上し、隣保館及び生活館の整備を進める。

7) 障害者等生活環境基盤整備分として8億8,400万円を計上し、既存の公共施設にスロープや障害者用トイレ、自動ドア等の整備を行うなど障害者や高齢者にやさしいまちづくりを引き続き推進する。

(イ)平成12年度における改定事項は次のとおり。
1) 婦人保護施設の基準面積の改善
 入所者の処遇の充実を図るため居室等の基準面積の改善を行う。

1人当たり 23.3平方メートル → 26.3平方メートル
(居室等の改善4人部屋 → 2人部屋)

2) 特別養護老人ホームの整備形態の多様化の促進
 痴呆性老人等の処遇の向上を図るため、特別養護老人ホームをグループケアユニット型として整備する場合の国庫補助基準面積を拡大する。

1人当たり 34.13平方メートル → 38.0平方メートル
※ 「グループケアユニット型」とは、居室をいくつかのグループに分け、そのグループ毎に食堂、談話スペース等の設備が備えられている施設形態をいう。

3) 特別養護老人ホーム退所者等の受け皿対策の促進
 特別養護老人ホームから退所する者等の受け入れ先となる施設の整備を促進するための方策を講ずる。

a 高齢者生活福祉センターの補助基準面積の拡大(居住部門専用の食堂等が整備できるよう、国庫補助基準面積を拡大する)

1人当たり 29.5平方メートル → 35.0平方メートル

b ケアハウスの最低定員の引き下げ

(単独で設置する場合) 30人 → 20人
(特養等に併設で設置する場合) 15人 → 10人

4) 養護老人ホームの最低定員の引き下げ
 養護老人ホームに入所している要介護者に対応するため、その一部を特別養護老人ホームに転換できるよう、養護老人ホームの最低定員を引き下げる。
(養護老人ホームの一部を特別養護老人ホーム
に転換する場合及び併設する場合)
 50人 → 20人

5) 身体障害者療護施設の居室の改善
 身体障害者療護施設の入所者の生活環境の向上を図るため、居室の個室化の促進を図る。

施設定員の2割まで → 施設定員の3割まで
1人当たり4.0平方メートルを加算 1人当たり4.0平方メートルを加算

6) 身体障害者療護施設通所型を併設できる施設の拡大
 身体障害者療護施設通所型(A型)について他の身体障害者更生援護施設にも併設整備を行うことにより、通所利用の拡充を図る。

○ 併設整備を認める身体障害者更生援護施設

・ 重度身体障害者更生援護施設
・ 重度身体障害者授産施設
○ 施設整備 24.8平方メートル × 利用定員
○ 設備整備
・ 初度設備 205,000円 × 利用定員
・ 送迎バス 厚生大臣が必要と認めた額
・ リハビリテーション設備(重度身体障害者授産施設に併設する場合に限る)      厚生大臣が必要と認めた額

7) 児童養護施設の補助基準面積の拡大
 児童のプライバシーを尊重するためのスペースを確保し、自主性及び自立心を養い、さらに退所後の社会的自立に向けての生活指導を行うため、基準面積の拡充を図る。

1人当たり 23.5平方メートル → 25.9平方メートル

8) 保育所の最低定員の引き下げ
 都市部における保育所等や夜間保育所の設置を図るため、定員要件を緩和し、小規模保育所の整備促進を図る。

30人以上 → 20人以上

9) 小規模保育所の補助基準面積の拡大
 都市部における保育所等や夜間保育所の設置を図るため、定員要件を緩和し、小規模保育所の整備促進を行う。

45人以下(7.2平方メートル) → 20人〜30人(9.4平方メートル)
31人〜45人(7.2平方メートル)

10) 夜間保育所の補助基準面積の拡大
 夜間における保育ニーズに的確に対応するため、補助基準面積の加算を創設し、児童に対する処遇の向上を図る。
 夜間保育を行う場合   50平方メートルを加算

11) 乳幼児健康支援一時預り事業の実施場所の整備(保育所、乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設)
 保育所へ通所中の児童等を一時的に預かることにより、共働きの世帯のニーズに的確に対応するため、保育所等の国庫基準面積に加算する。
 利用定員1人当たり   7.2平方メートル

  社会福祉施設等設備整備費

・ 設備整備費については、対前年度比10.8%減の121億円を計上し、施設整備量に対応した必要な額を確保した。

(2)平成12年度の整備方針等

 基本的整備方針
平成12年度においては、次の事項を基本として整備を図ることとしているが、限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。
各都道府県市におかれては、来年度に予定している整備計画の十分な精査を行い、真に必要と認められる整備について厳選した対応に努められたい。

(ア)介護関連施設については、平成11年12月19日大蔵・厚生・自治大臣合意により新たな5か年プランとして策定された「ゴールドプラン21」において掲げられた平成16年度における介護サービス提供量を踏まえて、計画的な整備を推進する。

(イ)「多機能保育所等の整備」については、平成11年12月19日大蔵・文部 ・厚生・労働・建設・自治大臣合意により新たなプランとして策定された「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画」(新エンゼルプラン)を踏まえて、老朽化している保育所の改築、地域の需要に応じた保育所の多機能化を図るための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。

(ウ)「障害者プラン」関係については、平成14年度末の整備目標に向けて計画的に障害者施設の整備を推進する。

(エ)施設入所者等の安全性を確保する観点から、老朽施設の改築、大規模修繕等の整備を推進する。
なお、この場合、建設後の経過年数及び老朽度を重視すると共に、防災対策にも十分配慮する。

(オ)地域におけるデイサービスセンター等の施設の確保に際して、既存の社会資源を有効に活用することが重要であることから、公立学校の余裕教室等のデイサービスセンター等への転用を推進する。

