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(看護課)

1.准看護婦問題について

 准看護婦問題については、平成7年10月より「准看護婦問題調査検討会」を開催し、准看護婦養成所等の客観的な実態把握とそれに基づく検討を行い、平成8年12月に報告書が公表された。
 その報告書において、「21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努める」とともに、「一方、具体的な検討を行うに当たっては、地域医療の現場に混乱を生じさせないこと等、国において広く関係者と十分な協議を重ねながら行うこと」が提言された。その後、厚生省では関係者と協議を重ねた結果、昨年暮れ、「准看護婦問題調査検討会報告書の今後の対応について」として日本医師会長及び日本看護協会長宛に以下の内容を通知した。

(1)地域医療の確保と看護の質の向上を図る観点から、まず、准看護婦養成の質的向上のための検討から行う。

(2)准看護婦の看護婦への移行教育は、看護職員の資質の向上のため、また、就業経験の長い准看護婦が希望している看護婦への道を広げるためのものとして検討する。

 これを受けて、昨年3月にそれぞれの検討会を発足させたところである。
 現在、(1)については、「准看護婦の資質の向上に関する検討会」で検討を行っている。この検討会では、まず、看護婦2年課程の新カリキュラムへの移行から検討を行った。この結果、看護婦2年課程は、平成11年度から新カリキュラムに移行する。その後、准看護婦養成の現状と課題について議論を行っており、准看護婦養成の質的向上について、さらに議論を深めていくこととしている。

 (2)については、「准看護婦の移行教育に関する検討会」で検討を行っている。この検討会では、既に、放送大学に移行教育の実施について検討を依頼しているところであり、また、移行教育の対象者、カリキュラム、国家試験等の検討項目について論点整理を行うなど検討が深まってきている。


2.看護職員確保対策について

 国民に良質で適切な保健・医療サービスを提供していくためには、資質の高い看護職員を十分に確保していくことが不可欠である。
 このため、平成4年6月に成立した「看護婦等の人材確保の促進に関する法律」(以下「人材確保法」という。)及び「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」(以下「基本指針」という。)を基盤として、21世紀に向けて良質、かつ、適切な医療及び人材の確保が図られるよう、「看護職員需給見通し」(平成3年 12月策定)の達成に取り組んでいるところであり、その状況は現在のところ順調に推移している。
(別記資料1参照)

(1)看護職員確保対策については、今後の出生率の低下に伴う若年労働力人口の減少を踏まえ、養成力の確保にも配慮しつつ、看護業務に従事している看護職員の離職防止、潜在看護職員の再就業の支援を継続するとともに、少子・高齢化の進展及び医療の高度化・専門化など看護をめぐる状況の変化に対応し、訪問看護や高度・専門医療に対応できるより資質の高い看護職員の養成・確保を図るための看護職員の資質の向上に重点を置く必要がある。

(2)平成11年度看護職員確保対策関係予算(案)については、厳しい財政状況であり、既存の事業の見直しを行いつつ、少子・高齢化の進展及び医療の高度化・専門化など看護をめぐる状況の変化に対応し、訪問看護や高度・専門医療に対応できるより資質の高い看護職員の養成・確保を図るための看護職員の資質の向上に重点を置き、また、子供を持つ看護職員の離職防止・再就業の支援を行うなど、引き続き人材確保法が実効のあるものとするため、116億4千万円を計上している。

主なものとしては、

1)「子供を持つ看護婦確保事業」

 負担能力指数の適用により50%の減額交付となっているものが、全額交付へと状況が変化しており、そのため、か所数の見直しを行うとともに、補助基準単価の5%引下げを行うこととしている。
 本事業の平成11年度の国庫補助基準額の予定額については、概算要求段階でお知らせしているところであるが、5%程度の引下げにより、受益者負担をお願いする予定であるので、関係者への周知方よろしくお願いしたい。

2)「看護婦等養成所運営費」

 主な見直し点として、

ア 看護婦2年課程のカリキュラム改正による教育の充実

イ 対象経費の見直し[生徒に係る経費(生徒教材費)の除外]

