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11 社会福祉施設の整備等について (施設人材課)

(1)平成11年度社会福祉施設整備費予算(案)の状況

 社会福祉施設等施設整備費
(ア)施設整備費については、平成10年度第3次補正予算において1,118億円、さらに平成11年度予算(案)として1,614億円、併せて2,732億円を予算計上し、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)」、「緊急保育対策等5か年事業」、「障害者プラン」等の着実な推進を図ることとしている。
 
【具体的な社会福祉施設等施設整備費の内容】
1) 新ゴールドプラン関連施設整備分として1,277億7,200万円を計上し、地方老人保健福祉計画を踏まえた計画的な整備を進めるとともに、介護保険制度の施行による平成12年度以降の介護サービスの供給体制の整備を推進する。
 
2) 障害者プラン関連施設整備分として、従来からの整備量に加えて74億6,700万円を計上し、平成8年度を初年度とする7か年計画の4年次分として障害者施設の整備を推進する。
 
3) 緊急保育対策整備分として、従来からの整備量に加えて94億9,600万円を計上し、昭和40年代から50年代にかけて多数整備された保育所について改築整備を行うとともに、保育所の多機能化を図るための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。
 
4) 老朽社会福祉施設緊急改築整備分として、従来からの整備量に加えて38億9,400万円を計上し、災害に強く、快適な居住空間を備えた施設への改築整備を引き続き推進する。
 
5) 一般整備分として89億1,500万円を計上し、上記以外のその他の施設整備についても所要の整備量を確保する。
 
6) 隣保館等施設整備分として29億6,700万円を計上し、隣保館及び生活館の整備を進める。
 
7) 障害者等生活環境基盤整備事業分として8億8,400万円を計上し、既存の公共施設にスロープや障害者用トイレ、自動ドア等の整備を行うなど障害者や高齢者にやさしいまちづくりを引き続き推進する。
 
(イ)平成11年度における改定事項は次のとおり。
1) 補助基準単価の見直し
補助基準単価については、公共工事の費用縮減及び三省合同調査後の状況を総合的に勘案し、改定する。
 
2) デイサービスセンターの補助形態の多様化
デイサービス事業の利用定員の弾力化を図った場合に、増加した人員に見合う面積を確保できるようにするため、デイサービスセンターの増築が行えるようにする。
・加算面積 21人〜25人まで 45平方メートル加算
  26人〜30人まで 90平方メートル加算
 
3) 重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設の最低定員の引き下げ
重度障害者のニーズに的確に応え、身近な地域において効果的な施設機能が発揮できるように、重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設の最低定員を30名に引き下げるものである。
 
・ 重度身体障害者更生援護施設の最低定員 50人以上 → 30人以上
・ 重度身体障害者授産施設の最低定員 50人以上 → 30人以上
 
4) 障害者等小規模複合施設の整備の促進
 小規模身体障害者療護施設(定員10人及び定員20人)については、従来より、特別養護老人ホーム(定員50人)との併設を認めてきたところであるが、障害者のニーズに柔軟かつ総合的に対応するため、定員10名の小規模身体障害者療護施設について、離島、過疎地域等や人口集中の著しい都市部において設置される小規模特別養護老人ホーム(定員30名)との併設を認めることとする。 なお、併設を認める小規模特別老人ホームについては、併せて老人デイサービスセンター(A型又はB型)及び老人ショートステイ用居室の整備がなされること及び整備された小規模身体障害者療護施設の運営に当たっては、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について(昭和62年9月18日社施第107号厚生省社会局長・児童家庭局長通知)」に基づく夜間勤務体制の確保がなされることを要件とする。
 
5) 民間の特別養護老人ホーム等の大部屋の解消
概ね昭和48年度以前の国庫補助基準面積により社会福祉法人が設置した特別養護老人ホーム等のうち、5人部屋(養護老人ホームについては3人部屋)以上の大部屋について、生活環境の改善を図るため、優遇措置を講じ、改築の促進を図るものである。
・ 優遇措置 老朽民間社会福祉施設整備と同様の措置(社会福祉・医療事業団からの無利子融資、元本の償還一部免除)
 