(カ) (ア)〜(オ)のほか、原則として、次の内容のものを優先的に整備する。

1) 施設利用者に対するサービス提供にとどまらず、広く地域に開かれた在宅福祉の推進拠点としての機能を果たすもの。

2) 施設入所者等の居住環境、保健衛生等、処遇の一層の向上を図るため、大部屋解消等の整備を図るもの。

3) 土地の有効活用等を図るもの。
 特に、都市部における用地取得の困難性から施設の高層化、複合化を図るなど高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に 整備を図るものや、文教施設等の利用も含め各種施設の合築、併設を行うもの。

4) 過疎、山村、離島等において、適切な入所者処遇と効率的な施設運営が確保できるもの。

5) 地すべり防止危険か所等危険区域に所在する施設の移転改築整備を行うもの。

 平成12年度施設整備費の国庫補助協議について
 社会福祉施設整備費の国庫補助協議については、既に通知しているところで あるが、「社会福祉法人の認可について(昭和39年1月10日社発第15号)」、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について(平成9年3月28日社援企第68号)」等を踏まえ、協議対象施設の選定及び法人審査について万全を期されたい。

 その他の留意事項
(ア)補助金の富裕団体の調整について
 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成12年度においても、引き続き補助金等の整理合理化の一環として富裕団体に対して調整措置を講ずることとしているので了知願いたい。

(イ)国庫補助事業の廃止について
 介護福祉士等養成施設については、平成12年度に廃止することとしているので了知願いたい。

(3)平成11年度第2次補正予算について

 平成11年度第2次補正予算において、社会福祉施設整備費予算として730億円を計上しているところであるので、積極的な協議を行われるようお願いする。

(4)社会福祉施設整備業務の再点検について

 厚生省においては、平成9年3月31日に取りまとめた「施設整備事業等の 再点検のための調査委員会報告書」で明らかにしたとおり、各都道府県市が行う契約手続きに準拠、一括下請負の禁止などを補助金の交付の条件とすること等建設工事の適正化、補助金交付対象施設の明確化等の措置を講じ周知徹底を図っているところである。
 各都道府県市におかれては、施設整備業務のさらなる再点検、都道府県部課長会議等での指導の徹底や未然防止策の検討など再発防止対策に万全を期されたい。

(5)社会福祉施設の運営について

 昨年8月に中央社会福祉審議会に対して「社会福祉の増進のための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)制定要綱」が諮問され、9月には「社会福祉事業法等の改正について」が答申され、社会福祉基礎構造改革を早急に実施するとともに、実施に際しては、利用者保護の仕組みの適切な実施、人材の養成を含むサービスの質の確保を図ること等が提言された。
 社会福祉施設についても措置制度から利用制度への大きな流れがあり、現在、社会福祉事業法をはじめとして、各法の改正の準備が進められているところである。
 ついては、制度改革の趣旨をご理解のうえ、正確な情報のもと管下市町村及び社会福祉施設に対し十分な理解が得られるよう適切な指導を願いたい。

 施設の役割と適正な運営管理の推進
(ア)社会福祉施設の運営に要する経費は、平成12年度で利用者の自己負担を含め総額2兆5,092億円となっている。その事業規模や介護保険法の施行、少子・高齢化社会への対応等により社会福祉施設に対する国民の期待と関心は益々大きく、適正かつ効率的な施設運営に努めることはもちろんのこと、高齢者、障害者等の多様なニーズに応えるため、さらなるサービスの向上に努める必要がある。
 また、社会福祉施設は、地域の福祉資源として福祉活動等の拠点としての機能が求められており、施設のもっている設備や専門的機能、介護等の情報を地域社会に提供していくことが重要となっている。
  なお、社会福祉基礎構造改革により、サービスの質の確保や社会福祉施設職員の資質の向上及び人材確保が一層必要になることから、これらについても留意した適切な指導を願いたい。

(イ)社会福祉施設の運営費の運用及び指導については、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正使用などの不祥事により社会福祉施設に対する国民の信頼を著しく損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導を願いたい。

(ウ)社会福祉基礎構造改革に伴う様々な環境変化に対応するため、法人における経営組織の在り方、財務諸表の活用による経営状況の把握、情報開示に向けた取り組み及び人事管理等について、「社会福祉法人の経営に関する検討会」を昨年に引き続き開催し、現在、検討を進めているところであり、その検討結果については、来年度はじめを目途にとりまとめ、お知らせする予定である。

 福祉職俸給表について
 福祉事業従事者の職務の専門性を評価し、その社会的評価を高め、福祉事業に必要な優秀な人材を確保するための俸給表について、平成2年より重ねて人事院に対し要望してきたところであるが、昨年11月に「一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律」が可決、成立し、福祉職俸給表が創設され、国家公務員については、平成12年1月より適用されることとなった。
 公立施設における福祉職俸給表の適用については、地方公務員法を踏まえ、人事委員会において検討の上、適切に対応されるものである。
 一方、民間社会福祉法人における福祉職俸給表については、基本的には民間の給与に関することであり、社会福祉法人の経営状況等を踏まえつつ、労使の合意で決定されるべきものである。
 なお、措置費においては、福祉職俸給表を導入するに必要な所要の財政措置を講じているところである。

 社会福祉法人の会計基準について
 社会福祉法人の会計基準については、昨年4月に「社会福祉法人会計の在り方(基本方針)について」が出され、これに基づき、関係団体とも協議しながら、鋭意検討を重ねてきたところであり、近々、各都道府県等に対して社会福祉法人会計基準をお示しする予定である。
 ついては、社会福祉法人に対する会計基準の適用にあたっては、各社会福祉法人に対し、適切な指導を願いたい。

