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(指 導 課)


1.医療施設近代化施設整備事業等について

(1) 医療施設等施設整備費については、平成10年度予算案において、非常に厳しい財政事情を受け、約318億円(対前年度約61億円の減)となっている。

(2) この様な状況下においても、人口の高齢化・疾病構造の変化や、患者ニーズの高度化・多様化等医療を取り巻く環境の変化に対応するため、療養環境・勤務環境の整った医療施設の整備が重要な課題である。

(3) 平成10年度においては、特に介護保険法が成立したことから、要介護者の生活の質に配慮した療養環境の整備が最も重要と考えており、非常に厳しい財政事情の中、平成9年度から実施している療養型病床群への転換整備を優先的に進めてまいりたい。

(4) また、一昨年の社会福祉施設等施設整備費補助金の仕組みを悪用した事件を契機に厚生省内に設置された調査委員会における検討結果を踏まえ、平成9年4月「医療施設等施設整備費の国庫補助にかかる協議等について」の通知により、国庫補助協議対象施設決定方法の明確化、建設工事契約の適正化及び現地調査の実施をお願いしたところであるが、平成10年度の執行に当たっては、この趣旨に添った補助要綱の改正を予定しているので、関係者に対する指導方よろしくお願いしたい。

(5) なお、医療法改正により創設された地域医療支援病院については、設置基準等を定める省令改正等の作業を進めているところであるが、 施設・設備整備費も従来の補助金の枠内で対象範囲の拡大が認められたところであり、交付要綱及び実施要綱の改正手続きを並行させて進めていくこととしている。

(6) また、地域医療連携推進事業は、医療計画の着実な実施、推進を図るための方策の一つとして実施しているところであるが、昨年12月に成立した医療法改正において地域医療支援病院が制度化されたことに伴い、来年度からは新たに地域医療支援事業を実施する。
これは、当該病院又は、それに準じた病院が行う地域医療の推進のための支援に対する補助を実施するものである。
なお、地域医療支援事業は病診連携推進事業を拡充したものであり、当分の間は従来の病診連携推進事業についても実施することとしているので、地域医療の推進のため活用願いたい。


2.救急・災害医療対策について

(1) 救急医療体制の充実

1) 我が国の救急医療については、各都道府県において体制整備に積極的に取り組んでいただいた結果、現在では、全国的には救急医療の量的な整備はほぼ達成されつつある。しかし、一方では地域格差の解消、休日・夜間の診療体制の強化といった課題も指摘されているところである。
救急医療は、社会環境、疾病構造の変化等と密接に関連しており、近年ますますその重要性が高まっている。また、今回の医療法改正では、都道府県において定める医療計画の必要的記載事項として救急医療の確保に関する事項が定められた。
これらの救急医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、救急医療体制の一層の質的な充実と地域格差の是正が求められている。
2) 厚生省においては、昨年2月から「救急医療体制基本問題検討会」において、将来の良質かつ効率的な救急医療体制の在り方について検討を行い、昨年12月11日に出された報告書において、地域の救急患者を対象とした初期、二次及び三次からなる救急医療体制と、救急隊が搬送する傷病者を対象とした救急告示制度との一元化や救命救急センターの再評価などの基本的な方向性が示されたところである。
厚生省としては、こうした検討を踏まえ、今後、救急病院等を定める省令の改正等により、救急医療体制の一層の充実に努めることとしているが、各都道府県においても医療計画における救急医療体制の充実に積極的に取り組まれるとともに、休日・夜間の診療体制の充実等により地域住民の救急医療体制に対する信頼の確保に努められたい。
3) 救急医療対策関係予算のうち、休日夜間急患センター運営費にについては、平成10年度から一般財源化を行い、その財源については、地方交付税により、都道府県分を含めて事業実施主体である市町村に措置される予定である。
ついては、各都道府県において、管下市町村等関係機関への周知とともに、当該事業の重要性に鑑み、事業の実施に当たっては、関係者との連携を図り、初期救急医療体制の確保に支障の生ずることのないよう留意されたい。
4) 救命救急センターについては、今後新たに設置を計画する場合は、まず、既存のセンターの診療体制、稼働状況及び広域搬送体制等について再評価を行ったうえで、真に必要とするものについてのみ認めることとするので、計画の早期段階から相談願いたい。
5) また、在日外国人にかかる前年度の未収金について、平成8年度から、救命救急センター運営費補助の対象として追加しているところであるが、本制度の創設の趣旨を踏まえ、補助制度の濫用や不法滞在の定着防止等を図る観点から、救命救急センターにおいて受診した在日外国人が不法滞在者であることが判明した場合の適切な対応について、平成9年5月23日付指第57号指導課長通知を発出したところであるので、今後とも管下関係者への周知とともにその取扱いについて配慮願いたい。
6) 第13回救急救命士国家試験を本年3月22日(日)に、北海道、東京都、愛知県、大阪府及び福岡県の5か所において実施する予定である。

