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7 母子保健対策について


(1)少子社会に対応した総合的母子保健対策の推進等について
【市町村移譲】
母子保健法の改正により、平成9年4月から住民に身近な市町村において健康診査や訪問指導が行えるよう主たる実施主体を市町村に移譲したところである。母子保健事業の市町村移譲は、広域の給付としての、都道府県による市町村に対する十分な指導・支援等があってはじめて円滑に実施されるものであることから、各都道府県におかれては、引き続き、その円滑な実施が図られるよう特段の御配意を願いたい。
【総合的な母子保健対策の推進】
母子保健は、生涯の健康の基礎であり、また、次の世代を健やかに生み育てるための基礎であることから極めて重要であると認識しており、住民の多様なニーズに対応した母子保健対策の一層の推進を図ることが必要となっている。
このため、平成10年度においても、(1)生涯を通じた女性の健康支援事業、(2)周産期医療対策費、(3)子どもの心の健康づくり対策事業及び(4)都道府県母子保健医療推進費等、少子社会に対応した総合的な母子保健対策の充実強化を図ることとしている。

(2)病棟保母配置促進モデル事業の創設について

ア 趣 旨
小児慢性特定疾患などで長期にわたり入院、療養生活を続ける子ども達にとって、医療以外の生活面を重視し、クオリティオブライフ(QOL)を維持・向上させることは、重要な課題である。
こうしたことから、医療機関への保母の配置を促進することにより、特に、親から離れて病院で長期にわたり生活している慢性疾患児等に対し、保母による相談指導、遊びを通じた心身の発達の助長等を行い、児童の健全育成に資するとともに、家族との連絡・相談指導等を実施することにより患児及びその家族の不安の解消を図る。
イ 事業内容
慢性疾患等により長期入院している児童が一定数いる医療機関に対し、一定期間保母を配置するための経費を助成する。
ウ 実施主体 : 都道府県、指定都市、中核市(補助か所数 5か所)
エ 予算額案 : 6,494千円
オ 補助率 : 1/3

(3)小児慢性特定疾患治療研究費の適正化及び研究の推進について

標記については、昨年12月26日に通知したところであるが、その内容は以下のとおりである。
ア 小児慢性特定疾患対策協議会について
(1) 各実施主体毎に本協議会を必ず設置すること。
なお、協議会は他の実施主体と合同で設置して差し支えないこと。
(2) 協議会には、各疾患区分ごとに専門家を置くこと。
なお、委嘱にあたっては、公的医療機関等の医師から選任することが望ましいこと。
(3) 協議会は、毎月開催するとともに、適宜登録事業の結果を活用し、本事業の評価等を行うこと。
イ 意見書の様式について
本事業の申請に当たっては、申請書に医師の意見書を添付することとしているが、今後は審査の適正化を図るため、疾患区分ごとに診断等の根拠となる検査項目を示した書式を定めること。
ウ ヒト成長ホルモン治療の対象とする基準について
本事業における成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)等により成長ホルモン治療を行う場合の基準を新たに定めたこと。
エ アレルギー性紫斑病の審査について
本事業は、慢性疾患を対象としていることから、アレルギー性紫斑病のうち一過性のものは対象とせず、発病後2か月を経過したものを対象とすること。
オ 対象疾病等の登録管理について
従来、本事業の報告は、国庫補助金の事業実績報告時に「小児慢性特定疾患治療研究報告書」として行われていたが、今般、治療研究の一層の推進を図るため、対象疾病ごとに登録することとしたので別途通知するところにより、意見書に記載されたデータについて報告すること。
(主な登録項目)
疾病名、年齢、性別、発病時期、症状、診断の根拠となった検査等の結果、合併症、経過等
カ 施行時期
ア、イ及びオについては4月から、ウ及びエについては、平成10年2月申請(継続)分から適用。
キ その他
ア及びオについては、平成10年度に必要な補助基準の改訂を行う。

(4)妊産婦健康診査費等の一般財源化について

平成10年度予算案において一般財源化をする事業は、いずれも、制度創設後相当の年数が経過し、ほとんどの市町村で実施されており、地方公共団体の経常的な事務事業として同化・定着していることから一般財源化するものである。
既存事業の見直しは、地方分権推進委員会の第2次勧告の趣旨に沿ったものであり、これにより、地方公共団体の自主的・自立的な行政運営の実現に資するものと思料される。
なお、一般財源化に必要な財源は地方交付税措置されているので、一般財源化によって事業の低下を招くことのないよう管下市町村を指導願いたい。
(平成9年度予算額)
(1) 妊産婦に対する集団健康診査(昭和23年度創設) 14百万円
(2) 医療機関に委託して行う妊婦健康診査(昭和44年度創設) 2,478百万円
(3) 妊婦B型肝炎検査及び事後指導(昭和60年度創設) 552百万円
(4) 母子保健訪問指導事業(昭和33年度創設) 391百万円
(5) 家族計画等相談指導事業(昭和35年度創設) 10百万円

(5)母乳中のダイオキシン類に関する調査の実施について

母乳中のダイオキシン類の濃度の測定及び、母乳を通じて乳児に移行するダイオキシン類の総量を推計するとともに、ダイオキシン類の濃度に影響を与える因子を探ることを目的として、平成9年度厚生科学研究において、4都府県(埼玉県、東京都、石川県、大阪府)を対象に実施しているところである。
なお、平成10年度においては、生活安全総合研究のダイオキシン類総合対策予算の中で実施することとしており、対象都道府県は今後調整する予定である。

(6)母子健康手帳の改正について

母子健康手帳は、平成3年における様式の大幅な改正や予防接種法の改正に伴う接種項目の改正等により現在に至っているところであるが、最近の学会での報告、医学の知見等による様式等の見直しの必要性に鑑み、中央児童福祉審議会母子保健部会において記載事項等の改正の検討を進めてきたところである。
先般、平成9年12月17日の部会においてとりまとめられた意見及び母子保健法施行規則第7条各号に係る部分の具体的記載内容の改正案を各都道府県あて通知したところである。
出生率が低下している現在、子どもを健やかに生み育てるための環境づくりの一環として、母子健康手帳をより魅力あるものにしていくためにも、管下市町村に対し、これらの周知及びその実施に遺漏なきを期されたい。
なお、幼児の身長体重曲線の追加、保護者の記録の記載内容の改正等の省令改正を伴う事項(規則第7条に定める様式第3号)については、経過措置を設ける等により、すみやかに行うこととする。


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