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11.老人保健事業の推進について


(1)保健事業第3次計画の推進

 保健事業については、保健事業第3次計画に基づき各般の施策を推進しているところであるが、同計画の7年次目に当たる平成10年度においても、同計画に沿って、特に次の事項を中心に保健事業の推進が図られるよう管下市町村に対し指導方をお願いするとともに、これに必要な都道府県、市町村における財政措置についても、特段の御配意をお願いする。
 なお、保健事業の一部(がん検診関連経費等)について、平成10年度から地方交付税措置(一般財源化)したところであるので御了知願いたい。

ア 健康診査の充実
(ア)健康診査については、第3次計画に基づき受診率の向上を図っているところであるが、平成10年度においては、平成9年度と比較して、基本健康診査について2.0%上乗せした48.0%の目標受診率を設定することとしているので、市町村に対しては、地域の実情に即した実施体制の整備、効果的な広報活動、受診者の利便の確保等により、受診率の向上が図られるよう、特段の指導をお願いする。
 また、健康診査において「要指導」と判定された者等に対するフォローアップは、疾病の発生自体を予防するという観点から特に重要であるが、必ずしも十分に行われているとは言い難い状況にある。このため、健康教育、健康相談等の他の保健事業の活用等を含め、効果的な事後指導の実施について、特段の指導をお願いする。なお、生活習慣改善指導事業は、約半数の市町村が未実施の状況であるので、積極的な実施が図られるよう管下市町村に対し指導をお願いする。
 なお、がん検診については、財政構造改革及び地方分権推進委員会の勧告の趣旨等をも踏まえ、平成10年度から老人保健事業における健康診査から外すこととし、それに要する経費については、地方交付税措置(一般財源化)を図ることとした。これにより、今後は各市町村が地域の実情に合わせた効果的ながん検診の実施等自主性を活かした取組がなされるよう期待しているので、本趣旨を御理解の上、管下市町村に対する指導方御配意願いたい。

(イ)費用徴収基準額については、平成10年度においても改定を行うこととしているが、その額については健康診査基準単価等と併せて、後日お示しする。
イ 機能訓練の拡充
 新寝たきり老人ゼロ作戦の展開においても重要な位置を占める機能訓練を一層充実させるため、平成10年度においては、実施数をA型(基本型)は215か所増の6,288か所(累計)、B型(地域参加型)は814か所増の2,442か所(累計)としたので、A型については、市町村保健センター、老人福祉センター等の活用や特別養護老人ホーム等への委託等により、また、B型については、集会場、公民館、公園等の身近な場所での実施や地域のボランティア等の活用により、実施か所数の拡大が図られるよう、市町村に対する指導をお願いする。
 なお、A型の未実施市町村の解消について特段の指導を引き続きお願いするとともに、B型についても積極的な事業実施が図られるよう特段の御配意をお願いする。
ウ 老人保健強化推進特別事業(仮称)の創設
 平成10年度から都道府県及び市町村において、壮年期からの健康対策、寝たきり予防対策と医療対策等を講じるため、事業の推進に資する先駆的な事業や制度改正に資する事業の実施を支援することにより、老人保健対策の推進に寄与することを目的とし、保健事業の強化・推進に資する事業、保健・医療・福祉における連携を強化するための事業等を、地域の特性に合わせ実施することとし、本事業に要する費用に対して国庫補助を行うこととしているので御了知願いたい。
エ その他
 平成9年11月27日総務庁から「難病対策等に関する調査の結果(勧告)」がなされ、そのうちがん予防対策等については、主なものとして次の事項について指摘があった。
1) がん検診事業について、人口規模、産業構造などの地域差を踏まえた地域ごとの望ましい検診事業の推進の在り方、特に、検診実績の上がっていない都市部における効果的、効率的な推進方策を確立し、保健事業第3次計画後の事業に適切に反映すること。
2) 地域がん登録事業について、その活用方策を含め、現行の事業を全面的に見直すこと。
 今後、これらの勧告を十分に検討したうえで、適切な改善措置を講じることとしているので御了知願いたい。

(2)新寝たきり老人ゼロ作戦の展開

 「新寝たきり老人ゼロ作戦」は、新・高齢者保健福祉推進十か年戦略(新ゴールドプラン)における重要な柱の一つとして推進しているところである。
 平成10年度においては、都道府県における介護保険の基盤整備として、病院、老人保健施設等から退院(所)した在宅脳卒中患者等に対して、寝たきりを防止し、地域住民として充実した生活が送れることを目的とした「地域におけるリハビリテーション」を推進する体制を整備することとしているので御了知願いたい。

ア 地域リハビリテーション支援体制の整備
 病院、老人保健施設等から退院(所)した在宅脳卒中患者等においては、在宅でのリハビリテーション、介護や看護力の欠如あるいは、閉じこもりがちな生活による自立意識の低下により、寝たきりとなることが社会的に問題となっている。
 リハビリテーションについては、入院(所)において急性期から慢性期への移行について体制整備がなされていないこと、また、在宅者に対するリハビリテーションについても量的不足に加え、医療関係の啓発や利用者に対する情報不足などの課題がある。
 このため、平成10年度から都道府県において、生活の基本となる「在宅」及び「地域社会」において、寝たきりとなることを防止し、地域住民として充実した生活が送れることを目的とした「地域におけるリハビリテーション」を推進する体制を整備することとしているので本事業の実施方御配意をお願いする。
イ 新寝たきり老人ゼロ作戦普及啓発推進事業の展開
 「新寝たきり老人ゼロ作戦」をより効果的、効率的に展開するため、従来の都道府県における、寝たきりゼロ推進本部の設置・運営及び市町村、保健所等に対しての指導、助言、事業支援並びに住民に対しての普及啓発活動の実施に加え、平成9年度から市町村を事業実施主体とした住民に対しての寝たきりゼロへ向けた講演会の実施、広報紙の作成等普及啓発活動及び寝たきり老人ゼロ推進委員会の設置・運営など「新寝たきり老人ゼロ作戦普及啓発推進事業」を推進しているところであり、本事業に対する国庫補助制度の活用等を図るなど積極的な事業実施と周知徹底をお願いする。



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