ウ 補助基準単価の見直し

 等行うこととしている。
 本事業の平成11年度の国庫補助基準額の予定額については、概算要求段階でお知らせしているところであるが、受益者負担をお願いする予定であるので、関係者への周知方よろしくお願いしたい。
3)「看護職員資質向上推進事業」

 平成11年度新規の事業であり、その内容は、都道府県において、病院や診療所などの医療機関等の代表からなる看護職員資質向上推進委員会を開催し、看護職員が地域で学習するために必要な研修会の計画立案や研修会等への参加を容易にする方法等について話し合い、卒後教育の計画的な実施を図るための推進計画を策定し、看護職員の資質向上を図ることとしている。
 なお、看護教員養成講習会については2か所増(13→15か所)、実習指導者講習会については基準額の引き上げを行う予定であり、積極的な取り組みをお願いしたい。

4)「看護職員の需給に関する検討会」

 平成11年度新規で、少子・高齢化社会の中で、医療の改革に応じた必要病床数の動向、介護保険制度の推進などを踏まえ、平成13年以降の看護職員の需給計画に関する検討を行うこととしている。
 検討会の進捗に合わせて、各都道府県にも計画策定等を依頼することになるので、協力方よろしくお願いしたい。

5)「その他」

 新設の看護婦等養成所等に対する国庫補助の採択に当たっては、各都道府県の看護職員需給見通しの達成状況や看護職員確保対策への取り組み状況等を総合的に勘案することとし、採択できない場合もあることを了知されたい。
 なお、具体的な国庫補助採択方針については、別途お知らせする予定である。
 また、厳しい財政事情の中で受益者の負担増をお願いしなければならないところもあるが、看護課としても、引き続き、より資質の高い看護職員の養成・確保対策を推進してまいりたいと考えている。
 各都道府県におかれても、引き続き積極的な取り組みをお願いしたい。

 看護職員を志望する者の確保については、平成3年に制定した「看護の日」及び「看護週間」等を通じ普及啓発に努めている。基本指針でも看護の魅力を積極的に若年層に伝える対策の必要性が指摘されており、「看護の日」等の行事の実施に当たっては、教育委員会と調整されて実施するよう引き続き努められたい。
 なお、厚生省及び日本看護協会主催の中央行事を平成11年は東京都で行う予定であるので、各都道府県の協力をお願いする。


3.看護婦国家試験出題基準作成委員会について

 指定規則の改正に伴い、平成9年度から施行された新カリキュラムは、従来のカリキュラムに比べて大幅に教育内容の弾力化が図られているところである。このため、平成10年以降に実施される保健婦及び助産婦国家試験については、すでに出題基準が作成され公表されたところである。
 看護婦国家試験についても、平成12年以降実施分より保健婦及び助産婦同様に実施する必要があることから、医療関係者審議会保健婦助産婦看護婦部会の下に、看護婦国家試験出題基準作成作成委員会を設け、出題基準を本年3月までに作成し、公表する予定である。


(別記資料1)

看護職員の需給見通しの達成状況

(単位:人)

年 次 需 要 数 (A) 年末就業者数 (B) 達成率(%)
(B)/(A)×100
平成3年 見通し数 932,000 858,000 92.1
実績数 932,000 851,734 91.4
平成4年 見通し数 976,000 885,000 90.7
実績数 976,000 880,216 90.2
平成5年 見通し数 1,012,000 914,000 90.3
実績数 1,012,000 922,471 91.2
平成6年 見通し数 1,034,000 946,000 91.5
実績数 1,034,000 961,744 93.0
平成7年 見通し数 1,055,000 979,000 92.8
実績数 1,055,000 990,582 93.9
平成8年 見通し数 1,076,000 1,014,000 94.2
実績数 1,076,000 1,033,244 96.0
平成9年 見通し数 1,096,000 1,049,000 95.7
実績数 1,096,000 1,065,306 97.2
平成10年 見通し数 1,117,000 1,086,000 97.2
実績数 1,117,000 −−−−− −−−
平成11年 見通し数 1,138,000 1,122,000 98.6
実績数 1,138,000 −−−−− −−−
平成12年 見通し数 1,159,000 1,159,000 100.0
実績数 1,159,000 −−−−− −−−


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