社会福祉法人会計基準(案)の概要

1 会計基準(案)の基本的考え方
(1)社会福祉基礎構造改革の方向である「法人単位での経営」をめざし、法人全体の経営状況が把握できる社会福祉法人制度共通の会計基準である。
(2)会計基準の構成及び内容
 1) 利用契約制度に伴い、資金使途がこれまでより広がるものの、社会福祉法人としての高い公共性を考慮すると、民法34条法人の会計、学校法人の会計等と同程度の規定とする。
 2) 施設整備費補助金等、社会福祉法人特有の制度にも対応した仕組みを導入している。
(3)会計基準は、取引を適切に記録し、経営状況を適切に表示するためのルールであり、非課税法人である社会福祉法人としての制限や、措置の委託費に伴う使途制限については示さず、従来の通知によるものとする。
 なお、各法人の日々の経理処理のルール(経理規定)は、法人の経営環境(事業規模等)を勘案し自主的に制定されるものである。

2 会計基準(案)の基本的骨格
(1)法人全体での資産、負債等の状況を把握できるようにするため、会計単位は施設毎とせず、法人一本とし、これを社会福祉事業会計とする。
 ただし、公益事業及び収益事業については、この限りではない。
(2)施設毎の経営の状況を判読できるよう、社会福祉事業会計の内部に施設毎の経理区分を設ける。
(3)適切なコスト管理、経営努力の成果の把握のため、損益計算の考え方を導入する。
(4)建物等の資産価値を適切に評価・表示するため、減価償却制度を導入する。
(5)計算書の体系は、財産目録、貸借対照表、資金収支計算書、事業活動収支計算書(損益計算書)とする。

・財産目録 ・・・・・・・・・・当該会計年度末現在の全ての資産及
び負債につき、その名称、数量、価
額等を詳細に記載するもの。
・貸借対照表 ・・・・・・・・当該会計年度末現在におけるすべて
の資産、負債及び純資産の内容を明
らかにするもの。
・資金収支計算書 ・・・・当該会計年度の支払資金の収入・支
出の内容を明らかにするもの。
・事業活動収支計算書・・当該会計年度の活動の成果を把握
(コスト把握や、経営努力の成果の
把握)をするもの。
(6)資金収支計算書、事業活動収支計算書は社会福祉事業会計の合算表と
ともに、経理区分ごとの内訳表を添付する。

 社会福祉施設の感染症予防対策について
 社会福祉施設における感染症予防対策については、従来より特段の指導をお願いしているところであるが、昨年10月から11月にかけて保健医療局及び生活衛生局から結核、インフルエンザ及びレジオネラ属菌の感染に関する予防対策について各々通知が発出され、注意喚起が呼びかけられたことにともない、社会福祉施設においても十分な対応を図ることが必要である。
 特に、インフルエンザの対応については、毎年冬季に流行を繰り返し、患者数の多さや、症状の重篤性から国民の健康に対して大きな影響を与えている感染症であり、さらに、近年は、高齢者施設における集団感染、高齢者の死亡、乳幼児における脳炎・脳症の問題が指摘されているところであり、社会福祉施設においても十分な注意が必要とされているところである。
 ついては、「社会福祉施設等における結核感染の予防について」(平成11年10月15日社援施第40号)、「社会福祉施設における今冬のインフルエン ザ総合対策の推進について」(平成11年11月17日社援施第46号)及び 「社会福祉施設におけるレジオネラ症防止対策について」(平成11年11月26日社援施第47号)等を踏まえ、管下社会福祉施設に対して適切な指導を願いたい。

  施設運営費の平成12年度予算(案)における改善内容
 平成12年度予算(案)においては、「一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律」の成立により国家公務員の福祉職俸給表が創設されたことに伴い、民間社会福祉施設等においても、所用の財源を確保し、また、入所者の一般生活費等について生活保護基準に準じた所用の改善を図るとともに、職員処遇の充実を図るための改善等を行うこととしている。
 また、平成10年に労働基準法の一部改正が行われ、年次有給休暇の付与日数の引き上げが実施されたことに伴い、今年度に引き続き、社会福祉施設職員の年次有給休暇の取得促進を図るため、代替職員を雇い上げる経費(年休代替要員費)を改善し、労働基準法の順法体制を確保したところである。
 ついては、管下社会福祉施設職員の待遇改善並びに入所者処遇の一層の充実について、引き続き適切な指導を願いたい。

○ 年休代替要員費の改善
・ 常勤職員 17日 → 18日

 福祉施設経営指導事業について
 本事業は、今後の社会福祉事業法の改正や介護保険制度の実施等福祉をめぐる施策の変化に、社会福祉施設が適切に対応するために、重要な役割を果たすものである。
 特に、平成12年度より改正される社会福祉法人の会計基準についての適切な理処理の指導、入所者や職員の処遇に関する問題及び経営の効率性の向上についての助言等、さらに充実した事業の実施が期待されているものである。
 しかしながら、現在の実施状況を見ると、相談件数について、実績が非常に低調なものが見受けられるので、事業の実施体制を改めて見直すことや、福祉施設経営指導員の選任について、可能な限り経験豊富な人材を確保し、さらに指導員の資質の向上を図るなど、適切な指導、助言を行うことができる体制を確保するよう指導を願いたい。

(6)社会福祉施設の防災対策について

 社会福祉施設の防災対策の取り組み
 社会福祉施設の防災対策については、入所者の安全確保の観点から、「社会 福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管下社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備 の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災 対策に万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の一層の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所者の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に 配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費においても、 地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策 強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。

 地すべり防止区域等に所在する社会福祉施設の防災対策について
 地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等に所在している社会福祉施設については、「災害弱者関連施設に係る土砂災害 対策の実施について(平成11年1月29日社援第212号)」をもって、文部省、林野庁、建設省及び自治省と連携して、社会福祉施設の立地状況を踏まえた総合的な土砂対策を講じるよう通知しているところであるが、各都道府県市におかれても、関係部局との連携を強化し、指定区域等に所在する社会福祉施設の防災対策に留意されたい。