6) 痴呆性老人グループホームの整備
 平成10年度第3次補正予算において、特別養護老人ホーム等と併設又は隣接して整備する場合の補助が認められたが、新たに養護老人ホーム等と併設又は隣接して整備する場合も補助対象とするものである。
 
 社会福祉施設等設備整備費
 設備整備費については、対前年度比1.0%増の136億円を計上し、施設整備量に対応した必要な額を確保した。

(2)平成11年度の整備方針等

 基本的整備方針
 平成11年度においては,次の事項を基本として整備を図ることとしているが限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。
 各都道府県市におかれては、来年度に予定している整備計画の十分な精査を行い、真に必要と認められる整備について厳選した対応に努められたい。
 
(ア)「新ゴールドプラン」関係については、地方老人保健福祉計画に示された必要整備量を踏まえた計画的な整備を引き続き進めるとともに、介護保険制度の施行による平成12年度以降の介護サービスの供給体制の整備を着実に推進する。
 
(イ)「障害者プラン」関係については、平成14年度末の整備目標に向けて計画的に障害者施設の整備を推進する。
 
(ウ)「緊急保育対策等5か年事業」関係については、老朽化している保育所の改築整備を促進するとともに、地域のニーズに応じた保育所の多機能化を図るための整備や都市部における保育所の分園等の整備を推進する。
 
(エ)施設入所者の安全性を確保する観点から、老朽施設の改築、大規模修繕等の整備を推進する。なお、この場合、建築後の経過年数及び老朽度を重視するとともに防災対策に十分配慮する。
 
(オ)地域におけるデイサービスセンター等の施設の確保に際して、既存の社会資源を活用することが重要であることから、公立学校の余裕教室等のデイサービスセンター等への転用を推進する。
 
(カ)(ア)〜(オ)のほか、原則として、次の内容のものを優先的に整備する。
 
1) 施設利用者に対するサービス提供にとどまらず、広く地域に開かれた在宅福祉の推進拠点としての機能を果たすもの。
 
2) 施設入所者等の居住環境、保健衛生等、処遇の一層の向上を図るため、大部屋解消等の整備を図るもの。
 
3) 土地の有効活用等を図るもの。
 特に、都市部における用地取得の困難性から施設の高層化、複合化を図るなど高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に整備を図るものや、文教施設等の利用も含め各種施設の合築、併設を行うもの。
 
4) 過疎、山村、離島等において、適切な入所者処遇と効率的な施設運営が確保できるもの。
 
5) 地すべり防止危険か所等危険区域に所在する施設の移転改築整備を行うもの。
 
 平成11年度施設整備費の国庫補助協議について
 社会福祉施設整備費の国庫補助協議については、既に通知しているところであるが、「社会福祉法人の認可について(昭和39年1月10日社発第15号)」、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について(平成9年3月28日社援企第68号)」等を踏まえ、協議対象施設の選定及び法人審査について万全を期されたい。
 
 その他の留意事項
(ア)補助金の富裕団体の調整について
 富裕団体向けの補助金等の調整については、平成11年度においても、引き続き補助金等の整理合理化の一環として富裕団体に対して調整措置を講ずることとしているので了知願いたい。
 
(イ)国庫補助事業の廃止について
 公益質屋に対する国庫補助については、補助金の整理合理化の一環として平成11年度に廃止することとした。また、介護福祉士等養成施設については平成12年度に廃止する予定としているので了知願いたい。

(3)緊急経済対策(平成10年度第3次補正予算)について

 平成10年度第3次補正予算において、社会福祉施設整備費予算として1,118億円を計上しているところであるが、積極的な協議を行われるようお願いする。
 なお、平成10年度第3次補正予算において定額補助とすることとした、余裕教室を活用した改築や地域交流スペースの整備については、平成11年度においても同様の取り扱いとすることとしたので了知願いたい。

(4)社会福祉施設整備業務の再点検について

 厚生省においては、平成9年3月31日に取りまとめた「施設整備事業等の再点検のための調査委員会報告書」で明らかにしたとおり、各都道府県市が行う契約手続きに準拠、一括下請負の禁止などを補助金の交付の条件とすること等建設工事の適正化、補助金交付対象施設の明確化等の措置を講じ周知徹底を図っているところである。
 各都道府県市におかれては、施設整備業務のさらなる再点検、都道府県部課長会議等での指導の徹底や未然防止策の検討など再発防止対策の充実に努めていただきたい。

