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(歯科保健課)

1.8020運動等歯科保健対策について

 高齢社会を迎えた今日、国民すべてが健康で明るく快適に過ごせる社会づくりを進めていくことが重要な課題であるが、歯の喪失等は、物が食べにくい、会話が不明瞭になることが生じる等豊かな生活を送る上で大きな影響を与えることとなる。
 そこで、生涯を通じた歯科保健活動を推進していくため、80歳になっても自分の歯を20本以上保つことを目標とした8020(ハチマル・ニイマル)運動を進めているが、各都道府県におかれても、本運動の一層の推進に努められたい。

(1) 成人歯科保健事業について

 歯科検診を受ける機会に恵まれない母親等地域住民に対して歯科健康診査・歯科保健指導を行い歯科疾患の予防を図るとともに、歯科衛生思想の普及啓発を行う等地域歯科保健の向上を図るための市町村・特別区の事業に対して補助を行うこととしている。

(2) かかりつけ歯科医機能支援事業について

 歯科における患者の心身の特徴を踏まえた治療と口腔の継続管理等を行う、かかりつけ歯科医の機能を普及・定着させ、8020を目指した地域の歯科保健対策の推進を図るため、事業実施主体である市町村・特別区に対して支援事業を行うこととしている。

(3) 在宅要介護者歯科保健推進事業について

 要介護高齢者及び要介護障害(児)者で歯科保健サービスを受ける機会に恵まれない者に対して、口腔衛生の一層の改善を図るための市町村・特別区の事業に対して補助を行うこととしている。

(4) 8020運動推進特別事業について

 8020運動事業の推進を支援することを目的として、地域の特性を生かし、また、創意工夫を凝らしながら実施主体である市町村・特別区の歯科保健水準を向上させる事業に対して補助を行い、生涯を通じた歯の健康づくりを推進することとしている。

(5) (新)歯科疾患実態調査について

 平成11年度は、従来から6年に一度実施している歯科疾患実態調査の実施時期に当たっていることから、8020運動の効果判定を行うとともに、今後の効果的な歯科保健対策の推進方策及び歯科医療提供体制等を見直す際の基礎資料を得ることとしているので、協力方お願いしたい。
 なお、事前に各都道府県の担当者に対しては、調査説明会を実施することとしており、詳細については、別途連絡したい。

(6) 歯科関係者講習会等について

 歯科医療関係者感染症予防講習会については、(社)日本歯科医師会に委託して歯科医師、歯科衛生士及び歯科技工士を対象にした歯科医療関係者感染症予防講習会を行い、HIV等の感染症予防講習を行うことにより、歯科治療時の患者及び歯科医療従事者へのHIV等の感染を防ぎ、患者が安心して受けられる歯科医療の提供を図ることとしている。
 また、在宅要介護者等に対しても歯科保健サービスや歯科治療等が実施されるようになってきているが、健常者に比べ、全身管理を必要とすることや歯科保健指導の技法が複雑なこと等から、在宅歯科医療への対応が不十分である。
 このため、地域医療を担う歯科医師に対して在宅医療についての研修を行い、受入れ体制の強化を図り、地域住民に良質で適切な歯科保健医療の提供を図るため、平成11年度も引き続き在宅医療推進歯科医師研修を各都道府県に委託し行うこととしているので、協力方お願いしたい。

(7) 歯科保健関係行事について

 国民の歯科保健に対する関心をより向上させるために、各地域で歯の健康づくりを推進していくことが重要であることから、歯の衛生週間(6月4日〜10日)や第20回全国歯科保健大会(11月17日東京都内で開催予定)等の実施を通じ、歯科衛生思想の普及啓発を行うとともに地域における歯科保健事業の積極的な推進を図ることとしているので、各都道府県におかれてもその推進に努められたい。

(8) 保健所等に勤務する歯科医師及び歯科衛生士について

 歯科保健対策の推進を図るためには、歯科医師及び歯科衛生士を都道府県、政令市、市町村、保健所等に配置することが必要であり、成人歯科保健や母子歯科保健の充実に伴い、従事者数は増加してきているものの、まだ不十分であり、今後とも十分配慮願いたい。
 市町村における配置は無論のこと、特に、現在未配置の県にあっては、是非とも協力方よろしくお願いする。