 被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに施設人材課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期整備を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

12 社会福祉・医療事業団の事業について

(施設人材課)

(1)貸付規模について

 平成12年度予算(案)においては、福祉・医療両貸付事業について、少子・高齢化等に対応し、新たな5か年計画として策定されたゴールドプラン21(平成12年度〜平成16年度)や新エンゼルプラン(平成12年度〜平成16年度)、障害者プラン(平成8年度〜平成14年度)、医療計画等を着実に推進するとともに、介護保険法の施行を円滑に推進していくために必要な社会福祉施設、医療関係施設の整備のための事業枠、資金枠を確保することとしている。

  貸付契約額   3,970億円
    (うち福祉貸付

 1,598億円)

  資金交付額   4,131億円
    (うち福祉貸付 1,407億円)
(ア)資金運用部借入金4,105億円
(イ)自己資金26億円

(2)介護保険対象施設・事業に対する介護保険制度移行時における経営資金の貸し付けに係る貸付条件の見直し(平成12年度限り)

 介護保険制度への移行に伴い、平成12年4月から介護保険の対象となる特別養護老人ホーム等において、運営費が措置費等から介護報酬に切り替わることとなるが、この介護報酬は、請求後、実際に支払いが行われるまでには若干の期間(約3か月)を要することから、制度移行時における介護サービス提供事業者の安定的な事業運営の確保を図るとともに、介護保険制度の円滑な実施に資するため、介護保険制度移行時における経営資金の需要に対し、以下のような貸付条件により、社会福祉・医療事業団(以下「事業団」という。)の融資制度における経営資金の活用を図ることとしている。
 当該貸し付けに係る取り扱いについては、昨年11月の全国老人福祉担当課長及び介護保険担当課長会議において事業団よりお願いしているところであるが、各都道府県においては、当該貸付制度の周知、管下の借入希望法人(現行の事業団経営資金対象施設・事業であって、介護保険対象施設・事業へ移行する施設・事業を経営する既設法人が対象)からの借入要望書のとりまとめ及びそれに係る意見書の提出をお願いしたい。

  融 資 率 所要額(融資率100%)。但し、原則1億円を限度。
  償還方法 元金均等3か月賦償還、利息は年4回償還(現行の医療貸付と同様の償還方法)。
  据置期間 1年以内。
  所 要 額 定員×1人当たり介護報酬見込額×3か月分(介護老人福祉施設の場合)

(3)福祉貸付事業における条件の改定について

 平成12年度からの介護保険法施行に伴い、介護保険の対象となる特別養護老人ホーム等に係る償還方法の見直しや、社会福祉事業法の一部改正が行われた場合に第二種社会福祉事業に追加されることとなる事業を貸付対象に加える等、以下のような改定を図ることとしている。

 介護保険対象施設・事業に対する貸し付けの償還方法の見直し

・ 償還回数 現行の元金均等年賦償還と元金均等3か月賦償還の選択制の導入。
・ 据置期間 3か月賦償還を選択する場合は、1年以内とする。

 痴呆対応型老人共同生活援助事業(痴呆性老人グループホーム)を行う法人の貸付対象への追加
 平成12年度からの介護保険法の施行に伴い、民間事業者による在宅介護 サービス基盤の整備を推進する必要があることから、痴呆対応型老人共同生活援助事業を行う法人を貸付対象に加える。

 軽費老人ホームを設置し又は経営する医療法人に対する貸付事業の継続
 介護保険制度下において「要支援」と認定された者に対する受け皿となる施設の整備を推進する必要があることから、平成11年度までの貸付対象とされていたものを当分の間継続する。

 社会福祉事業法の一部改正に伴う貸付対象の拡大等
(ア)貸付対象の追加(法改正が前提)
 社会福祉事業法の一部改正が行われた場合に、平成12年度から第二種社会福祉事業として位置づけられることとなる以下の事業を貸付対象に加える。

・ 身体障害者相談支援事業
・ 知的障害者相談支援事業
・ 障害児相談支援事業
・ 手話通訳事業
・ 知的障害者デイサービス事業
・ 知的障害者デイサービスセンターを経営する事業

(イ)新規追加事業で融資率を80%とするもの及び現行貸付対象事業で平成11年度までとされている融資率80%を継続するもの
【新規追加事業】

・ 身体障害者相談支援事業
・ 知的障害者相談支援事業
・ 障害児相談支援事業
・ 知的障害者デイサービス事業
・ 知的障害者デイサービスセンターを経営する事業

【現行貸付対象事業】

・ 老人デイサービスセンター
・ 身体障害者デイサービスセンター
・ 社会福祉士養成施設
・ 介護福祉士養成施設

 社会福祉事業施設等の貸付金の最低額の引き上げ
 社会福祉事業施設(保育所を除く)及び在宅サービス事業等、現行の貸付金の最低額が100万円のものについては、これを200万円に引き上げる。

 介護保険制度の施行等に伴う償還一部免除算定方式の見直し
 老朽民間社会福祉施設整備事業等に係る貸付金の償還一部免除額の算定方式 について、平成12年度新規貸付分より、その算定方式を改定することとしている。

(4)融資基準単価について

 社会福祉事業施設に対する事業団融資基準単価については、平成12年度の国庫補助基準単価と同様、平成11年度と同額とすることとしているので遺漏のないよう取り扱われたい。