(5)社会福祉施設の運営について

 昨年6月及び12月に中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会より「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ及び追加意見)」(以下「中間まとめ等」という。)がまとめられ、社会福祉事業法全般にわたり改革の必要性が提言された。社会福祉施設についても措置制度から利用制度への転換が求められ、現在、精力的に検討されているところである。
 ついては、制度改革の趣旨を御理解のうえ、正確な情報のもと管下市町村及び社会福祉施設に対し十分な理解が得られるよう指導願いたい。
 また、平成12年度には介護保険法の施行を迎えるなど、社会福祉施設を取り巻く環境は大きく変化することから、これらの制度改正に円滑に対応するため平成11年度における社会福祉施設の運営については、次の点を留意のうえ指導願いたい。
 
 施設の役割と適正な運営管理の推進
(ア)社会福祉施設は、「新・高齢者保健福祉推進十か年戦略」等福祉3プランの着実な推進により高齢者及び障害者施設を中心に施設数が増加しており、その運営に要する経費は、平成11年度で利用者の自己負担を含め総額3兆3,873億円となっている。その事業規模や介護保険法の施行、少子高齢社会への対応、福祉3プランの推進等により社会福祉施設に対する国民の期待と関心は益々大きく、適正かつ効率的な施設運営に努めることはもちろんのこと、高齢者、障害者等の多様なニーズに応えるため、さらなるサービスの向上に努める必要がある。
 また、社会福祉施設は、地域の福祉資源として福祉活動等の拠点としての機能が求められており、施設のもっている設備や専門的機能、介護等の情報を地域社会に提供していくことが重要となっている。
 さらに、福祉人材の確保を図る観点から、各社会福祉施設において介護福祉士養成施設等からの実習生の受入、寮母等職員の介護福祉士資格取得に対する支援や平成10年度から義務化された教員免許取得志望者に対する介護等体験の受入等、積極的な取組みについて管下社会福祉施設に対し指導願いたい。
 なお、社会福祉基礎構造改革により、サービスの質の確保や社会福祉施設職員の資質の向上及び人材確保が一層必要になることから、これについても留意した指導を願いたい。
 
○ 社会福祉基礎構造改革の社会福祉施設に関する検討状況中間まとめ等の提言を踏まえ、法人単位での経営を可能にする条件整備や事業者による質の高いサービスの提供を促進するため、昨年「社会福祉施設の経営に関する検討会」及び「福祉サービスの質に関する検討会」を発足し、現在、検討を進めているところである。
 
(イ)社会福祉施設の運営費の運用及び指導については、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正流用などの不祥事により社会福祉施設に対する国民の信頼を著しく損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営費の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導されたい。
 
 福祉従事者の新たな俸給表について
 福祉従事者の職務の専門性を評価した俸給表の創設については、従来より人事院に対して毎年要望してきたところであるが、昨年8月の人事院の報告により、「福祉関係者の新たな俸給表を設けることの必要性とそのための所要の環境整備が速やかに図られるよう関係者に要請する」とされたところである。
 ついては、できるだけ早くこの福祉職俸給表が創設されるよう努力して参りたいと考えているので、御理解のうえ協力願いたい。
 
 社会福祉施設の感染症予防対策について
 社会福祉施設の感染症予防対策については、従来より特段の指導をお願いしているところである。
 しかしながら、昨年3月に当省生活衛生局の通知により、乳幼児、高齢者等の食中毒の危険性が比較的高い集団が多く入所している社会福祉施設等の一斉点検が実施されたが、その結果、いまだ点検項目の不適合施設が見受けられる状況であった。
 ついては、昨年11月6日付社援施第44号をもって通知したところであるが、衛生主管部(局)との連携を図り、管下社会福祉施設に対し、各種指導通知を踏まえ、早急に改善を行うよう指導願いたい。
 
 社会福祉施設におけるコンピュータ西暦2000年問題への対応
 昨年9月に政府の高度情報通信社会推進本部がコンピュータ西暦2000年問題(以下「2000年問題」という。)に関する行動計画を策定し、2000年問題への対応の周知など官民を挙げた具体的な行動の徹底を図ることとされている。
 社会福祉施設においても2000年問題が発生することによって、施設運営に支障を来す可能性も考えられることから、周知を図る必要がある。
 そのため、現在、社会福祉施設における2000年問題の対応状況を把握するための実態調査を行っており、その結果を踏まえ社会福祉施設に対して通知を発出する予定としているので、管下社会福祉施設に対し適切な指導を願いたい。
 
