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5.在宅福祉サービスの基盤整備の推進について


(1)老人訪問介護(ホームヘルプサービス)事業

 訪問介護(ホームヘルプサービス)事業については、全国高齢者保健福祉関係主管課長会議(平成8年3月7日)資料でお示しした、国庫補助金の精算に係る会計検査院の指摘を踏まえ、サービスを効率的に提供する体制を整備するとともに、介護保険制度の導入を展望し、平成9年度からサービスの提供量に応じた事業費補助方式を導入したところである。
 事業費補助方式の導入に当たっては、個別援助計画に基づいた派遣の決定が不可欠であるが、平成10年度は全面的に事業費補助方式に移行するため、利用者の心身の状況、世帯の状況等を十分考慮した個別援助計画を作成するよう、今後とも管下市町村を指導されたい。

(2)老人短期入所生活介護(ショートステイ)事業

 多様化し増大する高齢者の介護サービスの需要に対応するとともに、健全な競争を通じた効率的かつ良質な介護サービスの供給を推進するためには、民間企業等の積極的活用を図ることが重要である。
 このため、「民間事業者による日帰り介護(デイサービス)事業指針及び老人短期入所生活介護(ショートステイ)事業指針について」(平成9年12月17日障障第183号・老振第139号大臣官房障害保健福祉部長・老人保健福祉局長連名通知)を先般通知したところであり、今後、この指針に適合する民間事業者等に対して、公的サービスの委託を認めることとしており、管下市町村に対し、民間事業者等を含む多様な事業主体に対する委託を推進するよう、更に指導されたい。

(3)老人日帰り介護(デイサービス)運営事業

 日帰り介護(デイサービス)事業についても、介護保険制度の導入を展望し、事業の適正化を図るため、現行の補助方式は施設類型(A〜E型)毎に定額補助を行っているが、平成10年度からは、利用者の要介護度及び利用実績に応じた補助を行う事業費補助方式を導入することとしている。
 利用者の要介護度の判定に当たっては、多くの市町村において、要介護高齢者等の実態把握に活用されている「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準について」(平成3年11月18日老健第102号−2大臣官房老人保健福祉部長通知)を利用するなど、簡便な方式を認める予定である。
 また、要介護度ごとの補助単価は、現行の老人日帰り介護施設(デイサービスセンター)の業務分析を行い、サービスの標準化を行った上で決定することとしているが、日帰り介護(デイサービス)事業は、現在でも要介護又は虚弱な高齢者が利用することとされており、現行の実施要綱に沿った事業運営が行われているのであれば、現行の補助額と遜色のないものと考えている。
 なお、事業費補助方式への移行を円滑に行うため、平成10年度は市町村単位の選択方式とするととしている。
 また、日帰り介護(デイサービス)運営事業についても、老人短期入所生活介護(ショートステイ)事業と同様、今後、指針に適合する民間事業者等に対して、公的サービスの委託を認めることとしており、管下市町村に対し、民間事業者等を含む多様な事業主体に対する委託を推進するよう、更に指導されたい。

(4)在宅介護支援センターの再構築

 在宅介護支援センターは、介護保険制度導入後も、要介護状態にない者に対する配食サービスなど、介護保険給付の対象とならないサービスを含め、地域において総合的な保健・福祉サービスに関する相談援助業務を担っていくことが求められている。
 このため、介護保険制度導入後における地域の相談援助体制を整備し、在宅介護支援センターの機能強化を行う必要があり、平成10年度から現行の在宅介護支援センター(標準型)に加え、地域の実情に併せて「単独型」及び「基幹型」(1市町村に1か所以内)を整備するとともに、「単独型」及び「基幹型」に対する補助については、担当地域の対象者数に応じて実態把握に必要な経費を補助する事業費補助方式を導入することとしている。
 なお、「単独型」及び「基幹型」を導入する場合には、市町村が、
1)市町村内のすべての在宅介護支援センターを包摂する連絡支援体制(ネットワーク)を形成すること
2)各在宅介護支援センターの担当地域、委託内容、委託条件(契約解除の条件を含む)を明示すること
3)在宅介護支援センターで在宅サービス利用の予約ができるなど、具体的なサービス利用への結び付けを図ること
とする。
 なお、訪問介護事業所(ホームヘルパーステーション)や訪問看護事業所(訪問看護ステーション)と併設して事業を行う在宅保健福祉サービス総合化試行的事業については、地域における保健福祉サービスの最小単位として引き続き推進に努めていくこととしている。

(5)総合的な保健・医療・福祉体系の構築

 介護保険制度導入後においても、要介護状態になる前の保健予防活動や生きがい対策を含めた、保健福祉サービスを積極的に推進することにより、独居老人など介護保険の保険給付の対象とならない方々をも対象とした、地域における総合的な保健・医療・福祉体系の構築を図っていくことが求められている。
 このため、老人福祉の向上の観点から、配食サービス事業など、介護保険制度を補完する事業、地域の実情に応じて実施され、国としても積極的に推進していく必要がある事業について、平成10年度から選択実施できるようにするため、「高齢者在宅生活支援事業」を創設し、地域の実態に応じた機動的、効率的な事業実施を図っていくこととしている。

(6)在宅福祉サービス事業の適正化

 在宅福祉サービス事業の適切な運営については、各都道府県・市において格段の御努力をいただいているところであるが、近年、訪問介護(ホームヘルプサービス)事業、老人短期入所生活介護(ショートステイ)事業、日帰り介護(デイサービス)事業等において、老人短期入所生活介護(ショートステイ)の受入枠を超えて利用者を受け入れるなど不適切な取扱い事例が散見されるところである。
 介護保険制度の円滑な実施に向け、国民の理解と信頼を失うことのないよう、事業の適切な実施について、今後とも管下市町村を指導されたい。
 なお、平成10年4月から、要介護高齢者を中心とした高齢者対策に関する行政監察が実施される予定であり、詳細については追って通知する。



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