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(経済課)


1.医薬品等の流通対策について

(1)医療保険制度の抜本改革案について

  平成9年8月に厚生省及び与党医療保険制度改革協議会から薬価基準等の見直し等を内容とする医療保険制度の抜本改革案が発表された。医薬品流通に関する記述は次の通りである。

ア.21世紀の医療保険制度 −医療保険及び医療提供体制の抜本的改革の方向−
(平成9年8月7日、厚生省公表)
[ 抜 粋 ]
○ 国は、患者に対し医薬品に関する適切な情報を提供する必要があることから、専門家委員会が作成する医薬品のグループとその償還基準額、根拠となった市場実勢価格等に関する情報を定期的に公表し、保険者等がこれを活用できるようにする。
○ このため、市場実勢価格を適正に把握する観点から、医療機関等及び卸売業者に対して薬価調査の応需義務を課する。
○ 医療機関等における医薬品の実購入額と保険者及び患者に対する請求額との関係を透明化するため、医療機関等における卸売業者の発行する伝票等の保存や、卸売業者に対する立入検査の導入等必要な方策を講ずる。

イ.二十一世紀の国民医療 〜良質な医療と皆保険制度確保への指針〜
(平成9年8月29日、与党医療保険制度改革協議会公表)
[ 抜 粋 ]
○ グルーピング、給付基準額、市場実勢価格などを公表し、医療機関、薬局及び卸売業者に対して薬価調査の応需義務を課す。また、医療機関及び薬局は、医薬品の購入価格などの情報公開、患者に負担を求める場合の説明及び明細書の発行を行う。
○ 医薬品の取引における仮納入・仮払いなどを解消する。医療機関及び薬局と卸売業者との取引時に、購入額を確定させるため、卸売業者の納入時における価格などを記載した伝票の発行、医療機関などにおける伝票の保存などの措置を講ずる。
○ 医薬品の安定的かつ効率的な供給を図るため、流通当事者間における自由で対等な取引関係の形成が進められるよう、流通近代化を一層推進する。

(2)薬価調査・特定保険医療材料価格調査

 昨年は3年連続となる薬価調査及び特定保険医療材料価格調査の本調査実施にあたり、多大な御協力を頂いたところである。
 平成10年度においては、経時変動調査の実施が予定されているので、各都道府県におかれても引き続き御協力をお願いする。


2.医療関連サービスについて

(1)近年、医療機関の行う業務を代行又は支援するサービス(患者等の食事の提供業務、滅菌・消毒業務等)や在宅医療を支援するサービス(患者搬送、医療機器保守点検等)が民間事業者によって提供されており、今後さらにその範囲も拡大していくものと見込まれる。
これらのサービスは、医療機関や国民のニーズに応えるものとして有意義なものと考えられるが、患者の身体や生命に深く関わることから質の確保を図ることが重要である。
このため、医療法においては、これらサービスのうち医師等の診療等に著しい影響を与える業務として、「検体検査」、「医療用具等の滅菌消毒」、「患者等の食事の提供」、「患者搬送」、「医療機器の保守点検」、「医療用ガスの供給設備の保守点検」、「寝具類の洗濯」、「施設の清掃」の8つの業務を政令で定め、これらの業務を委託する際の基準を設け、医療関連サービスの質の確保及び事業者の健全育成に努めているところである。

(2)医療関連サービスの健全な発展に関する事業行うことを目的として設立された財団法人医療関連サービス振興会においては、民間の自主的な取組みとして医療関連サービスマーク制度を設け、これらの業務の評価認定事業を行っている。
医療関連サービスマークは、良質な医療関連サービスの普及を図るために、振興会が定めた認定基準に適合した事業者に対して交付するものではあるが、あくまで医療機関が事業者を選定する際の目安であり、当該マークがないと事業が行えないものではない。
このことは、平成8年3月26日付け指導課長通知により示したところではあるが、その趣旨を御理解のうえ関係者等への周知方お願いしたい。