(5)事業団融資と国庫補助協議との並行審査について

 創設法人が事業団の融資を希望する場合には、事業団の融資審査を、国庫補助協議のヒアリング及び法人設立認可の審査と並行して行い、相互の連携を図ることとしているところであるが、平成11年度において、事業団への借入申込が遅滞したことにより、結果的に国庫補助内示を保留した例が見受けられたことから、これらに該当する案件については、事業団への借入申込を速やかに行うよう、管下社会福祉法人等への指導の徹底をお願いしたい。
 また、既設法人についても、事業の実施に支障を来す恐れのある例が見られたことから、施設整備等に際して事業団からの資金の借り入れを予定している場合、可能な限り国庫補助協議時から時間を経ないうちに借入申込を行うよう、合わせて指導をお願いしたい。

(6)意見書の提出について

 平成10年度決算検査報告において、法人が事業団融資を受けて施設整備を行う際に事業団に対して行う事業完了報告時に、共同募金会を通じて交付されていた指定寄付金の過少申告等を行った結果、事業団融資が過大な貸し付けとなるなどの指摘を受けたところである。
 事業団においては、融資審査のさらなる厳正化を図ることとしているところで あるが、各都道府県市においても、十分に内容確認及び精査のうえ意見書を提出されたい。

(7)福祉・保健情報サービス事業(WAM NET)について

 本事業については、事業団に中央センター、各都道府県に地方センターを設置し、管下市町村、社会福祉施設、介護サービス提供事業者(指定事業者)及び医療機関等からなる利用機関に対して介護保険制度関連情報等の各種情報を提供するとともに、一部の情報についてはインターネットにより広く国民へも提供しているところである。
 平成11年度第2次補正予算においては、介護保険制度の円滑な実施を支援するため、介護報酬加算情報等を提供するための指定事業者情報提供システムの拡張等を行うほか、社会福祉基礎構造改革の推進に資するため、社会福祉法人の経営内容及びサービス内容に関する情報を広く国民に提供するシステムの構築を図ることとしたところである。
 また、平成12年度予算(案)においては、介護保険制度の円滑な施行等を進める中で、福祉・保健・医療の連携のための関係者間での情報交換及び情報の共有化に当たり必要となる、情報の標準化に係る社会福祉標準分類コード及び標準用語の整備を図ることとしている。
 各都道府県においても、地方センターとしての機能の維持・拡充に、より一層 努めるとともに、管下市町村、指定事業者等が利用しやすい環境づくりに努め、当該システムの有効な活用を図られたい。

【WAM NETアドレス http://www.wam.go.jp/

(8)社会福祉施設職員等退職手当共済事業について

 平成12年度における給付予定額
 (ア)給付予定人員  42,198人
 (イ)給付総額   534億1千万円

 社会福祉施設職員等退職手当共済法第19条に基づく医療事業団に対する都道府県補助金の早期交付については引き続きご協力をお願いしたい。
 特に、平成11年度分に係る補助金未交付の都道府県におかれては、速やかな交付についてご配意願いたい。

 社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正について(法改正が前提)
 当該制度については、昭和36年に発足後、原則として措置費体系に属する 施設を対象として事業が行われてきたが、社会状況の変化等により検討すべき 新たな課題が生じてきていることから、平成10年6月及び12月の中央社会 福祉審議会社会福祉構造改革分科会の「社会福祉基礎構造改革について(中間 まとめ及び追加意見)」の提言を踏まえ検討を行っているところであり、社会 福祉事業法の一部改正に合わせて、社会福祉施設職員等退職手当共済法の一部改正も予定しているところである。
 改正内容は以下のとおりである。

(ア)制度の性格
 社会福祉事業の中心的な役割を担う社会福祉法人のための共済制度の確立。

(イ)対象施設・事業の範囲
 措置費施設を中心とした従来の対象施設・事業に加え、社会福祉法人の経営する事業であれば全て法人の申し出により加入対象とする(但し、公費助成対象となるのは従来の施設・事業のみ)。

(ウ)財政安定制度
 5年間の給付費推計を基礎にした安定的な掛金設定及び事業運営安定資金(仮称)の設置。

(エ)支給乗率の適正化
 国家公務員退職手当制度の支給乗率に合わせることとする。

(9)長寿・子育て・障害者基金について

 事業団における基金事業については、平成11年度において、政府出資金 (長寿社会福祉基金700億円、高齢者・障害者福祉基金500億円、子育て 支援基金900億円、障害者スポーツ支援基金300億円)の運用益により、 高齢者や障害者の在宅福祉の充実と生きがい・健康づくり事業の推進、地域の実情に即したきめ細かな在宅福祉事業等の推進、地域社会における子育てや児童の非行防止への幅広い支援及び障害者スポーツの振興を通じた障害者の社会参加等の推進を図るため、民間の団体に対し助成を行っているところである。

 平成12年度予算(案)においては、子育て支援のより一層の充実を図るため、子育て支援基金に400億円の追加出資を行い合計1,300億円とし、その拡充を図ることとしている。
 なお、今般、拡充される基金の取り扱いについては、別途通知することとしている。
 各都道府県市においては、引き続き管下団体等に対する当該事業の周知及び社会福祉協議会に対する指導を願いたい。

13 福祉人材確保対策の推進について

(施設人材課)

 社会福祉は、人と人との関係のなかで行われるものであって、そのサービスの質は、それを担う人材の質に左右されるものであり、その養成や確保は重要な課題である。
 現在、社会福祉を取り巻く環境は、急速な少子・高齢化などを背景として大きく変化してきており、国民の福祉に対する需要も増大・多様化してきており、このような状況に適切に対処していくために、ゴールドプラン21(平成12年度〜平成16年度)、新エンゼルプラン(平成12年度〜平成16年度)及び障害者プラン(平成8年度〜平成14年度)の推進、介護保険制度の実施、さらには社会福祉基礎構造改革等社会福祉全体の充実や見直しが進められている。
 一方、昨今の厳しい雇用情勢の中で、特に中高年離職者の雇用対策が緊急の課題となっており、平成11年6月に出された、政府の総合的な雇用対策においても福祉の分野が雇用拡大の分野のひとつとしてあげられている。
 厚生省としては、これらの動きを踏まえ各課題に対応していくこととしており、特に、緊急の課題である雇用対策については、昨年12月に成立した平成11年度第2次補正予算においても福祉人材確保を推進する経費を盛込むなどの措置を講じたところであるが、各都道府県市におかれても、社会福祉事業従事者の確保、資質の向上等に関する対策を一層推進するための対応に十分御配慮願いたい。