 施設運営費の平成11年度予算(案)における改善内容
 平成11年度予算(案)においては、入所者の一般生活費等について生活保護基準に準じた所要の改善を図るとともに、職員処遇の充実を図るため国家公務員に準じた給与改善等を行うこととしている。
 また、昨年9月に労働基準法の一部改正が行われ、年次有給休暇の付与日数の引き上げが本年4月に施行されることに伴い、社会福祉施設職員の年次有給休暇の取得促進を図るため、代替職員を雇い上げる経費(年休代替要員費)を改善し、労働基準法の順法体制を確保したところである。
 ついては、管下社会福祉施設職員の待遇改善並びに入所者処遇の一層の充実について、引き続き指導されたい。
 
○ 年休代替要員費の改善
・常勤職員  16日 → 17日
・非常勤職員 13日 → 14日
 
 福祉施設経営指導事業について
 本事業は、社会福祉施設の適正かつ安定的な経営と入所者処遇の向上等をめざし、専門家による指導、援助を行うため、平成9年度に全県実施とした事業である。
今後の社会福祉基礎構造改革など福祉をめぐる施策の変化に社会福祉施設が的確に対応するためには、この事業を活性化させることはもとより、さらに効果的な事業運営が必要と考えているところである。
 特に、社会福祉基礎構造改革においては、経営の効率性、サービスの質の確保及び社会福祉施設職員の人材確保が不可欠とされており、今後はこれらに的確に対応できる事業としての役割がさらに重要になるものと考えている。
 ついては、事業の重要性を認識するとともに、事業の取組状況等を再点検し、積極的かつ効果的な事業の推進が図られるよう指導願いたい。

(6)社会福祉施設の防災対策について

 社会福祉施設の防災対策について
 昨年、福島県の救護施設において5人の方々が不幸にして亡くなられるなどの災害が発生したが、建設省及び林野庁と連携して地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等(以下「指定区域等」という。)に所在している社会福祉施設等の実態調査を行い、調査結果を元に、社会福祉施設の防災対策について両省庁と調整をしているところである。
 各都道府県市におかれても、関係部局との連携を強化し、特に指定区域等に所在する社会福祉施設の防災対策に留意されたい。
 
 防災対策の取り組み
 社会福祉施設の防災対策については、入所者の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管下社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう管下社会福祉施設に対する指導の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所者の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。また、措置費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。
 
 被災施設の早期復旧
社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに施設人材課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期整備を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

12 社会福祉・医療事業団の事業について(施設人材課)

(1)貸付規模について

 平成11年度予算(案)においては、福祉・医療両貸付事業について、少子・高齢社会等に対応し、新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)、障害者プラン、緊急保育対策等5か年事業、地域医療計画等を着実に推進するとともに、介護保険法の施行を円滑に推進していくために必要な社会福祉施設、医療関係施設の整備のための事業枠、資金枠を確保することとしている。
 
○ 貸付契約額 3,831億円(うち福祉貸付 1,419億円)
○ 資金交付額 3,925億円(うち福祉貸付 1,434億円)
  資金運用部借入金  3,645億円
  自己資金        280億円

(2)福祉貸付事業における条件の改定について

 在宅サービス事業の貸付対象事業の追加
 介護保険の施行に向け、民間事業者による在宅介護サービス基盤の整備を推進するため、現在の在宅サービス事業の融資対象事業に、日帰り介護事業(デイサービス)、短期入所生活介護事業(ショートステイ)、福祉用具販売事業を追加することとしている。
 
