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2 保育対策について

(1)緊急保育対策等5か年事業について

 平成11年度はエンゼルプランの一環としての「緊急保育対策等5か年 事業」の最終年度でもある。各事業を着実に推進するため、各都道府県・ 指定都市・中核市においては、引き続き管下市町村及び保育所に対しその 内容と趣旨を徹底するとともに、各地方公共団体においても、それぞれの 地域のニーズを踏まえ、計画的なサービス提供に努めること等により、こ れらの施策を協力に推進されるよう特段の配慮をお願いしたい。

(2)都市部における待機児童解消策について

 都市部を中心に問題となっている保育所の待機児童の完全解消を図るた め、低年齢児の受入れ枠の大幅な拡大(53.5万人 → 58.4万人 対前年度4.9万人の増)に併せて、都市部における多様な保育需要に的 確に応えていくため、都市部においても設置しやすい保育所の分園等小規 模な保育所を「都市型小規模保育所」として整備するとともに、駅型保育 試行事業の実施か所数の増を確保したところである。
 今後とも、分園の設置促進や入所定員の弾力化の一層の推進を図り、待 機児童の解消に向けて特段の配慮をお願いしたい。

(3)改正児童福祉法の着実な実施について

 平成9年に児童福祉法が改正され、保育所について、市町村の措置による入所の仕組みが、保育所に関する情報の提供に基づき保護者が保育所を選択して利用する仕組み等に改められ、平成10年4月1日より施行された。これに併せて入所定員の弾力化等の改正をお示ししているところである。
 この具体的な実施状況については、児童保育施策の主な改正に伴う各地方公共団体の施行状況調査を行い、現在、とりまとめを行っているところである。
 各地方公共団体においては、改正児童福祉法の着実な実施について特段の御配慮を頂いているところであるが、今後も施行状況調査の結果も踏まえながら、引き続き法改正の趣旨・内容の具体化、定着について特段の御配慮を願いたい。

(4)特別保育事業について

 近年の女性の社会進出の増加等に伴う保育需要の多様化に対応するため、 特別保育事業等の積極的な取り組みが要請されている。
 平成11年度予算案においては、緊急保育対策等5か年事業に基づき、 各事業の着実な実施を図るとともに、地方公共団体・保育所が事業に一層 取り組めるよう補助要件の緩和等を図ることとしている。
 
※緊急保育対策等5か年事業の主な改善点
平成10年度 平成11年度予算案
・延長保育の促進 6,000カ所 → 7,000カ所
(対象児童に放課後児童を追加)
・一時保育の促進 1,000カ所 → 1,500カ所
・地域子育て支援センター事業 840カ所 → 1,500カ所
(小規模型900カ所含む)
(従来の3事業に「ベビーシッターなど地域の保育資源の情報提供等」を追加)
・開所時間延長促進事業 5,007カ所 → 6,250カ所
・低年齢児保育促進事業 1,801カ所 → 2,000カ所
(人件費だけでなく設備等の受け入れ環境の改善に要する費用等も補助対象に追加)
・産休・育休明け入所予約モデル事業 1,400カ所 → 400カ所
(地域の実態を踏まえ10月以降の入所が困難な場合に7月以降に入所枠を確保できれば補助対象に追加)
 
 また、就労形態の多様化等に伴い、休日保育の需要に対しどのような対 応ができるか検討するため、「休日保育試行事業」(100カ所)を実施 することとしている。
 なお、特別保育の取り組み状況を公私別に見ると、民営保育所において より積極的な取り組みをいただいているところであり、今後とも積極的に 支援してまいりたい。一方、公営保育所についても一部で新たな取組を開 始する事例も見られるようになっているが、更に地域の実情を積極的に把 握し、より柔軟な対応をお願いしたい。
 各都道府県・指定都市・中核市におかれては、多様な保育ニーズに対す る積極的な取り組みが行えるよう、管下市町村及び保育所に対し、一層の 御指導をお願いしたい。

