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5.国立病院・療養所等について


1.行政改革と国立病院・療養所の再編成

(1)近年の行政改革の動き

1)行政改革会議最終報告(抄)[平成9年12月3日]

 国立病院・療養所については、今後、計画的な整理・統廃合を進め、高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等を除き、独立行政法人化を図る。これに当たっては、国立病院・療養所の政策医療ネットワークの機能を阻害しないように留意する。

2)中央省庁等改革基本法(抄)[平成10年法律第103号]

第43条
3 政府は、国立病院及び国立療養所に関し、国の医療政策として行うこととされてきた医療について、真に国として担うべきものに特化することとし、かかる機能を担う機関以外の機関の民間若しくは地方公共団体への移譲、統合又は廃止を推進すること等により、その再編成を一層促進するとともに、国として担うべき医療を行う機関の間の緊密な連携を阻害しないよう留意しつつ、高度かつ専門的な医療センター、ハンセン病療養所等特に必要があるものを除き、独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行うものとする。

3)中央省庁等改革に係る立案方針(抄)

[平成10年9月29日中央省庁等改革推進本部決定]
第4国の行政組織等の減量、効率化等の基本的な計画関連
2.独立行政法人化等関係
【独立行政法人化の検討対象】
 下記(1)の方針に基づき、独立行政法人化等計画の策定作業を進める。その際、基本法及び最終報告の独立行政法人化についての関係規定・記述を十分に踏まえることとする。
(1)最終報告に具体的に言及された事務及び事業について、独立行政法人化の検討を積極的に進める。
1)[略]
2)独立行政法人化等の検討対象となりうる事務及び事業。
 【最終報告P95別表1】
 (試験研究)[略]
 (文教研修・医療厚生)
 [前略]、国立病院・療養所、[後略]
 (検査検定)[略]


 その他、最終報告において具体的に言及されていない事務及び事業についても、検討対象を幅広く設定の上、独立行政法人化の具体的検討を進めるものとする。

【基本法第32条、第43条】

3.組織整理関係
 下記の方針に基づき、以下の内容を含む計画の策定作業を進める。
【施設等機関等の見直し】
(4)施設等機関等については、独立行政法人の活用等による見直しを行うほか、国立大学の事務組織の簡素化、合理化及び専門化を進めるとともに、国立病院及び国立療養所、試験研究機関、矯正収容施設等について、組織及び人員の効率化及び重点化など、それぞれその性格に応じた見直しを行う。

【基本法第43条】

4)中央省庁等改革に係る大綱事務局原案(抄)

[平成10年11月20日中央省庁等改革推進本部に報告]
VI 国の行政組織等の減量、効率化等に関する大綱事務局原案
第2 独立行政法人化関連
1.行政改革会議最終報告別表第1掲載の次の事務及び事業は、独立行政法人化を図るべく検討する。
(試験研究)
   [略]
 (文教研修・医療厚生)
  [前略]、国立病院・療養所、[後略]
 (検査検定)
   [略]

第3 組織整理等関連
3.施設等機関等の見直し
 施設等機関等については、廃止・民営化等及び独立行政法人の活用等による見直しを行うほか、それぞれその性格に応じた見直しを次のとおり行う。
(2)国立病院及び国立療養所
 国の医療政策として行うこととされてきた医療について、真に国として担うべきものに特化することとし、かかる機能を担う機関以外の機関の民間若しくは地方公共団体への移譲、統合又は廃止を推進すること等により、その再編成を一層促進する。

(2)独立行政法人化された場合に担うべき医療

○ 独立行政法人の担う業務については、中央省庁等改革基本法において、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある」ものと規定されており、これまで国立病院・療養所が担ってきた政策医療は、そうした業務に当たるとされたところである。

○ 国立病院・療養所の大半が独立行政法人に移行する場合にも、国立高度専門医療センターとの連携の下、機能面における施設間の政策医療ネットワークを一層強化し、今後も着実に政策医療の遂行に努めていく必要がある。