(1)都道府県福祉人材センターの運営について

 平成12年度より導入される介護保険制度を円滑に実施するためには、一層の福祉人材の養成確保が必要である。一方、厳しい雇用情勢の中で、中高年をはじめとする離職者の雇用対策が重要な課題となっており、福祉分野には特に大きな期待が寄せられているところである。

  このような状況に対処するため、平成11年度第2次補正予算において中央福祉人材センターが中心となり、都道府県福祉人材センター、(福)福利厚生センター等と連携の上、次の事業を内容とする福祉人材確保対策特別推進事業を実施することとしたので特段の支援をお願いする。

1) 福祉の就職総合フェア2000の開催(全国5地域)
 福祉関係職種・職場に就職を希望する者や中高年をはじめとする離職者を 対象に合同面接、福祉の職場・仕事の説明等を内容とした「福祉の就職総合フェア2000」を開催
【開催地及び開催日程】

○ 東 京 都 平成12年2月24日(木)
○ 名古屋市 平成12年1月29日(土)〜30日(日)
○ 大 阪 市 平成12年3月20日(月・休日)
○ 岡 山 市 平成12年1月26日(水)〜27日(木)
○ 福 岡 県 平成12年2月 4日(金)

2) 求人開拓等強化事業の実施
 社会福祉事業者、民間事業者等を対象に、人事管理、職場研修等人材養成確保に関する研修会や求人開拓のための職場訪問等を実施

3) 調査研究事業の実施
 職場における求人動向調査等福祉人材確保を推進するための調査・研究を実施

  介護保険制度の導入、社会福祉基礎構造改革の実施に向けて、ますますサービスの質の確保・向上が求められており、そのサービスを支える質の高い福祉人材の養成確保の重要性がますます高まっている。このような状況に鑑み、その役割を担う中心的な機関である都道府県福祉人材センターに対する運営費補助については、平成12年度予算(案)においても平成11年度と同様に引き続き補助することとしている。
 また、人件費相当額については平成10年度から一般財源化したところであるが、都道府県においては、同センターの果たす役割の重要性に鑑み、その運営に支障を生じることのないよう所要の財源措置に引き続き配慮願いたい。

(2)(福)福利厚生センターの活用について

 (福)福利厚生センターにおいて、社会福祉事業従事者の福利厚生に関する 各種の事業を実施しているところであるが、平成12年度においても、会員の 利便性の向上や新たな事業についての検討を行い、一層の充実を図ることとしている。
 会員数は、各都道府県のひとかたならぬ御支援により、平成11年12月現在、 約13万人となっているが、同センターへの加入も職員処遇の一環、ひいては、 質の高い人材確保の観点からも極めて重要と考えているので、引き続き特段の御支援を願いたい。
 特に、平成11年度第2次補正予算で確保した福祉人材確保対策特別推進事業の 実施にあっては、魅力ある職場づくりを推進する観点から1月下旬以降、 集中的に、同センターにおいて、個別の法人を訪問するなど勧奨活動や社会福祉 法人の福利厚生に関する実態調査等を行うこととしており、各都道府県市に おかれても事業の趣旨をご理解いただき関係機関・団体に対して周知するなどのご協力をいただきたい。

(3)社会福祉士及び介護福祉士の養成強化について

   社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の指定
 社会福祉士養成施設については、平成12年4月開設等予定も含めると合計で24校28課程を指定することとなり、平成13年4月に開設等を予定したいとする相談も相当数ある。
 また、介護福祉士養成施設については、平成12年4月開設等予定も含めると合計で340校391課程を指定することとなり、平成13年4月に開設等を予定したいとする相談も相当数ある。一方、施設の設置場所についても地域的な偏りが見られる状況となってきている。
 今後、養成施設の新設や定員増を予定する施設を管下に有する都道府県にあっては、介護保険制度の円滑な実施に必要な人員見込み等中長期的な需要や、就学人口の状況、実習施設の確保、学校運営面等総合的な観点から、これら施設に対する適切な助言をお願いしたい。
 また、社会福祉法人及び地方公共団体の設置する介護福祉士等養成施設に係る施設整備及び設備整備に対する補助については、その整備状況などからみて一定の役割を終えたとの観点から、平成12年度から廃止することとしているので、関係団体等に周知願いたい。

  社会福祉士会及び介護福祉士会に対する支援
 社会福祉士、介護福祉士の職能団体である(社)日本社会福祉士会、日本介護福祉士会(任意団体)によって、全国、ブロック或いは都道府県毎に研修会等の諸事業が活発に実施されているが、これらの活動は、福祉専門職の資質を向上させる観点から有意義なものと考えられるので、両会の活動が円滑に行われるよう特段の支援を願いたい。
 なお、日本介護福祉士会が、現在、社団法人化を目指して取り組んでいるところであるが、会員の加入促進を図り、加入率を引き上げることが重要な課題であり、各都道府県支部においても、それぞれ会員の目標数を設定し達成に向けて取り組んでいるところであるので、特段の御支援を願いたい。

