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3 児童虐待防止施策等について
 児童相談所における児童虐待の相談件数は、平成2年度1,101件、その後、年々増加の一途を辿り、平成9年度には5,352件となっており、深刻な状況と言わざるを得ない。
 その背景には、関係者による理解、関心の高まりにより児童虐待が顕在化し易くなったこともあるが、都市化、核家族化の進行により子育てを行う親の孤立化が重要な要因として考えられる。
 厚生省としては、児童虐待への対応強化を図るため、平成9年の児童福祉法改正においても、児童家庭支援センターの創設をはじめ、児童相談所が施設入所等の措置を採る際の児童福祉審議会への意見聴取等の措置を講じたところである。
 また、児童虐待への適切な対応を期するための通知の発出をはじめ、児童相談所運営指針の大幅改定、早期発見・早期対応に資するための「子ども虐待防止の手引き」の作成等、施策の充実を図ってきたところである。
 さらに、児童相談所等におけるより適切な対応を期するため、現在、「児童虐待対応の手引き」(仮称)を作成しているところである。
 平成11年度においても一層の取組み強化を図るため、下記の施策を講じることとしているので、これらを踏まえて児童虐待防止施策について一層の御協力をお願いしたい。

(1)児童虐待問題地域住民啓発ビデオ等の作成について

 児童虐待の防止に資する内容のビデオ及びパンフレットを厚生省が作成し各都道府県・指定都市に配布することとしているので、児童相談所等を通じ、保育所、幼稚園、学校等の保護者会において上映するなど積極的な活用により児童虐待に対する地域住民の啓発や児童相談所への通告の促進に努めていただきたい。

(2)家庭支援体制緊急整備促進事業について

 児童虐待や非行の深刻化に迅速かつ的確に対応するには、地域ぐるみのきめ細かな家庭支援が重要である。
 このため、児童相談所が中心となって主任児童委員等の地域における人材に対し研修を行い、その研修修了者を登録する等の方法により地域連絡網を整備するとともに地域住民の啓発を図り、きめ細かな支援活動が展開できる基盤を整備することとしている。
 なお、これまで児童相談所を中心に実施してきた「ひきこもり・不登校児童福祉対策事業費のふれあい心の友訪問援助事業及び不登校児童宿泊等指導事業」についてもこの事業に統合を図り、家庭支援体制の一層の強化を図ることとしている。

(3)子どもの心の健康づくり対策事業について

 助産所の助産婦等を活用してメンタルケア、虐待、育児不安等に関する専門相談及び指導を行うことにより、母親の育児不安等の解消を図るとともに、近年、問題となっている虐待・いじめ等の早期発見・早期対応を図るため、小児科医等による電話相談等を実施している。
 平成11年度より都道府県レベルの虐待ネットワーク等の事業が対象となるよう、都道府県事業も対象としたので積極的な活用をお願いしたい。

(4)児童養護施設における被虐待児等に対する心理療法の導入について

 近年、虐待等家庭環境上の理由により児童養護施設に入所してくる児童で心理療法を必要とする者の割合が増加していることから、平成11年度予算案において、児童養護施設に心理療法を行うための非常勤職員等を配置することとしたところである。
 なお、各都道府県・指定都市におかれては、被虐待児等心理的なケアを必要とする児童に対する専門的な処遇体制を確保するため、情緒障害児短期治療施設についてもその整備促進を図られたい。

(5)児童自立支援施設における学校教育の実施について

 学校教育の実施については、民生主管部局と教育委員会が密接に連携を取りながら、早期実施に向けてご尽力いただいているところである。厚生省においても、平成10年度から学校教育実施促進事業を創設するとともに、文部省と連携しつつ、学校教育が早期に円滑に実施されるよう努めている。各都道府県におかれても、引き続きさらに一層のご尽力をお願いしたい。



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