(2) 災害医療対策について

 阪神・淡路大震災による被害が甚大であったことに鑑み、この教訓を生かすため、「阪神・淡路大震災を契機とした災害医療体制のあり方に関する研究会」において災害時の医療体制について検討を行い平成8年4月に研究報告書が取りまとめられたところである。
 この研究報告書を受け、平成8年5月10日健政発第451号「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」を通知し災害拠点病院(基幹災害医療センター、地域災害医療センター)の整備、現行の救急医療情報システムを拡充強化する広域災害・救急医療情報システムの整備等の施策を進めている。
 基幹災害医療センター等の災害拠点病院の指定については、概ね終了したが、施設・設備の整備に加え、災害時に地域の災害医療の拠点として十分に機能するよう、防災マニュアルを作成し、地域の医療機関との連携等、運用面の充実に務められたい。
 また、広域災害・救急医療情報システムの設置については、極めて少数にとどまっているので、早急に整備をお願いする。


3.へき地保健医療対策について

 へき地保健医療対策については、平成8年度を初年度とし、計画期間を5か年とした「第8次へき地保健医療計画」に基づき、従来の施策に加え、

1) へき地診療所に対して医師の休暇時等に代替医師の派遣や画像伝送等を使った支援を実施する「へき地医療支援病院」を新たなへき地医療の担い手として位置付けること。
2) へき地診療所において、在宅ケアを支えるデイサービスやショートステイ等の機能に重点を置くため、看護婦の人件費加算を設けて、在宅医療の充実を図る。
等の施策を実施しているところである。
また、平成5年度より厚生省との協力の下に、自治省が、計画的に実施される医師の確保等の地方単独事業に対する財政支援を行っているので、地域の実情に応じて積極的に活用されたい。
(平成5年2月15日健政発第93号「へき地医療等に対する財政支援措置の充実について」参照)


4.医療施設経営改善支援事業について

 本事業は、平成6年1月の「医療機関経営健全化対策検討委員会報告書」の提言を受け、医療機関の経営管理の改善に対する支援策として、平成6年度より実施しているところであるが、各都道府県においては、引き続き、管下医療機関が病院自身による経営努力をより効果的なものにするため、医療機関の幹部職員等に対する研修会事業をはじめ、経営管理に関する情報提供や経営相談、経営診断事業等の充実を図り、創意工夫に富んだ事業展開に努められたい。


5.医療法人の運営管理指導等について

 医療法人は、非営利性に基づく組織体として法人格を与えられたものであり、健全な医療事業の経営と適正な法人運営を維持することが要請される。このことは、何よりも法人自らの不断の努力によるべきものであるが、同時に十分な指導監督が必要である。
 このため、各都道府県医療法人主管部局においては、医療監視担当部局のみならず、保険、精神保健、福祉担当部局等の関係部局と常日頃から連携を密にするとともに、平成2年3月1日健政発第110号「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱の制定について」及び平成5年2月3日総第5号・指第9号「医療機関の開設者及び非営利性の確認について」等により、法人の運営に第三者が関与、あるいは法人が主体的に運営を行っていない等の疑いが生じた場合には、実地に医療法人への立入検査を実施するなど実態把握を行い、今後とも医療法人の指導監督に十分留意するとともに適正な法人運営の確保に努められたい。
 なお、今回の医療法改正により、医療法人が病院等をすべて休止又は廃止した後、正当な理由もなく引き続き1年以上病院等を開設しないときは、都道府県知事は、設立認可を取り消すことができることとなったが、休眠医療法人の整理については、医療法人格の悪用を未然に防ぐ上で重要なものであり、実情に即して、設立認可取消処分を検討するなど厳正に対処されたい。
 特別医療法人制度の創設にかかる各都道府県における対応については、追って指示する予定である。