  福祉専門職の教育課程等の改正
 国民の福祉需要の増大・多様化に適切に対応した質の高い福祉サービスの拡充を図るため、その中心的担い手である社会福祉士、介護福祉士、社会福祉主事の 専門職の質の向上が極めて重要となってきていることから、平成10年6月の 中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」を踏まえ、「福祉専門職の教育課程等に関する検討会」を開催し、平成11年3月10日に「福祉専門職の教育課程等に関する検討会報告書」がまとめられたところである。これに基づき、「社会福祉士介護福祉士学校職業能力開発校等養成施設指定規則の一部を改正する省令(平成11年10月22日厚生省令第89号)」及び「社会福祉士及び介護福祉士法施行規則の一部を改正する省令(平成11年12月28日厚生省令第106号)」の関係省令及び関係諸通知の改正を行っており、平成12年4月入学生より適用することとしているので了知願いたい。
 特に、今回の改正において、社会福祉士については、市町村と福祉系大学等との連携による在宅援助実習の導入を、介護福祉士については訪問介護実習の必須化を行うこととしている。これに伴い、新たに市町村や訪問介護事業、訪問入浴サービス、在宅介護支援センター等を実習先として追加したので、管下市町村及び関係団体に対して実習の受入方周知等をお願いしたい。

  社会福祉士及び介護福祉士の国家試験の実施
 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験実施に当たっては、試験地の都道府県市に多大なるご協力をいただき、あらためて感謝申し上げる。
 特に、最近は受験者数の急激な増加も見られその試験実施について、ご配慮をを願う状況となっているが、この2つの資格は、社会福祉分野での中核的な役割を期待されており、厚生省としてもその資格取得を促進することは、重要な施策であると考えているので、今後とも、引き続き両国家試験の実施について格段のご協力を願いたい。

1) 第12回社会福祉士国家試験の実施予定

・ 試 験 日平成12年1月23日(日)
・ 試 験 地12都道府県15会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
・ 受験者数21,852人

2) 第12回介護福祉士国家試験の実施予定

・ 試 験 日筆記 平成12年1月23日(日)
実技 平成12年3月 5日(日)
・ 試 験 地筆記 12都道府県27会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
実技 12都道府県22会場
・ 受験者数59,946人

* 合格発表は、両試験とも平成12年3月31日(金)

  介護福祉士等修学資金貸付事業の改善
 介護福祉士等修学資金貸付事業については、平成12年度予算(案)においても必要な予算の確保を図るとともに介護保険の円滑な実施や雇用対策の一環として、

1) 過疎地域にある社会福祉施設等に就職した場合
2) 中高年離職者が社会福祉施設等に就職した場合

について貸付金の返還免除に必要な業務従事期間を7年から3年に短縮する改善を行うこととしているので了知願いたい。なお、詳細については別途通知することとしている。

(4)社会福祉事業従事者の資質の向上について

 これからは、社会福祉事業におけるあらゆる職種の従事者が、生涯にわたって続けられる仕事として、自らの知識技術を高めていくことができるような体系的な研修の確立が必要である。
 そのため、既に全国社会福祉協議会中央福祉学院により福祉職員階層別研修の 標準プログラムとそれに沿った教材及び指導教本が作成されている。更に、平成10年度より、同学院が、講師養成のために福祉職員階層別研修課程指導者 養成研修を実施するとともに、各都道府県市で実施する階層別研修に講師を 派遣し、研修の実施促進及び実施体制の整備を図っているところであるので、各都道府県市の研修に取り入れる等積極的な活用をお願いする。

 平成12年度の全国社会福祉協議会中央福祉学院への委託研修については、介護保険制度の導入、社会福祉基礎構造改革の実施を踏まえ、

1)施設長資格認定通信課程及び社会福祉主事資格認定通信課程の科目の見直し
2)社会福祉法人経営者研修を分割し2コースを設定
3)社会福祉施設長サービス研修に在宅介護管理コースを新規設定

などを行い、研修内容の充実を図ることとしている。
 なお、詳細については、後日研修要綱を出す予定であるので、本研修の積極的な活用をお願いする。

(5)小学校及び中学校教員免許状取得希望者の介護等体験の実施等について

 平成10年4月から、「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育 職員免許法の特例等に関する法律」に基づく教員免許状取得希望者の介護等 体験が文部省により実施されている。厚生省としてもこれに協力しており、 各都道府県市にも円滑な実施について御協力をお願いしているところであるが、 平成12年度は、平成10年度入学生の多くが専門課程に入り、体験者数が約8万人と大幅に増えることが予想されるので、特段の御配慮を願いたい。
 また、文部省では、学生・生徒が企業等において、実習・研修的な就業体験を 行うインターンシップの推進を図っているところであるので、各都道府県市に おいても福祉の分野における学生・生徒の受け入れについて、特段の配慮をお願いしたい。

14 福祉サービスに関する苦情解決事業及び第三者評価事業について

(施設人材課)

(1)福祉サービスに関する苦情解決事業について

 事業の必要性
 現在、厚生省では、「社会福祉基礎構造改革」を進めており、本改革では、福サービスをこれまでの行政による措置制度から、個人が自らサービスを選択し、事業者との契約により利用する制度へ変更するとともに、併せて、利用者が福祉サービスを適切に利用することができるように支援するいくつかの仕組みも整備することとしている。
 その一つが、福祉サービスの利用者からの苦情を適切に解決する仕組みであり、平成10年6月の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会の中間まとめ及び同年12月の追加意見でも指摘されているところである。(「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ、追加意見)」〜抜粋〜資料1)

 苦情に適切に対応することは、利用者にとっては、福祉サービスに対する満足感を高めることや早急な虐待防止対策が講ぜられること等の効果が期待でき、事業者にとっては、利用者ニーズの把握や提供サービスの妥当性の検証が可能となるなど、苦情解決は福祉サービスの質の向上を図り、利用者と事業者の双方にとって有益なものであり、当該仕組みの構築が急務となっている。

