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4.介護保険事業計画等の作成及び老人保健福祉計画の見直しについて


 介護保険事業計画等の作成に関する現時点での基本的考え方については、1月13日の全国介護保険担当課長会議において述べたところであるので、以下では、当面、必要な取組など、総論部分についてのみふれることとする。なお、今後、審議会における議論等を踏まえて具体的な内容が定められるものであるため、現時点における事務局の原案であることをあらかじめ御承知おき願いたい。

(1)介護保険事業計画等の作成の基本的考え方

ア 基本的枠組み
 介護保険制度下においては、国はサービスの供給体制の確保に関する基本事項等を定めた基本指針を定める一方、市町村及び都道府県はそれぞれその基本指針に即して、3年ごとに5年を一期とする市町村介護保険事業計画、都道府県介護保険事業支援計画を平成12年度を初年度として定めることになる。
 そして、これまでお示ししているように、老人保健福祉計画の見直しについてもこれらと整合性をもって、同様の日程で作業が行われることとなる。

イ 介護保険事業計画の意義
 介護保険制度のねらいは、要介護者等に対して、必要な介護サービスが適切に提供されることである。そのため、
1) 要介護者等の人数、要介護の程度等の状態像、介護サービス利用意向等を把握すること
2) それらを踏まえて必要なサービス量等を把握すること
3) 必要なサービス量等に対して、現在のサービス基盤で提供が可能なサービス量等を把握すること
4) 両者の差について、今後基盤整備を計画的に推進していくこと
5)そのような計画的な整備を踏まえて、介護保険の事業費の見込みを算定すること
6) 介護保険の事業費の見込みを踏まえて、保険料の算定を行うこと等の一連の作業が必要である。

 介護保険事業計画は、介護保険制度運営の基本となるものであるが、介護保険制度運営におけるあらゆる事項を網羅的に盛り込むという性格のものではなく、基盤整備を計画的に進めるための基本となる計画というものである。
 したがって、計画の中には上記1)から5)までの事項を盛り込むことを考えている。
 特に、1)に関しては、計画を作成するに当たっての大前提として、要介護者等の実態把握が極めて重要である。
 そのため、平成9年度中から、寝たきり老人等の実態把握が不十分な自治体については、早急に取り組まれるよう申し上げてきたところである。引き続き、そのような取組に対する指導に努められたい。また、平成10年度における最重要の作業といってよい実態把握については、厚生省としても、平成10年3月末には、基本指針の案や調査票の例を提示するほか、平成10年6月頃には、基本指針等を確定し、お示しすることを考えている。各都道府県におかれては、それらも踏まえ、管下市町村に対する適切な助言、指導、協力方お願いする。
 また、介護保険の給付と負担の内容に影響する計画となるので、住民がその策定に関わることが求められるほか、明確な算出根拠と、事後における検証が可能であるよう配慮する必要がある。さらに、介護保険のサービス提供主体として期待される民間事業者が事業を展開するに当たっての指標となることにも留意する必要がある。
 いずれにしても、介護保険事業計画は介護保険制度の円滑な運営を図るための基盤となる重要な計画であり、平成10年度において、その作成作業が本格化することとなるので、所要予算の確保など必要な準備、市町村に対する指導方よろしくお願いする。特に、制度施行まで2年あまりの時間であることから、各地方自治体におかれても精力的かつ効率的な取組に配慮され、国民の期待に応えていただくようお願いする。
 なお、財政的な支援については、介護保険制度実施推進本部作成の会議資料を参照されたい。

(2)介護保険事業計画と老人保健福祉計画との関係

 介護保険事業計画は、各市町村の区域内における要介護者等の人数、介護保険の給付対象となるサービスの利用の意向等を勘案して、介護保険の給付対象となるサービスの種類ごとの量の見込み等について定め、介護保険の事業費の見込みを明らかにするなど、介護保険制度運営の基となる現実的な事業計画である。
 一方、老人保健福祉計画は、介護保険の給付対象及び給付対象以外の老人保健福祉事業を含めた、地域における老人保健福祉事業全般にわたる供給体制の確保に関する計画として位置付けられる。
 このため、介護保険給付対象サービスだけではなく、それ以外のサービスを適切に組み合わせて、寝たきりゼロの推進など、地域における総合的な老人保健福祉水準の向上を図るための総合計画として策定する必要がある。特に、保健事業の実施に当たっては、要介護状態の防止、改善など、明確な施策目標を持って、介護保険運営の円滑化にも配慮していくものである。
 このように介護保険事業計画(介護保険事業支援計画)と老人保健福祉計画では介護保険給付対象のサービスに関する事項が共通しており、また、連携して事業を行う必要があることから、介護保険事業計画(介護保険事業支援計画)と老人保健福祉計画は調和が保たれたものとして策定するものである。計画の作成体制についても、基本的には同一になるものと考えられるが、介護保険事業計画作成における被保険者たる住民の意見反映など、適切な体制づくりに配慮されたい。

(3)広域的取組に対する支援

 前述のとおり、現行の老人保健福祉計画は、平成12年度を初年度として介護保険法に基づく介護保険事業計画等と整合性を図り、見直されることとなる。
 その際には、どこの市町村に住んでいても、必要なサービスが提供されるよう、効率的な基盤整備や事業の共同実施が重要となる。また、介護保険制度の導入によって、各市町村には、保健医療・福祉にわたる企画調整機能が一層求められてくることになる。
 このため、市町村の域内にとどまらず、広域的な観点からの基盤整備や共同事業を行うことにより、より高齢者の保健福祉需要に応えることや、他の広域的な地域関連振興施策等を勘案することにより、将来に向けての総合的なまちづくり等を見込んだ老人保健福祉計画を策定することが必要である。
 このような趣旨を踏まえ、今年度はその前提となる基本計画(マスタープラン)策定に対する補助を行っているが、現在、8道県11地域において、その策定作業が進められている。
 来年度においては、上記の地域についての広域的な老人保健福祉計画づくりに対する支援を行うことを考えているが、上記の地域以外の地域にあっても、他の地域の参考となるような先駆的な取組に関しては、協議に応じたいと考えているので、御相談願いたい。



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