 融資率の引き下げ
有料老人ホーム(WAC事業を除く)、在宅シルバーサービス事業に係る融資率を引き下げる。
 
○ 融資率 80% → 70%

(3)融資基準単価の改定について

 社会福祉事業施設に対する事業団融資基準単価については、平成11年度の国庫補助基準単価と同額とする改定を行うこととしているので遺漏のないよう取り扱われたい。

(4)事業団融資と国庫補助協議との並行審査について

 創設法人が事業団の融資を希望する場合には、事業団の融資審査を、国庫補助協議のヒアリング及び法人設立認可の審査と並行して行い、相互の連携を図ることとしているところであるが、平成10年度において、事業団への借入申込が遅滞したことにより、結果的に国庫補助内示を保留した例が見受けられたところである。
 各都道府県市においては、事業団への借入申込を速やかに行うよう、管下社会福祉法人等への指導の徹底をお願いしたい。

(5)弁済補償金(損害金)等の導入について

 財政投融資制度の見直しの一環として、「10年経過後の金利見直し制度及び弁済補償金制度の導入について」(平成10年8月31日付社会福祉・医療事業団企画指導、福祉貸付、医療貸付、管理部長連名通知)により、平成10年10月1日以降の借入申込に係る新規契約分から、従来の固定金利制度と10年経過後の金利設定見直し制度の何れかを選択できるようになり、また、弁済補償金による繰上償還制度も導入されたところであり、各都道府県市においては、管下社会福祉法人へ周知されたい。

(6)意見書の提出について

 平成9年度決算検査報告において、法人が事業団融資を受けて施設整備を行う際に事業団に対して行う事業完了報告時に、市町村補助金等の過少申告等を行った結果、事業団融資が過大な貸付けとなるなどの指摘を受けたところである。事業団においては、融資審査のさらなる厳正化を図ることとしているところであるが、各都道府県市においては、意見書の提出にあたって、市町村補助金等の使用目的等を把握するとともに、その使用目的等を具体的に記載したうえで提出されたい。

(7)福祉・保健情報サービス事業について

 福祉・保健情報サービス事業については、各都道府県を地方センターとして、管下市町村等の利用機関に対して各種情報を提供しているところであるが、平成12年度から施行される介護保険制度の実施等に際し、国民一般への情報提供や関係機関間の情報の共有化等の重要性が増していることから、平成10年9月より「保健福祉医療情報ネットワークシステムのあり方等に関する検討会」を設置し、本事業の今後のあり方について検討を行ってきたところである。
 この検討会での議論等を踏まえ、平成10年度においては、第1次及び第3次補正予算において、介護保険制度に係るシステムの開発、インターネットによる国民一般への福祉・保健情報の提供、セキュリティの高い専用回線を使用しての各地方センターを核とした全国規模でのネットワーク化を行うことにより、各地域における福祉・保健に係る情報化の基盤の整備を行うこととしたところである。
 具体的には、第1次補正予算において、地方センターが管下の利用機関端末機を管理するための機器を事業団より無償貸与するほか、第3次補正予算において、平成12年度から施行される介護保険制度に関するシステムとして、介護保険のサービス利用者がサービスを選択する際に必要な情報の一つであるサービス提供事業者・施設のサービス内容等の情報を提供するためのシステム開発やサービス提供事業者による地域的偏在のない事業参入を促進できるような市区町村ごとの要介護度別認定者数情報を提供するシステムの開発等を行うこととしている。
 また、併せて通信回線を現行の公衆回線から専用回線に切り替え、効率的な情報提供を行うこととしている。
 各都道府県においては、より一層地方センターとしての機能の維持、拡充に努めるとともに、管下市町村、サービス提供事業者等が利用しやすい環境づくりに努め、本システムの有効な活用を図られたい。

(8)社会福祉施設職員等退職手当共済事業について

 平成11年度における給付予定額
○ 給付予定人員 40,389人
○ 給付総額 505億3千万円
 
 社会福祉施設職員等退職手当共済法第19条に基づく社会福祉・医療事業団に対する都道府県補助金の早期交付については引き続きご協力をお願いしたい。
 特に、平成10年度分に係る補助金未交付の都道府県におかれては、速やかな交付についてご配意願いたい。
 なお、本制度については、昭和36年に発足後、原則として措置費体系に属する施設を対象として事業が行われてきたが、社会状況の変化等により検討すべき新たな課題が生じてきていることから、平成10年6月及び12月の中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会の「中間まとめ等」の提言を踏まえ、対象施設や事業の範囲の見直し、財政の中長期的な安定が維持される仕組みの導入等の検討を行っているところである。

