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連絡事項

生活習慣病対策室

1.生活習慣病対策

 「生活習慣病」とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」を表す概念として公衆衛生審議会からの提言(平成8年12月:意見具申)を受けて導入したものであるが、平成11年度においても、引き続き、生活習慣を改善することにより疾病の発症や進行が予防できるという一次予防対策を推進していくとともに、以下のような施策を行うこととしているのでご協力願いたい。

(1)糖尿病対策について

 平成9年11月に実施した糖尿病実態調査では、糖尿病が強く疑われる人が690万人、可能性を否定できない人を含めると1,370万人と推計された。この数字は成人の約7人に1人に相当する。一方、平成8年患者調査では、医療機関に通っている糖尿病患者は218万人と推計されており、平成5年患者調査による推計の158万人に対し、3年間で約40%の増加を示している。糖尿病は国民の健康上の深刻な問題になっているといえる。
 特に、糖尿病患者は肥満傾向が強いといわれてきたが、今回の実態調査でも糖尿病が強く疑われる人の多数が、現在肥満かあるいは過去において肥満であったという結果がでており、糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)の発症や進行の予防には、食生活、運動習慣等の生活習慣の改善が重要な予防対策となる。
 このため、現在、実態調査の結果を踏まえた糖尿病対策について検討しているところであり、平成11年度においては、これに沿った生活習慣改善の普及啓発等の事業を実施することとしている。

(2)脳卒中対策について

 脳卒中は、我が国の主要な死因であるとともに、後遺症を残し、寝たきりの原因の4割を占めるなど、社会的影響の極めて大きい疾病であり、医療費や介護の負担の面からも深刻な問題となっている。脳卒中の発症には、喫煙、高血圧、糖尿病など、生活習慣とその結果が大きく関係しており、生活習慣の改善を促す対策が重要である。
 また、発症後については、急性期の治療が重要であるが、有効な治療の機会を逃していることが多いという指摘がある。さらに、予防、治療を担当する人材の養成や研修体制が十分でないという指摘もある。
 このため、脳卒中の現状を把握した上で、予防対策を中心に、急性期医療体制、人材養成、研究体制など、様々な観点から、総合的な脳卒中対策を検討していくこととしている。

(3)がん・循環器病対策について

 がん対策については、引き続き、平成6年度より開始された「がん克服10か年戦略」の一環事業であるがん克服戦略研究事業を着実に推進することとしている。
 また、今年度より開始された健康科学総合研究事業の中で、引き続き、糖尿病や循環器病に関する研究を継続していくこととしている。
 なお、がん及び循環器病の診療施設情報ネットワーク事業の全国展開を計画的に実施していくこととしているので、都道府県関係者の方々のご協力をお願いする。

2.栄養指導業務等の推進

(1)栄養士制度等の見直しについて

 昨年6月に取りまとめられた「21世紀の管理栄養士等あり方検討会」と「21世紀の国民栄養調査のあり方検討会」報告書では、生活習慣病の発症と進行を防ぐには極めて食生活改善が重要であり、そのための新たな栄養改善施策の展開と個々の患者等の状況に応じた的確な栄養指導業務が行える管理栄養士等の育成が求められている。
 このため、現在、両報告書を踏まえ、栄養士制度等の見直しについて検討しているところである。

(2)「第6次改定日本人の栄養所要量」について

 「日本人の栄養所要量」は、適正な栄養素等の摂取量の基準となるものであり、現在、今春を目途に第6次改定の検討を行っているところである。今回の改定では栄養素の種類の拡大を図るとともに、従来の欠乏症の予防だけではなく、過剰摂取への対応も考慮した策定を進めている。
 平成11年度においては、改定された新たな栄養所要量が栄養指導や給食管理等の場で的確に活用されるよう、その活用方法についての検討を行い、啓発普及に努めることとしている。

(3)食生活指針の見直しについて

 食生活指針は、国民の健康を保持・増進する観点から、国民一人ひとりが食生活改善に対する自覚を持ち、実践できるよう、日常の食生活において留意すべき事項を具体的なガイドラインとして示したものである。
 食生活指針は、昭和60年に策定され、平成2年には成人病予防や高齢者、女性等の対象特性別の指針が策定されている。
 平成11年度においては、今般の栄養所要量の改定及び最新の知見等も踏まえ、生活習慣病予防に重点を置いた国民向けのわかりやすいガイドラインとして見直しを図ることとしている。

(4)地域における栄養改善業務の推進について

ア 栄養士配置に対する地方交付税措置
 地域保健対策の強化に伴う栄養改善業務が円滑かつ適正に行われるよう、「地域における栄養改善業務の推進について」(平成7年6月29日健医発第832号保健医療局長通知)により都道府県及び市町村における栄養改善業務指針を示したところであるが、引き続きその周知徹底を図り、住民のニーズに応じたきめ細かな保健サービスの円滑な実施に努められたい。
 このため、平成11年度においても、権限移譲に伴う栄養士の確保に必要な地方交付税の計画的措置が講じられているので、栄養士の配置について市町村に対して特段のご指導をお願いする。

イ 外食・市販食品栄養成分表示の推進について
 外食の機会の増大を踏まえ、国民自ら食生活の管理が行えるよう、飲食店等に対して外食料理の栄養成分表示を行うよう指導しているところであるが、より一層の普及を図るために、都道府県等においても「地域保健医療等推進対策費」を活用するなど、関係団体をはじめ、集団給食施設や飲食店に対する指導をお願いする。
 また、市販食品については、栄養改善法に基づく栄養表示基準により表示された栄養成分について、消費者向けの活用の手引き及び指導者用の栄養教育指導マニュアルの作成を(社)日本栄養士会に委託しているところである。平成11年度においては、その普及啓発を図ることとしているので、これらの事業の推進にご協力をお願いする。

ウ 集団給食施設等の栄養管理指導
 栄養改善法に基づく集団給食施設の栄養管理指導については、「集団給食施設等に対する援助及び指導について」(平成8年4月30日健医発第546号厚生省保健医療局通知)をもってその指導の強化をお願いしているところであるが、特に喫食者に対し正しい食習慣を身につけ、より健康的な生活を送るために必要な知識を習得させるためにも、引き続き、保健所において栄養管理指導を行うとともに、施設に対し、管理栄養士等を配置し、積極的な健康・栄養教育を行うよう、その指導についてよろしくお願いする。



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