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8 児童福祉施設の整備及び運営について

(1)児童福祉施設の整備について

ア 社会福祉施設等施設整備費については、平成10年度第3次補正予算において1,118億円、さらに平成11年度予算(案)として1,614億円、併せて2,732億円を予算計上し、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)」、「緊急保育対策等5か年事業」及び「障害者プラン」等の着実な推進を図ることとしており、児童家庭局関係としては次の内容となっている。

(ア)「緊急保育対策等5か年事業」における保育所の整備については、従来からの保育所の整備に加え、緊急保育対策整備分として94億9,600万円を計上し、昭和40年代から昭和50年代にかけて多数整備された保育所について、改築整備を行うとともに、多機能化のための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。
 
(イ)老朽社会福祉施設緊急改築整備分として、従来から進めてきた老朽社会福祉施設の改築整備に加え、38億9,400万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備を引き続き推進する。
 
(ウ)一般整備分として89億1,500万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備を推進する。

イ 設備整備費については、対前年度比1.0%増の136億円を計上し、施設整備量に対応した必要な額を確保したところである。

ウ 平成11年度における補助基準単価については、公共工事の費用縮減及び三省合同調査後の状況等を総合的に勘案し、3.4%減の単価改定を行うこととしている。

エ 平成11年度の整備方針等

 児童福祉施設等の整備については、各都道府県等における老朽施設の実態や近年の入所児童の動向など施設全体の状況を踏まえ、計画的な整備が図られるよう配慮されたい。
 平成11年度においては、次の事項を基本として整備を図ることとしているが、限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。
 各都道府県・市におかれては、平成11年度に予定している整備計画の徹底した精査を図り、真に必要と認められる整備について厳選した対応に努めていただきたい。
 
(ア)「緊急保育対策等5か年事業」に基づき、都市部における多様なニーズに対応できる多機能を有する保育所の整備を行うとともに、老朽化している保育所の改築に併せて低年齢児の受け入れ枠の拡大や地域子育て支援スペース・一時的保育スペースの設備等多様な保育ニーズに対応した整備を推進する。
 
(イ)国民の生活水準の向上に対応した居住環境の向上を図るとともに、施設入所児童等の安全性を確保する観点から、災害に強く、ゆとりある居住空間を備えた施設とするため、老朽施設の改築、児童養護施設の大部屋解消のための整備のほか、子育て支援短期利用事業等地域のニーズに合った、または地域に解放さてた事業を積極的に実施する整備及び火災、地震等の防災対策に配慮した施設の内部改修の整備を促進する。

オ その他の留意事項

 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成11年度においても引き続き、補助金等の整理合理化の一環として調整措置を講ずることとしているので、了知願いたい。

カ 平成10年度第3次補正予算について

 平成10年度第3次補正予算において、社会福祉施設整備費予算として1,118億円を計上しているところであるが、積極的な協議が行われるようお願いする。

キ 社会福祉施設整備業務の再点検について

 厚生省においては、平成9年3月31日に取りまとめた「施設整備事業等の再点検のための調査委員会報告書」で明らかにしたとおり、社会福祉法人等が行う契約事務については地方公共団体の契約手続きに準拠し、一括下請負の禁止などを補助金の交付の条件とすること等建設工事の適正化、補助金交付対象施設の明確化等の措置を講じ周知徹底を図ったところである。
 各都道府県・市におかれては、施設整備業務のさらなる再点検、会議等での関係者への指導の徹底や未然防止策の検討など再発防止対策の充実に努めていただきたい。

ク 社会福祉施設の防災対策について

(ア)防災対策の取り組み
 社会福祉施設の防災対策については、入所児童等の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日付け社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管下社会福祉施設に対し指導をお願いしているところである。施設の運営上、入所児童等の安全確保が最重要課題であることを再認識していただき、スプリンクラ−設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所児童等の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費・保育所運営費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業が施設機能強化推進費のメニュー事業として算入されているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実を図られたい。
 
イ)被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日付け社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、児童家庭局所管施設については、災害発生後速やかに児童家庭局企画課に報告するとともに、復旧事業の早期着工を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