(9)長寿・子育て・障害者基金について

 社会福祉・医療事業団における基金事業としては、従来より「長寿社会福祉基金」として、政府出資金の運用益により、高齢者や障害者の在宅福祉の充実と、生きがい・健康づくり事業の推進を図るため、民間の創意工夫を生かしつつ、地域の実態に即したきめ細かな在宅福祉事業等を実施するとともに、ボランティア団体等多様な主体が参加した在宅福祉の充実を図る等従来の施策の枠を越えたよりきめ細かな在宅福祉事業等を実施しているところである。
 更に、平成10年度第一次補正予算において、1,200億円(子育て支援基金900億円、障害者スポーツ支援基金300億円)の追加出資が行われ、新たに地域社会の中で幅広く児童の成長を支援するとともに、障害者スポーツの振興を通じて障害者の社会参加等を推進することとし、名称も「長寿・子育て・障害者基金」と改称したところである。
 各都道府県市における本事業への御協力に感謝申し上げるとともに、引き続き管下団体等に対する周知、社会福祉協議会に対する指導を願いたい。

 

13 福祉人材確保対策の推進について(施設人材課)

 社会福祉を取り巻く環境は、急速な少子・高齢化などを背景として大きく変化してきており、国民の福祉に対する需要も増大・多様化してきている。
 こうした需要に適切に対処していくため、いわゆる3プランの推進、介護保険制度の創設、さらには社会福祉の基礎構造改革等社会福祉施策全体の充実や見直しが進められている。このような大きな流れの中で、福祉サービスの質を確保・向上させることは不可欠あり、それを支える質の高い人材の養成・確保が益々重要な課題となっている。
厚生省としては、これらの動きを踏まえ各課題に対応していくこととしているが、各都道府県市におかれても、社会福祉事業従事者の確保、資質の向上等に関する対策を一層推進するための対応に十分御配慮願いたい。

(1)都道府県福祉人材センターの運営について
 福祉人材センターの運営については、無料職業紹介事業の実施にとどまらず、社会福祉事業従事者の資質の向上、社会福祉事業経営者の期待に応えられる人材確保相談、福祉の仕事に関する啓発普及活動等についても一層の取組みを願いたい。
 なお、無料職業紹介事業については、介護保険制度の実施に伴う多様な求人需要が予想されるので、適切な対応ができるよう配意するとともに、4月より男女雇用機会均等法が改正され、募集・採用、配置・昇進について女性に対する差別の禁止や女性優遇の原則的な禁止等、規定の強化がされるので留意願いたい。
 
 都道府県福祉人材センターに対する運営費補助のうち、人件費相当額については平成10年度から一般財源化したところであるが、同センターの果たす役割の重要性に鑑み、その運営に支障を生じることのないよう所要の財源措置に配慮願いたい。
 さらに、この運営費補助については、介護保険制度が施行される平成12年度を目途に、国と地方の経費負担のあり方を見直すこととしている。
 
 中央福祉人材センターが、各都道府県福祉人材センターへの一層の支援に努めていくこととしているので、今後とも十分な連携を保たれたい。
 なお、同センターにおいては、各都道府県福祉人材センターへの支援の一環として各都道府県の求人情報等を掲載したホームページを開設したところであるので、その周知、活用等を願いたい。

(2)福利厚生センターの運営について

 福利厚生センターにおいて、社会福祉事業従事者の福利厚生に関する各種の事業を実施しているところであるが、平成11年度においても、会員の利便性の向上や新たな事業についての検討を行い、一層の充実を図ることとしている。
 会員数は、各都道府県のひとかたならぬ御支援により、平成10年12月現在、約13万人となっているが、都道府県別にみた加入率には依然として大きな格差がある。福利厚生センターへの加入も職員処遇の一環として極めて重要と考えているので、引き続き特段の御支援を願いたい。