(3)病院における患者等の食事提供業務の委託については、平成8年3月に医療法施行規則の改正を行い、従来の調理から配膳までを病院内の給食施設で行う形態に加え、病院外の調理加工施設で調理したものを病院において加熱調理後提供する形態(いわゆる「院外調理」)も認めたところである。
院外調理を行うにあたっては、院内での調理業務以上に厳しい衛生管理が必要なことから、(1)食事の運搬、保存に際しては、冷蔵(3℃以下)、冷凍(ー18℃以下)または65℃以上を保つこと、(2)HACCP(危害分析重要管理点)方式による衛生管理を行うこと、等を求め、平成8年4月24日付け指導課長通知により「院外調理による衛生管理ガイドライン」を示したところである。
なお、平成9年3月24日付け生活衛生局食品衛生課長通知により「大量調理施設に関する衛生管理マニュアル」が示されたことに伴い、従来の病院給食における委託基準及びガイドラインについて、平成9年4月30日付け改正を行ったところである。
また、平成9年5月8日付け指導課長通知により『「院外調理における衛生管理ガイドライン」の実施にあたっての参考例』を示したところである。
院外調理の導入に際しては、これらの趣旨に留意のうえ、引き続き関係者への適切な指導方よろしくお願いしたい。

(4)寝具類の洗濯業務の委託については、既に9年2月4日の指導課長通知により、継続的な業務の遂行を保証するため、従来の代行保証以外の措置として、複数業者との委託契約や複数の洗濯施設を持つ事業者との委託契約を示したところであるが、引き続き関係者等への周知及び指導方よろしくお願いしたい。


3 衛生検査所の精度管理について

(1)衛生検査所の指導・監督について

 近年では、9割を超える医療機関が検体検査の全部又は一部を衛生検査所(平成9年2月1日現在、全国900ヶ所)に委託しており、適正な医療を確保するうえで、衛生検査所における検体検査の精度管理は極めて重要なものとなっている。
 各都道府県においては、精度管理の重要性を十分に認識し、衛生検査所に対する立入検査の際には、精度管理専門委員の協力を得て内部精度管理の充実について指導を行うなど、検体検査の精度が確保・向上するよう衛生検査所に対する指導・監督の徹底に努められたい。
 なお、一昨年夏の腸管出血性大腸菌(0−157等)の食中毒を契機として、学校給食調理施設や食品関係営業者から検便検査の依頼が増加しているところであるが、一部の衛生検査所に微生物学的検査の登録を受けずに受託していた事例が存在したことから、各都道府県におかれては無登録検査の防止についてその徹底を図られたい。
 また、外部精度管理調査については、引き続き都道府県において実施していただきたいので、関係団体と調整のうえ実施するようお願いする。

(2)臨衛法施行規則等の一部改正について

 昭和61年4月に衛生検査所の登録基準に精度管理に関する諸基準を盛り込むなど、臨床検査技師・衛生検査技師等に関する法律施行規則の一部改正を行ったところであるが、近年における医療技術の進展に伴い、検査用機械器具の高度化、検査方法の多様化など検体検査を取り巻く状況は大きく変化している。
 厚生省では、これに対応するため「検体検査の精度管理等に関する委員会」(医療関連サービス基本問題検討会の部会)において、検体検査を取り巻く諸課題について検討を行い、昨年6月27日に同委員会報告書の公表を行ったところである。
 現在、同報告書をもとに同法施行規則、医療法施行規則(病院又は診療所内で検体検査業務を受託する者(いわゆるブランチラボ)の基準関係)等の改正作業を進めているところであり、精度管理の実施を開設者の義務とすること、原則として精度管理責任者を常勤者(検査業務の登録数により例外あり)とすること、検査用機械器具の一部を削除すること等を中心とする改正を行う予定である。
 なお、公布、施行期日については、2月中の公布、7月1日の施行を目途として改正作業を進めている。


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