(5)保育所の整備について

 多機能保育所の整備については、緊急経済対策(平成10年度第3次補正予算)と合わせて緊急保育対策等5か年事業の目標値の達成を図るほか、都市部においても設置しやすい保育所の分園等の整備を促進するための都市型小規模保育所の整備(100か所)を行うこととしており、全体として目標値を上回る予算を確保したところである。
 なお、既存の社会資源の有効活用を図る観点から、公立学校の余裕教室等を活用し、保育所の分園等への転用が推進できるよう、各都道府県教育委員会と十分な連携を図ることをお願いしたい。

(6)保育所における適切な処遇の確保について

 1) 保育所における体罰について

 保育所において、昨年3月に保母が走り回る児童の足やしゃべりやま ない児童の口に、さらに瞑想の時間に目を開けている児童の目にガムテ ープを貼る等入所児童に対する体罰が報道されたところであるが、この ようなことは誠に遺憾であり、入所児童に対する適切な処遇が行われる ように指導方よろしくお願いしたい。

 2) 保育所における乳幼児突然死症候群(SIDS)の対応について

 乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防するために、一般的には、乳 幼児を仰向けに寝かせること、できるだけ母乳哺育を行うこと、妊娠期 間を含めて保護者等は禁煙することについて勧奨しているところであり、 乳幼児が入所している保育所においても、これらの情報の普及が重要で あり、種々の機会を利用して広く啓発活動を行うことをお願いしたい。

 3) 保育所保育指針の改訂について

 現行の保育所保育指針は改訂後8年余りを経過したところであるが、 改定後現在までの間に、
 
・少子化の進行などに対応するため、平成6年12月にエンゼルプラン 及び緊急保育対策等5か年事業が策定される等、多様化する保育ニ ーズに対応する新しい保育施策の実施
・平成9年6月の児童福祉法等の一部改正により、どの保育所におい ても子育て家庭の相談・指導を実施
・平成6年3月に児童の権利条約を批准
・文部省においても幼稚園教育要領の改訂が行われ、先般告示(平成 10年12月14日)されたこと
 
 等大きな動きがあり、これらに対応した保育指針の見直しを行うことと しており、現在、中央児童福祉審議会保育部会等において平成12年4 月施行を目途に検討、審議を進めているところである。


休日保育試行事業について

0百万円 → 50百万円

(要 旨)

1 産業構造の変化に伴う流通サービス業の一層の進展など、休日保育の需要 が高くなっており、今後も拡大していくことが考えられる一方で、各地域に おいて具体的にどの程度の需要が見込まれ、また、その費用負担をどのよう に整理するかについて、現状では必ずしも明らかでない状況にある。
2 このため、保育所で休日保育を実施する場合に、どのような実施体制が実 態にあった効果的なものかを早急に検討する必要があり、保育所において試 行的に休日保育事業の実施を図る。

(事業内容)
区 分 内 容
実施カ所数 100カ所
運 営 費 3,000 千円 (年額事業費、このうち保護者負担 1/2)
補 助 率 1/3
定 義
日曜・祝祭日等の休日を含め毎日開所する保育所を指定し、
保護者の就労等により保育に欠ける児童を対象に実施。
この場合、主に次の項目を実践・検討。
1)休日保育に対する需要  2)休日保育の適切な実施体制
3)費用負担  4)関係機関との連携
利用児童数 1日当たり平均10人程度
事業実施主体 市町村
イメージ 図


都市型小規模保育所の整備促進

0百万円 → 3,500百万円

(要旨)
 都市部においては、低年齢児の待機児童の解消が急務となっている。このため、都市部における働く保護者の保育需要に的確に応えていくため、都市部においても設置しやすい保育所の分園等の整備を促進するために都市型小規模保育所を整備する。

(事業内容)
区 分 内 容
実施か所数 100か所
補 助 率 定額(1/2相当)
事業実施主体 市町村、社会福祉法人等
具 体 例 ・既存の社会資源
  公立学校の余裕教室を改築して転用等

・施設の増築、創設
  保育所の分園及び小規模保育所の整備
イメージ
図



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