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8.血液事業について


(1)血液事業法(仮称)の制定

 平成9年12月の「血液行政の在り方に関する懇談会」報告を受けて、昨年3月より中央薬事審議会企画・制度改正特別部会において、患者代表の方々も委員に加え、今後の血液事業の在り方について審議が進められており、現在まで11回開催されている。
 引き続き審議会において御審議いただき、できるだけ早期に結論を取りまとめていただいて関係者の合意が得られれば、法案を提出する方向で臨むこととしている。

(2)献血の推進・普及

 血液製剤の国内自給及び安全性向上のため成分献血及び400ml献血を推進しているが、200ml献血と400ml献血及び成分献血の割合は全国的にかなりの格差が見受けられる。
 各都道府県においては、的確な採血計画の策定を行うなど管下市町村及び各血液センターと十分連携を図りつつ、平成11年度から実施する献血制度推進特別事業の活用等により効果的な献血推進運動を実施されたい。

(3)献血年齢の引き上げ

 65歳以降も献血を希望される方がおられ、また、今後の少子高齢化の進展に伴い献血者の確保が一層困難となることが予想されることから、安全面にも配慮した結果、中央薬事審議会血液製剤特別部会において、60歳から64歳までに献血を行った経験のある者については、献血年齢を69歳まで引き上げることとされた。(但し、血小板成分採血については現行どおり。)
 今後、採血基準を改定するとともに、日本赤十字社血液センターの受入準備を整え、平成11年4月を目途に実施することとしている。

(4)原料血漿の確保

 血液凝固因子製剤については、各都道府県等の御協力により一部のバイパス製剤を除き、国内自給が図られているところである。
 平成11年度の原料血漿の確保については、血液凝固因子製剤のみならず血漿分画製剤全体の自給率を向上させるため、原料血漿確保目標量を87万リットルとし、昨年10月の血液事業担当者会議において、その確保をお願いしたところであり、その達成に向け御協力をお願いする。

(5)血液製剤の安全性確保対策の推進

 安全な血液製剤を供給するためには問診や各種検査の充実、製造工程の厳格な管理等が必要である。このため、現在、「血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン」の策定を行っており、これにより血漿分画製剤の安全性の一層の向上等を図ることとしている。また、平成11年度には、輸血用血液製剤に対してNAT(核酸増幅法)検査を導入してHBV、HCV、HIVウイルスの検出精度を高めることとしている。さらに、感染症等の副作用が少ない人工血液の開発研究も進めているところである。
 また、自己血輸血については、医療機関における採血、保存等に当たって専門的技術を有する血液センターの協力が強く求められており、引き続き管下センターへのご協力方特段のご配慮をお願いする。
(6)血液製剤の適正使用の推進
 血液製剤の適正な使用を図るため新鮮凍結血漿・アルブミン製剤等の使用基準を定めているが、現在、中央薬事審議会血液製剤特別部会においてこれらの使用基準の見直しを行っている。各都道府県においては引き続き医師等の医療従事者を対象とした使用基準の説明会を行うとともに、二次医療圏の中核病院を対象とした専門家による個別説明会を実施するなど、一層の適正使用の推進をお願いする。
 また、各都道府県において、地域医療の代表者、医療機関の管理者等の委員からなる血液製剤の使用に係る懇談会が設置されているが、この懇談会において、それぞれの都道府県における血液製剤の使用に係る問題点の整理、改善策の検討等をお願いする。

(7)HTLV−1抗体検査陽性献血者への結果通知及び事後相談事業の実施

 献血時にHTLV−1の抗体検査を行っているところであるが、検査陽性献血者にはこれまでのところ結果を通知していなかったところである。しかしながら、HTLV−1抗体検査陽性献血者に頻回に献血していただいている例もあることから、中央薬事審議会血液製剤特別部会における審議の結果、本人の希望を聞いた上で、陽性者にその結果を通知すべきであるとの結論が得られた。
 このため、平成11年度よりHTLV−1抗体検査結果の通知を希望する献血者に対し日赤血液センターから通知を行うとともに、陽性通知を受けたときの将来に対する精神的負担の軽減及び健康管理を図るため、日赤血液センター、保健所、精神保健福祉センター、医療機関等での相談事業を順次実施することとしているのでご協力をお願いする。

(8)リンパ球液の取扱

 龍岡門クリニックの事件に端を発したリンパ球液投与の実態調査について各都道府県のご協力をいただいたところであるが、その調査結果及び今後の留意事項について本年1月8日に通知したところである。
 医療機関において未承認薬を使用する場合には、適切な検査等を行うことによりその安全性を確認するとともに、患者やその家族に対してその安全性等について十分説明し、理解を得た上で実施すること等が必要であるので、引き続き周知徹底方お願いする。



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