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14 生活保護及び保護施設の指導監査について(監査指導課)

(1)生活保護指導監査関係

 最近の保護動向を見ると、全体的な動向としては増加傾向で推移し、被保護人員は平成10年3月現在で約92万人、保護率も平成10年1月以降、7.30/00に上昇しており、全体の7割を越える福祉事務所において被保護世帯が前年度と比較して増加している。
 また、福祉事務所の保護の決定実施の状況をみると、厚生省指導監査においてもおよそ3割の福祉事務所で訪問調査活動及び病状把握等保護決定実施上の基本的事項に問題ありとしており、また、不正受給についても福祉事務所の取り組みにもかかわらず、依然として毎年度相当数発見されているところである。
 一方、福祉事務所の実施体制については、現業員の4分の1が毎年の人事異動の対象となっているほか、査察指導員についても現業経験を有しない者が全体の3割を占め、また、被保護世帯数が増加傾向にある一部の福祉事務所おいて、現業員が法定数に比して不足する状況にあるなど、実施体制の強化が課題となっている。

 ついては、本庁の指導監査の実施にあたっては、別途示す監査方針を踏まえるとともに、特に以下の点に留意されたい。

 
 福祉事務所ごとの保護動向、課題等の明確化上記のような状況の中で、保護の適正実施を確保するためには、従前にも増して個々の福祉事務所における保護動向やその背景に留意しつつ、各福祉事務所における保護決定実施上の課題を適切に把握し、明確にしたうえで指導すること。
 
 福祉事務所の課題に応じた実効ある指導監査の実施本庁が実施する指導監査は、監察的見地から事務の執行等の適否を調査する等の消極的な機能に止まらず、更に行政が効率的に運営されるよう援助指導する積極的な機能を果たすべきものである。
 ついては、毎年度の監査結果の是正・改善の指示に当たっては、その問題が生じた背景及び要因について十分な分析・検討を行い、これに基づいた具体的な改善方策を提示することにより、その実効を期するとともに、改善措置の進捗状況についても確認監査や巡回指導等により継続的な指導を行うこと。
 また、福祉事務所の所長等幹部職員に対しては、制度運営の理解・認識及び人事上の配慮を求めること。
 なお、監査の事前検討、監査結果の復命、今後の指導方針の策定等の一連の過程において、これらが組織的に行われるよう、本庁の指導監査体制を確立するとともに、特に多くの課題を抱えた福祉事務所の指導監査に当たっては、本庁幹部職員が自らその指揮に当たるなど必要な対応を行うこと。
 
 福祉事務所の体制整備保護の適正な運営を確保するためには、査察指導員、現業員等の充足が不可欠であるので、保護動向等を踏まえた必要な体制の確保に努めるよう指導すること。
 また、福祉事務所の所長等幹部職員に対しては、研修等により個々の職員の資質の向上を図ることはもとより、職員の士気高揚への配慮に努めるとともに、所全体の生活保護の運営状況を必要に応じて自ら点検する等により把握し、職員全体が一体となって問題解決に取り組む等組織的な対応が図れる体制の整備について指導すること。

(2)保護施設等指導監査関係

 保護施設が健全で安定した運営のもとに、その設置目的に沿った適切な入所者処遇を確保するためには、法人・施設に対する都道府県、指定都市及び中核市の指導監査の果たす役割は極めて重要である。
 ついては、平成11年度の保護施設の指導監査に当たっては、次の事項に留意されたい。
 
 指導監査体制の充実
指導監査に当たっては、他の社会福祉施設監査との整合性を保ちつつ指導監査体制を整備し、適正な法人・施設運営が確保されるよう計画的な指導監査を実施すること。
 
 入所者処遇に重点をおいた指導監査の実施
施設運営の基本は、入所者に対する適切な処遇を確保することにあるので、各種の社会的不利を有する入所者個々の人権を尊重した運営がなされているかに重点をおいた指導監査を実施するとともに、入所者の自立、自活等への援助にむけた取組みを一層図られるよう指導すること。
 
 必要な職員の確保と職員処遇の充実
職員の処遇については、適切な給与水準の確保や労働時間の短縮等労働条件の改善を図るとともに、研修等職員の資質向上及び福利厚生等の士気高揚策の充実に努め、有用な人材の確保及びその定着化を指導すること。
 
 社会福祉法人及び施設の適正な運営管理体制の確立
法人運営の中核となる理事会運営の適正化及び監事機能の充実を図るとともに施設における経理事務に関する内部牽制体制の確立等について指導すること。

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