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6 母子寡婦等福祉対策について


(1)児童扶養手当について
ア 児童扶養手当制度のあり方については、平成9年12月4日に中央児童福祉審議会児童扶養手当部会により、制度発足後の環境変化を踏まえ、構造改革を進めていくことが必要であるとされ、その具体的方向として、単に手当の支給だけでなく、就労対策、福祉貸付、専門相談等を含めた母子家庭等の自立支援対策として総合化すること、必要度の高い者に給付を重点化・効率化、有期化すること、事務の実施主体について現行の都道府県から、都道府県、市及び福祉事務所設置町村とすることにより福祉事務所を中心とした事務実施体制に一元化すること、などが課題である旨の報告がとりまとめられたところである。また、年末の予算編成における与党少子化問題プロジェクトチームの了解事項として、児童扶養手当制度のあり方や位置づけについては、母子家庭の総合的自立支援の観点に立って、手当受給者の生活実態に配慮しつつ、扶養義務の履行促進等に関する法制化も含め今後更に検討を行うこととされている。
イ 平成10年度予算案においては、これら中央児童福祉審議会児童扶養手当部会の報告等も踏まえ、現下の厳しい財政状況の下で、近年の離婚増加による給付費の増大や物価スライドによる手当額の改善にも対応するため、低所得の有子世帯一般との均衡も勘案しつつ、必要度の高い世帯に給付を重点化することとし、平成10年8月からの手当にかかる所得制限について所要の見直しを行うこととしている。なお、受給者等に対する周知徹底などについては、おって連絡することとしているので、特段のご配意を願いたい。
・受給者本人(2人世帯:収入ベース) 全部支給 204.8万円 現行どおり
一部支給 407.8万円 300.0万円
・扶養義務者等(6人世帯:収入ベース)   946.3万円 600.0万円
ウ また、所得制限以外の児童扶養手当制度の見直しについては、中央児童福祉審議会児童扶養手当部会の報告等を踏まえ、今国会への法案提出も念頭において検討を進めることとしている。
エ 制度運営等の適正化等
現在の児童扶養手当制度については、制度の適正な運営を確保するため、常に支給要件や事実関係の的確な把握に努めることが必要である。また、受給資格者に対する的確な制度の趣旨・支給要件等についての周知徹底も必要不可欠である。各都道府県においては、これらの趣旨を踏まえ、市区町村、福祉事務所、母子相談員、民生・児童委員等関係機関との連携をさらに強化し、受給資格者に配慮しつつ、不適正受給等にかかる債権の発生防止にも留意する等、厳正かつ適正な制度運営に努められたい。
また、管下市区町村に対して、認定請求、現況届等関係書類の適正な審査を引き続き指導するとともに、担当職員への研修会等を強力に実施し、受給者や新たに手当の請求を行う者への適切な応対をこれまで以上に留意させ、児童扶養手当制度に対する誤解や福祉に対する国民の信頼を損うことのないようにされたい。

(2)母子家庭等の自立促進について

ア 相談指導体制の整備
母子家庭等に対する自立促進のための相談・指導体制の一層の充実強化を図るためには、母子相談員や母子寮、母子寡婦福祉団体等の果たす役割は極めて重要であり、特に、母子相談員については、母子寡婦福祉貸付金の業務に限らず、各種相談業務への積極的な対応が必要であり、その活用と適正な配置についてご配慮願いたい。
また、養育費や財産分与の取り決め等は、母子家庭の自立を図る上で重要であり、そうした法律問題の相談など、専門的な特別相談事業については、平成10年度予算案では、現行の週1回から週2回に相談回数の増を図ることとしているので、積極的な実施を願いたい。
イ 就労支援施策
母子家庭等の就労支援については、労働省においても職業訓練手当の支給等各種の就労対策を実施しており、都道府県におかれても関係機関と十分に連携をとりながらそれらの施策が十分活用されるよう御配慮願いたい。
また、従来から訪問介護員(ホームヘルパー)の講習の実施等各種講習会を開催しているが、平成10年度予算案において、訪問介護員(ホームヘルパー)2級養成研修の大幅な拡充を図るとともに、関係機関の連携強化等による総合的な就労支援体制の整備を行う就労促進支援事業を盛り込んだところであり、受講後の就労支援を含め市町村等関係機関と十分に連絡調整を行い、就労に結びつくようその推進に特段のご配慮を願いたい。
なお、平成10年度予算案では、母子家庭等介護人派遣事業の利用要件を、母子家庭の母が夜間等に訪問介護員(ホームヘルパー)養成講習会や専門学校に通学する等自立促進に必要な事由や社会的事由にまで緩和することとしている。
ウ 母子寡婦福祉貸付金について
平成10年度予算案においては、(1)就労に必要な技能習得資金及び修業資金の貸付 限度額の引上げ、(2)児童扶養手当の所得制限見直しに伴う激変緩和を図るための児童 扶養資金の貸付限度額の引上げ、(3)就労促進に資する資金の無利子化等を盛り込んだ ところであり、前年度の49.5億円に2.5億円を増額し、52億円を計上するこ ととしている。
本貸付金においては償還金が重要な資金源であるため、その償還促進については一層の努力をお願いしたい。
なお、本貸付金が母子家庭や寡婦の経済的自立のために効果的に活用されるよう広報などにより周知するとともに、各々の資金が必要な時期に貸付けが行われるようその速やかな事務処理について一層のご努力を願いたい。
エ 母子生活支援施設の運営指導について
今回の児童福祉法の改正では、積極的かつ幅広く母子家庭の自立に向けてその生活を支援していくよう、母子寮の目的規定を見直すとともに、その名称を母子生活支援施設に名称変更を行うなど、就労支援をはじめとする母子家庭自立支援機能の充実を図ったところであり、平成10年度予算案では、新たに自立支援のための非常勤職員の配置と活動費を盛り込んだところである。
しかし、現行の母子寮の中には単なる住居の提供にとどまっており、母子家庭のケースワークや児童の健全育成等を図るという役割を十分果たしていない施設も少なくない。
また、夫の暴力や虐待から逃避するケースでは広域的措置や緊急一時保護の対応が要請されている。
そのため、母子寮がその本来的機能を十分発揮できるよう、市町村等関係機関との連携を十分にとり、地域における母子家庭の実情を把握し、母子寮の有効な活用についてなお一層のご指導を願いたい。
オ 父子家庭への支援について
父子家庭に対しては、従来から育児、家事の支援として保育所への優先的入所、一時的な傷病により日常生活を営むのに支障がある場合等に援助を行う介護人派遣事業、児童の養育が残業等の事由により困難となった場合に児童福祉施設において一定期間、養育・保護する子育て支援短期利用事業等を実施してきたところである。
また、平成8年度より、父子家庭等の子どもが気軽に相談できる大学生等を家庭に派遣し、育成指導等を行う児童訪問援助事業(ホームフレンド事業)等を含む父子家庭等支援事業を実施したところである。
なお、平成10年度予算案では、介護人派遣事業の利用要件を冠婚葬祭等の社会的事由にまで緩和するとともに、特別相談事業の対象範囲を父子家庭にまで拡大することとしている。
各都道府県においてもこれらの事業の広報及び積極的な活用を願いたい。


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