(3)社会福祉士、介護福祉士の養成強化について

 介護福祉士養成施設の指定
 介護福祉士養成施設については、平成11年4月開設等予定も含めると約330校370課程を指定することとなり、平成12年4月に開設等を予定したいとするものも相当数あり相談を受けている。さらに、施設の設置場所についても地域的な偏りが見られる状況となってきている。
 今後、養成施設の新設や定員増を予定する施設を管下に有する都道府県においては、介護保険制度の円滑な実施に必要な人材見込み等中長期的な需要や、就学人口の状況、実習施設の確保、学校運営面等総合的な観点から検討の上、これら施設に対する適切な指導を願いたい。
 また、社会福祉法人及び地方公共団体の設置する介護福祉士等養成施設に係る施設整備及び設備整備に対する補助については、その整備状況などからみて一定の役割を終えたとの観点から、平成12年度から廃止することとしているので、関係団体等に周知願いたい。
 
 社会福祉士会、介護福祉士会に対する支援
 社会福祉士、介護福祉士の職能団体である(社)日本社会福祉士会、日本介護福祉士会(任意団体)によって、全国、ブロック或いは都道府県毎に研修会等の諸事業が活発に実施されているが、これらの活動は、福祉専門職の資質を向上させる観点から有意義なものと考えられるので、両会の活動が円滑に行われるよう特段の支援を願いたい。
 なお、日本介護福祉士会が、現在、社団法人化を目指して取り組んでいるところであるが、未設置都道府県における支部の設置や会員の加入促進に関する特段の御支援を願いたい。
 
 福祉専門職の教育課程等の検討について
 現在、資格制度発足後10年経過していることや介護保険制度導入、社会福祉の基礎構造改革等に対応した、質の高い専門職を養成するために「福祉専門職の教育課程等に関する検討会」を設置し、社会福祉士・介護福祉士の教育課程等についても見直しの検討を行っている。
 今後は、平成10年度中に報告書をとりまとめる予定であり、詳細については、別途連絡することとしている。
 
 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験の実施について
 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験実施に当たっては、試験地の都道府県市に多大なる御協力をいただいている。
 特に、最近は受験者数の急激な増加も見られその試験実施について、御配慮を願う状況となっているが、この2つの資格は、社会福祉分野での中核的な役割を期待されており、厚生省としてもその資格取得を促進することは、重要な施策であると考えているので、今後とも、引き続き両国家試験の実施について格段の御協力を願いたい。
 
○ 第11回社会福祉士及び介護福祉士国家試験の実施状況
1)社会福祉士 2)介護福祉士
・試験日 11年1月24日(日) ・試験日 筆記 11月1月24日(日)
  実技 11年3月7日(日)
・試験地 12都道府県14会場 ・試験地 筆記 12都道府県22会場
実技 12都道府県19会場
・受験者数 17,999人 ・受験者数 44,509人
*合格発表は、両方とも11年3月31日(水)

(4)社会福祉事業従事者の資質の向上について

 これからは、社会福祉事業におけるあらゆる職種の従事者が、生涯にわたって続けられる仕事として、自らの知識技術を高めていくことができるような体系的な研修の確立が必要とされる。
 このため、平成10年度当初に、平成8年度に策定した福祉職員階層別研修指針と標準研修プログラムに沿った教材及び指導教本を作成し、全国社会福祉協議会中央福祉学院を通じて配付したところである。
 また、この研修体系に沿った研修実施のため、同学院が講師養成のための福祉職員階層別研修課程指導者養成研修を実施するとともに、各都道府県市で実施する階層別研修に講師を派遣し、研修の実施促進及び実施体制の整備を図っているところであるので、積極的な取組みを願いたい。
 
 また、日本社会事業大学においては、平成11年度から、今後の社会福祉事業従事者の基礎的な資格に関する検討に資するため、社会福祉主事通信課程(定員800名、1年課程、民間の社会福祉従事者を対象)をモデル的に実施するとともに、大学3年次に編入学定員40名を確保し、様々な分野からの社会福祉分野への質の高い人材の確保を図ることとしている。

(5)教員免許状取得希望者の介護等体験の実施等について

 平成10年4月から、「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」に基づく教員免許状取得希望者の介護等体験が、文部省により実施されている。厚生省としてもこれに協力をしており、各都道府県市にも円滑な実施について御協力をお願いしているところであるが、今後とも特段の御配慮を願いたい。
 また、文部省では、学生・生徒が企業等において、実習・研修的な就業体験を行うインターンシップの推進を図っているところである。今般、厚生省に対し福祉の分野における受入れに関して協力依頼があったところであり、各都道府県市においても、この点について特段の配慮をお願いしたい。


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