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(医事課)


1.医師臨床研修制度の改善について

(1)医師の卒後研修については、平成8年7月医療関係者審議会臨床研修検討小委員会から、「必修化を含めた臨床研修の抜本的な改善の方向については、関係者の間でかなり理解が深まったものと考える」との意見書が出された。

(2)昨年来大学関係者を含めた懇談会を設け、幅広く合意を得るための議論を行ってきており、現在、意見書の方向を踏まえ、研修指導体制や研修病院・施設基準等の詳細、医師免許の性格等の法制上の問題や制度改正の前提である財源問題について、検討を行っているところである。

(3)昨年8月にまとめられた「21世紀の医療保険制度(厚生省案)−医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向−」及び与党医療保険制度改革協議会によって示された「21世紀の国民医療〜良質な医療と皆保険制度確保への指針〜(案)」においても医師の卒後臨床研修を必修化することが盛り込まれている。

(4)厚生省としては、医師資格の在り方や財源等臨床研修を必修化する上での制度についての考え方を整理した上で関係審議会に諮りたいと考えており、できる限り来年の通常国会において改正を行うことを目途に検討を進めたいと考えている。


2.将来の医師需給について

(1)医師数については、昭和50年代後半の医科大学(医学部)の入学定員で推移すると、将来的に深刻な医師数の過剰が生じると予測されたことから、「将来の医師需給に関する検討委員会」の最終意見(昭和61年6月)において、「昭和70年(平成7年)を目途に新規参入を最小限10%削減する必要がある。」との意見が取りまとめられた。その後平成5年に設置された「医師需給の見直し等に関する検討委員会」においても、同様の方針が確認された。
こうした報告を受けて厚生省では、関係者に対し医科大学(医学部)の入学定員の削減を要請してきたところであり、特に公立大学の取り組み方よろしくお願いする。

(2)また、「財政構造改革の推進について」(平成9年6月閣議決定)や「21世紀の医療保険制度(厚生省案)−医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向−」の中で、医学部定員の削減に取り組むなどにより医療提供体制の合理化を図ることが盛り込まれている。
これらを踏まえ、昨年改めて「医師の需給に関する検討会」を設置し、介護保険制度の創設等新たな要素を勘案した上での将来の医師需給の推計や医師需給に関する対策等についての検討をお願いしており、本年度中に報告をとりまとめることとしている。報告書がとりまとめられた段階でその内容を踏まえ関係者とも相談しながら適切に対応していきたいと考えており、その際には御協力をお願いすることもあると思うのでよろしくお願いする。


3.医師、歯科医師等の処分について

(1)平成9年10月に医道審議会が開催され、2名の医師に対し免許取消の処分、13名の医師及び3名の歯科医師に対し1月から3年の業務停止の処分を行ったところである。
また、新たに20名の医師、歯科医師に対しては、「不利益処分者に対する意見陳述手続」を行うこととなり、関係都道府県にその実施を依頼し、完了の報告をいただいているところである。
なお、これら本人の意見陳述が完了したものについては、次回の審議会において再度審議され処分等が決定されることとなる。

(2)医師、歯科医師として不適切な行為のあった者に対する処分については、今後も厳正な態度で望むこととしているので、各都道府県におかれても医師法(歯科医師法)第3条又は第4条に該当する事案及び医師、歯科医師としての品位を損するような行為のあった場合には、これらを的確に把握し、速やかに報告されますよう御協力をお願いする。
なお、診療報酬の不正請求に係る事案については、部局間の連携を十分に図り、迅速に報告されますようお願いする。

(3)また、その他の医療関係職種についても、先般、業務に関する犯罪又は不正な行為等に係る事案について、御報告いただいたところである。
なお、報告がなされた事案については、「不利益処分者に対する意見陳述手続」を行った後に、処分等を予定している。
今後とも、当該事案の把握並びに報告について、御協力をお願いする。


4.言語聴覚士法の施行について

(1)言語や聴覚に障害を持つ者についてその機能の維持向上を図るため訓練等を行う者(いわゆるST)の資格法制化については、平成8年10月に「言語及び聴覚に障害を持つ者に対して訓練等の業務を行う者(いわゆるST)の資格化に関する懇談会」が設置され、問題点等についての検討が行われ、昨年4月に報告書がまとめられた。

(2)この報告書の内容に沿って、言語聴覚士法案が昨年10月、第141回国会に提出され、12月に法案が成立した。

(3)今後、専門家等による検討会を設け養成課程等の検討を行い、その結果に基づき政省令の整備を行い、夏頃を目途に法律を施行する予定であるので、各都道府県におかれては、御了知願いたい。


5.医療関係職種の養成について

(1)理学療法士、作業療法士については、従来から需給計画を策定して、その養成・確保を進めてきたところであるが、平成3年8月、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会において需給計画を見直していただいたところである。
この需給計画に沿って、平成4年度から養成施設の新設・定員増を図っているところであり、理学療法士については定員2,165名分、作業療法士については定員1,840名分を承認した。(更に、平成10年4月には理学療法士290名、作業療法士460名の入学定員増が見込まれている。)
全体の量の確保については既に目標を達成しているが、複数の養成施設を有する都道府県がある一方、養成施設を全く有していない都道府県がある。
こうした状況を踏まえて平成6年8月の理学療法士作業療法士部会で、都道府県ごとやブロックごとの人口10万人当たり入学定員及び従事者が全国平均を上回っている都道府県においては、養成施設の新設・定員増は原則として適当でない旨の考え方が取りまとめられ、平成8年4月開校のものから適用されているところである。

(2)医療関係職種の養成施設における入学者選抜やその運営にあたっては、従前より充分留意するよう指導してきたところであるが、未だ恒常的に学生定員を超過している施設が見受けられる。
入学者の選抜に関しては誤解を招くようなことがないよう、平成5年11月29日付医事第 105号により通知した内容等についての各養成施設への指導方、引き続きよろしくお願いする。


6.「遠隔医療」について

(1)情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)については、医師法第20条及び歯科医師法第20条(無診察治療等の禁止)と の関係が明らかになっておらず、規制緩和推進計画等において、医 師法上の位置付けを明らかにすることが求められていた。

(2)これを受けて、直接の対面診療による場合に代替しうる程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではないとの考え方及び遠隔診療を行う上での留意点等を示した健康政策局長通知を昨年12月24日付けで各都道府県知事等に宛てて発出したので、関係者等への周知をお願いしたい。


7.カルテ等の診療情報の活用に関する検討会について

(1)カルテ等の診療情報の活用については、昨年7月に、「カルテ等の診療情報の活用に関する検討会」(以下「検討会」という。)を設置し、現在まで5回の会合を開催した。

(2)検討会においては、カルテ等の診療情報を原則として患者に提供していくものとの方向で議論が進んでいるものと理解しているが、今後の具体的対応については、今年度中に取りまとめられる報告書の内容を踏まえ、結論を出すこととしている。



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