(2)児童福祉施設の運営について

ア 施設機能の活用と適正な運営管理の推進

(ア)児童福祉施設は、地域の福祉資源として福祉活動等の拠点としての機能が求められており、施設のもっている設備や専門的機能、児童の健全育成等の情報を地域社会に提供していくことが重要となっている。
さらに、福祉人材の確保を図る観点から、各社会福祉施設において保育士養成施設等からの実習生の受入、寮母等職員の介護福祉士資格取得に対する支援や平成10年度から義務化された教員免許取得志望者に対する児童の健全育成等体験の受入等、積極的な取組みについて管下施設に対し指導願いたい。
 
(イ)児童福祉施設の運営費の取扱いについては、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、他の社会福祉施設において使途不明金が発覚するなどの不祥事が生じているところであり、こういった不祥事は、社会福祉施設に対する国民の信頼を著しく損なうこととなる。
ついては、指導監査の結果を踏まえた運営費の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導されたい。

イ 入所児童の処遇

 入所児童の適切な処遇の確保については、昨年、児童福祉施設最低基準を改正し、施設長の懲戒に係る権限の濫用を禁止する規定を明確化したところであるが、一部の施設において体罰事件が発生している事例が見られることは誠に遺憾である。入所児童の健全育成と権利擁護の重要性に鑑み、改めて管下施設の運営指導、児童相談所による技術的支援、職員研修の充実等に努めるようお願いしたい。

ウ 児童福祉施設の感染症予防対策について

 児童福祉施設の感染症予防対策については、従来より貴職において適切な指導が行われているところであるが、特に児童福祉施設の食中毒予防については、種々の対策をお願いしているところである。
 しかしながら、平成10年3月に当省生活衛生局食品保健課長より各都道府県、政令市及び特別区衛生主管部(局)長を通じ、乳幼児等の食中毒の危険性が比較的高い集団が多く入所している社会福祉施設等給食施設の一斉点検が実施され、その結果、いまだ点検項目の不適合施設が見受けられた。
 社会福祉施設等給食施設については平成11年度も引き続き一斉点検を行い、指摘事項があった施設についてはその改善状況を確認し、改善が見られない場合には確実に改善が実施されるよう改善勧告を実施することとされている。
 また、冬季は、インフルエンザが流行する時期であり、特に乳幼児等が入所する児童福祉施設についてはその予防に十分留意する必要がある。
 なお、入所施設において児童へのワクチン接種、抗体測定等を行う場合には、特段の理由がない限り施設長等が保護者の同意を得た上で実施するよう指導をお願いする。
 ついては、管下児童福祉施設に対するこれらの指導に当たっては、衛生部局と緊密な連携を図られたい。

エ 児童福祉施設におけるコンピュータ西暦2000年問題への対応

 昨年9月に政府の高度情報通信社会推進本部においてコンピュータ西暦2000年問題(以下「2000年問題」という。)に関する行動計画が策定され、2000年問題への対応の周知など官民を挙げた具体的な行動の徹底を図ることとされている。
 児童福祉施設においても、2000年問題が発生することによって、施設運営に支障を来す可能性が考えられることから、注意喚起を促す必要がある。
 貴職においては管下児童福祉施設に対し適切な指導を願いたい。

オ 施設運営費の平成11年度予算(案)における改善内容

 平成11年度予算(案)においては、入所児童の一般生活費等について生活保護基準に準じた所要の改善を図るとともに、職員処遇の充実を図るため国家公務員に準じた給与改善等を行うこととしている。
 また、昨年9月の労働基準法の一部改正による年次有給休暇の付与日数の引き上げが平成11年4月に施行されることに伴い、社会福祉施設職員の年次有給休暇の取得促進を図るため、代替職員を雇い上げる経費(年休代替要員費)を改善し、労働基準法の順法体制を確保したところである。
 ついては、管下児童福祉施設の入所児童の処遇の一層の充実並びに職員の待遇改善について、引き続き指導されたい。



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