(3)再編成の一層の推進の必要性

○ 独立行政法人の担う業務の性格に照らし、政策医療以外の一般的な地域医療については他の公私立医療機関に委ねていく必要があり、行政改革最終報告においては、「今後、計画的な整理・統廃合を進め」ることとされるとともに、中央省庁等改革基本法においても、政策医療を担えない国立病院・療養所については、「民間若しくは地方公共団体への移譲、統合又は廃止を推進すること等により、再編成を一層促進する」こととされている。

○ 独立行政法人の任務である政策医療を効率的に実施していくためには、再編成により経営資源の集約・集中を進めていくことが前提であり、再編成が進まない施設が独立行政法人の中で存続することはあり得ない。今後とも、再編成の必要性は高まりこそすれ、決して後退するものではない。


2.再編成の一層の推進

(1)再編成の基本的考え方

 国立病院・療養所については、地域の一般的な医療は公私立医療機関に委ね、国立医療機関として担うべき医療等に特化していく。そのため、統廃合・経営移譲といった再編成を通じて、経営資源を集約・集中し、その機能強化を図るものである。
国立病院・療養所の担うべき役割
1)国家の危機管理や国際貢献における役割(国際感染症、広域災害などへの対応)
2)戦略的医療における役割(がん、循環器病などへの対応)
3)歴史的・社会的経緯等により地方・民間での対応が困難な領域での役割(エイズハンセン病、結核などへの対応)
4)国家的見地から重要な医療政策を実践する役割(新たな診療報酬支払い方式の試験的な実施など)

(2)これまでの実施体制

方針 「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」(昭和60年3月)
計画 「国立病院・療養所の再編成全体計画」(昭和61年1月)
→概ね10年間を目途として推進
当初239施設 165施設への再編成を計画
(統合・移譲で74施設の減
法律 「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」(昭和62年10月)
→国立病院・療養所の資産の減額譲渡制度などの特例措置を創設

(3)再編成促進措置の充実

 再編成の推進については、地元自治体等の理解を得るのに時間を要するとともに、適当な引受先が現れなかったことなどから、その進捗ははかばかしくなかった。一方で、再編成計画策定後10年余が経ち、地域医療計画の策定など国立病院・療養所を取り巻く環境も大きく変化した。
 これらを踏まえ、平成8年には以下の措置を講じ、再編成の一層の推進を図ることとした。

法律改正 →資産の譲渡先の拡大など、特例措置を拡充(平成8年5月)

指針改定 →政策医療の内容について改めて整理し直すとともに、再編成に一層積極的に取り組むこととした(平成8年11月)

(4)再編成の進捗状況

 最近の状況としては、再編成計画公表以来の10年余の取組みの積重ねがようやく功を奏しつつあり、また、一昨年、法律の改正や基本指針の見直しも行われたことから、再編成が加速化しつつある。平成10年度末までに26施設減少する予定。

・平成9年度までに終了したもの……………………20ケース33施設で21施設の減
・平成10年度に統合、移譲予定のもの………………6ケース7施設で5施設の減
・統合予定で建物整備中のもの………………………6ケース12施設で6施設の減

(5)再編成の一層の推進

○行政改革プログラム−平成8年12月閣議決定−

・現行の再編成計画対象施設については、平成12年度末までに施設の廃止を含め対処方策を決定し、一層強力に再編成を実施していく。

・現在、再編成の対象となっていない施設についても、国として果たすべき役割を適切に遂行できないものは、新たに再編成の対象施設として追加することを検討する。

○ その後、中央省庁等改革についての論議が進められていく中で、行政改革会議最終報告(平成9年12月)、中央省庁等改革基本法(平成10年6月)、中央省庁等改革に係る立案方針(平成10年9月)、中央省庁等改革に係る大綱事務局原案(平成10年11月)において、前述のとおり、国立病院・療養所の再編成の一層の促進と独立行政法人化の検討について指摘されているところである。

(6)再編成計画の見直し

 上記の動きを受け、政策医療の範囲の純化を図り、施設毎の医療機能を明らかにし、ナショナルセンター等を頂点とする全国的な政策医療ネットワークを構築するとともに、政策医療機能を担い得ない施設を再編成対象施設として追加するなど再編成の一層の推進を図るべく、現在、再編成計画の見直しを行っているところである。



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