 福祉サービスに関する苦情は、本来、当事者である利用者と事業者との間で自主的に解決されるべきものである。しかしながら、苦情を密室化せず、苦情解決に社会性や客観性を確保し、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するため、事業者段階及び都道府県段階それぞれに苦情解決の仕組みを構築する必要がある。
 なお、苦情解決事業の具体的な実施方法については全国社会福祉協議会において有識者による検討を行い、平成11年10月に報告をまとめたところである。
 (「福祉サービスに係る苦情解決に関する検討会」報告書 資料2)

 実施に向けての今後の対応
 厚生省としては、この苦情解決の仕組みを平成12年度当初から導入すべく、次期通常国会に社会福祉事業法等の一部改正(案)を提出する予定で作業を進めている。
 事業者段階の仕組みについては、改正法の施行に併せ、社会福祉施設の最低基準等の省令等を改正し、その中に利用者からの苦情への対応に関する事項を定めることとしている。その際、具体的な実施方法のガイドラインを都道府県市に通知する予定としているので、管下社会福祉法人等関係者に周知願いたい。
 また、都道府県段階の仕組みについては、都道府県を通じて都道府県社会福祉協議会に所要の経費を補助することとしているので、各都道府県おかれては、本事業の円滑な実施に御配慮願いたい。

(2)福祉サービスの第三者評価事業について

 福祉サービスの質を確保するため、平成11年3月に社会・援護局に事務局を 置く「福祉サービスの質に関する検討会」において、サービスに関する基準、第三者評価についての基本的な考え方を「福祉サービスの質の向上に関する基本方針」としてとりまとめたところである。
 本年度、同検討会において、この基本方針に沿って評価基準、評価の実施方法 及び評価機関の要件等、福祉サービスの第三者評価の仕組みについて引き続き検討しているところである。
 平成12年度予算(案)においては、福祉サービスの第三者評価事業をモデル的に実施し、本事業の普及促進を図る上での問題点の把握、検討を行うと ともに、サービスの評価を実施する調査者の養成研修を実施する予定であるので了知願いたい。

資 料
福祉サービスの質の向上に関する基本方針

平成11年3月2日
福祉サービスの
質に関する検討会

1.基本的考え方
(1)社会福祉基礎構造改革において、利用者本位の福祉サービス利用制度への転換を行うに当たっては、利用者の福祉サービス利用を支援するため、権利擁護、苦情解決、事業の透明性の確保のための方策と併せて、サービスに関する基準の策定、サービス評価などの仕組みを充実、強化する必要がある。

(2)このため、
 1) 外形的基準のみならず、サービスの内容に関する基準を設けることにより必要な水準を確保するとともに、
 2) サービスの質を第三者が客観的に評価する仕組みを設けることにより、より良いサービスの提供に向けた事業者の取組を促進することが必要である。

(3)なお、この基本方針は福祉サービス全般を念頭に置いて、サービスに関する基準などの標準的な考え方を整理したものであり、具体的な基準などはそれぞれのサービスの特性を踏まえた検討が必要である。

2.サービスに関する基準

(1)基本的考え方
・ 福祉サービスの提供に関し、それぞれのサービスの特性を踏まえた最低限遵守すべき水準に対応した基準。法令や通知により実行を担保
・ 施設、設備、人員配置などの外形的基準に加えて、サービスの内容に関する基準が必要

(2)サービスに関する基準に盛り込むべき事項
 サービスの内容に関する基準として、以下のサービス提供の基本的方針、サービス提供過程、サービスの自己評価、サービス改善のための措置、苦情解決、サービス提供における専門的な職の位置づけなどに関する事項を盛り込むことが適当
 1) サービス提供の基本的方針

・ 利用者の立場に立ったサービス提供のための施設、事業運営上の基本的考え方、方針など
 2) サービス提供過程に関する事項
・ 利用者の状況把握(アセスメント)、個別支援計画等の作成、サービスの実施、自己評価、処遇会議の実施、サービス提供の記録の継続的管理など
 3) サービスの自己評価に関する事項
・ 自己の提供するサービスの効果や問題点を的確に把握するための評価事項・評価実施者、評価記録の保存など
 4) サービス改善のための措置に関する事項
・ サービス評価などをサービスの向上・改善に結びつける体制など
 5) 苦情解決に関する事項
・ 苦情解決のための体制など
 6) サービス提供における専門的な職の位置づけに関する事項
・ 専門的な職をあてるべき職務など
 7) その他
・ 以上のような措置を講じる一方で、利用者の選択に委ねることが適当な事項及びその基準の在り方を検討

3.第三者評価及び評価基準

(1)目的
・ 個々の事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、改善に結びつけること。
・ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となるもの。

(2)サービスに関する基準との関係

・ サービスに関する基準に盛り込むべき事項(2.(2) 1) 〜 7))を前提としつつ、より望ましい水準に誘導するためのもの。

(3)評価基準

・ 具体的な項目は、一定の知識・経験に基づく専門的判断や評価が必要なものに重点化
・ できるだけ客観的な評価が可能となる基準
・ サービス提供の過程や組織・体制を中心に評価。利用者の満足度を含めた結果の評価についてはさらに検討が必要
・ それぞれのサービスの特性を踏まえた基準が必要

4.第三者評価の実施体制

(1)評価機関の要件
・ 第三者性(中立性、独立性、倫理性)
・ 評価能力(専門家の確保等)
・ 実行能力(組織体制等)
など、信頼性のある機関で実施することが必要

(2)評価実施者

・ 福祉サービスの評価に必要な知識・経験を有し、かつ、利用者の視点を持って評価を行うことができる者でチームを組織して実施

(3)評価の実施方法

・ 一定の手順を定めることが必要
・ 評価の過程において、利用者の意見を聴くことが必要

(4)その他

・ 評価の過程において最低基準に違反している事例を発見した場合は、行政庁への情報提供を行うことが必要


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