6.医療機能評価について

(1) 平成6年9月の「病院機能評価基本問題検討会報告書」の提言を踏まえ、病院等の医療施設の機能について、学術的な観点から中立的な立場で評価し、その改善を支援することを目的として、平成7年7月に財団法人日本医療機能評価機構が設立された。
事業開始に当たって、当初の約2年間を運用調査期間と位置付け、機能評価の方法論に関する実証的な検討を行い、その結果を踏まえ平成9年度から本格的に、病院機能評価事業を実施しているところである。

(2) 当該財団においては、本事業における評価結果として、地域における役割を適切に担い、医療の質の向上とサービス改善に取り組み、 一定の成果をあげていると認められた場合には、認定証を発行することとしている。
また、評価結果の情報公開については、積極的に、かつ適切な時期に公表することを原則とし、平成9年12月末日現在で、認定証の発行を受けた32の病院名が公表されているところである。


7.医療計画について

(1)医療計画の見直しについて

 医療法改正(3次改正)は、平成9年12月17日に公布され、本年4月1日施行予定である。したがって来年度以降の医療計画は、改正後の医療法により作成された医療計画となるので留意願いたい。
 新しい医療計画作成指針については、現在「必要病床数等に関する検討会」での検討結果等を踏まえて、出来るだけ早い時期にお示ししたいと考えている。
 医療計画の法改正は、2次医療圏ごとの医療を提供する体制が明らかになるよう、
1)地域医療支援病院、療養型病床群の整備目標に関する事項を追加。
2)今まで任意的記載事項とされていた項目についても必ず記載する。
とされている。
 なお、今後とも医療計画等の見直しに当たっては、試案が作成された時点で、指導課に説明いただくようお願いする。

(2)必要病床数の算定方式の見直しについて

 必要病床数の算定方式については、各方面からの指摘もあり健康政 策局においては「必要病床数等に関する検討会」を設置し、見直しを 進めているところである。
 また、医療提供体制等の抜本的改革を示した与党医療保険制度改革協議会の「21世紀の国民医療」においても「急性期病床と慢性期病床(療養型病床群)とに区分して、それぞれの必要病床数を算定する」と指摘されている。
 こうしたことから、必要病床数の算定方式の見直しについて検討がまとまった段階で抜本改革のひとつとして必要な制度改正を図る考えである。

(3)特定の病床の特例について

 医療法施行規則第30条の32第1項に規定する特定の病床に係る特例については、いわゆる病床過剰地域において適用されることとなるが、その適用に当たっては、既存病床の転換等により特定の病床の充実を図ることを検討し、当該地域及び都道府県の医療事情を十分踏まえた上で真に必要なものに限り適用するなど、安易な増床とならぬようお願いする。
 なお、各都道府県における取扱いの均衡を図るため、事前に指導課へ説明いただいているところであるが、十分な時間的余裕をもって説明いただくようお願いする。
 また、例年、当該特例病床の利用状況の調査に御協力いただいているところであるが、未だ要件以外での使用が見受けられるので、今後とも不適正な使用については厳正な指導を行うとともにその改善を図られるよう努められたい。

(4)医療計画における勧告について

1) 昨年、医療計画に定める必要病床数を超える病院開設の中止勧告に関わらず、新規病院の開設許可に至らざるを得なかった事例が報告されている。医療計画の実施により、各都道府県において適正な医療提供体制の確保に努めていただいているところであり、これらについては遺憾と考えている。
今後とも、開設を希望する者に対し十分な説明、指導を行うとともに、医療提供体制の確保に最大限の力を注ぐべく、各県とも連絡を密にしていきたい。
なお、病床過剰地域における保険医療機関の新規病床数の制限等について、法的にも明確にするために、健康保険法の改正を図ることとしている。
2) 勧告を行う場合にあっては、都道府県医療審議会の審議の確保などその適正手続に今後とも十分配慮ありたい。
また、複数の病院開設許可申請等が重なった場合における勧告の取扱い及び事前の検討等については、地域の実情を踏まえ、かつ、公平性を期する観点から、その地域の関係行政機関、医療関係団体等との協議の場(地域保健医療協議会等)を活用し、開設者間の調整を行うなど、今後とも透明性の確保に努められたい。


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