2.へき地等歯科医療対策について

 へき地医療対策としての、1)無歯科医地区及び離島住民に対する歯科巡回診療事業、2)過疎地域における歯科診療所の整備及び3)へき地中核病院設備整備事業(歯科医療機器分)、また、救急医療対策としての、1)休日等歯科診療所の運営事業費及び設備整備及び2)歯科の在宅当番医制の助成については、平成11年度においても引き続き行うこととしている。
 なお、平成11年度は、5年に一度の無歯科医地区等調査を実施することとしており、詳細については、別途通知したい。


3.歯科医師の臨床研修について

(1) 平成8年6月の歯科医師法の一部改正により、歯科医師については 1年以上の臨床研修を行うことが努力義務とされ、平成9年4月から 実施されているところである。
 歯科医師臨床研修の本格的な実施に先立ち、平成9年3月の医療関係者審議会歯科医師臨床研修部会の意見を受け、歯科大学・歯学部附属病院及び医科大学・医学部附属病院以外の歯科医師臨床研修施設として、同年4月に一般病院及び歯科診療所合計105施設が指定されたところである。
 今年度は2月に歯科医師臨床研修部会を開催する予定としており、4月に新たな臨床研修施設の指定を行うこととしている。

(2) 歯科医師臨床研修は開始後、間もないことから、実施率が半数程度に留まっており、臨床研修歯科医を受け入れる臨床研修施設も不足の状況にあるため、当面、その拡充を図る必要がある。
 各都道府県におかれては、歯科医師臨床研修施設の指定基準等に留意のうえ、臨床研修施設の指定申請に関する歯科医療機関への周知等について格段の御協力をお願いしたい。
 なお、毎年8月末を指定申請の締切りとしているので、期日についてもご留意いただきたい。


4.歯科医師需給問題について

(1) 昭和61年の「将来の歯科医師需給に関する検討委員会」の最終意見においては、平成37年には歯科医師数の2割程度が過剰になるとの見通しが示され、平成7年を目途に歯科医師の新規参入を最小限20%削減することが提言された。その結果、歯科大学・歯学部の入学定員(募集人員)の削減の努力が行われ、平成6年度には削減率は19.7%に達したところである。

(2) しかし、今後の公的介護保険制度の動向、保健予防サービスの需要等を踏まえ、平成9年8月に与党医療保険制度改革協議会の「21世紀の国民医療」において、医療従事者の資質の向上と適正な確保が求められていることから歯科医師の需給についても、さらなる見直しが必要とされているところである。

(3) そのため、平成9年7月から「歯科医師の需給に関する検討会」において、地域偏在の是正等の新たなる観点を含め、将来の歯科医師数を適正に確保していくための検討を行った。

(4) 平成10年5月には、この検討会において、今後の歯科医師需給問題には、入学定員の削減が提言されたところであるが、文部省に対し、歯学部の入学定員の削減について、文書により申し入れを行ったところである。


5.歯科衛生士・歯科技工士について

(1) 歯科衛生士について

 地域保健法の全面施行により、歯科保健事業の一層の拡大等が期待される中、地域における歯科保健を推進していく上で、住民に対する歯科衛生士による歯科保健指導が充実されることが重要となることから、歯科衛生士の役割は今後とも増大していくことが予想される。
 このため、歯科保健サ−ビスを担う歯科衛生士に対して、義歯の取扱い等を始めとする歯科保健の指導法の研修及び地域保健医療についての研修を行い、地域住民により良質で適切な歯科保健の充実を図るため、平成11年度も引き続き地域保健医療推進歯科衛生士研修を各都道府県に委託をして行うこととしているので、協力方お願いしたい。
 また、昨年9月に「歯科衛生士の資質の向上に関する検討会」を設置し、歯科衛生士の業務、教育及び研修について、現在検討を行っているところである。

(2) 歯科技工士について

 平成11年度においては、質の高い歯科技工士を安定的に確保していくため、将来における歯科技工士数の適正確保対策、教育及び試験制度等について検討を行うため、「歯科技工士の養成の在り方等に関する検討会」を設置することとしている。



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