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4 児童自立支援対策について


保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童など、保護が必要な児童に対する自立を支援する施策については、児童相談所や児童委員等の関係機関による相談指導、児童養護施設や児童自立支援施設等の施設や里親への措置等をとおして実施してきたところである。
今回の児童福祉法等の一部改正も、保護を要する児童について、施設において入所保護するだけではなく、個々の児童が個性豊かにたくましく、自立した社会人として生きていくことができるよう支援していくことを基本理念としている。
平成10年度については、この自立支援を基本理念として、施策の充実を図ることとしている。

(1)地域における相談支援体制の整備について

ア 児童相談所の機能強化
改正法により都道府県知事は、施設入所等の措置の決定及びその解除等に当たって、当該措置と児童若しくはその保護者の意向が一致しないとき又は必要と認めたときは、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこととされたところである。
これは、児童相談所における処遇決定の客観性と専門性の向上を図ることにより、児童の最善の利益を確保しようとするものであり、この趣旨を十分踏まえた対応を図られたい。
なお、都道府県児童福祉審議会の運営にあたっては、法律、医療等の専門家を含めた数名からなる専門の部会を設置して毎月審議を行うなど円滑な運営に配慮されたい。
イ 児童家庭支援センターの創設
児童家庭支援センターは、児童相談所等の関係機関と連携しつつ、地域に密着したよりきめ細かな相談支援を行う新たな児童福祉施設として創設されたものである。
児童家庭支援センターは、既存の施設の相談指導に関するノウハウや夜間・緊急時の対応、一時保護等に当たっての施設機能を活用する観点から、地域の中で中心的役割を果たしている基幹的な児童養護施設等の児童福祉施設に附置するものである。
なお、児童家庭支援センターの設置・運営にかかる通知については別途送付することとしているが、児童相談所や家庭児童相談室等の配置状況を十分考慮されたい。
平成10年度予算案においては、児童家庭支援センター10か所分の運営費を新たに盛り込んだところである。
また、施設整備を伴う場合は、社会福祉施設等施設整備費の補助を行うこととしている。

(2)児童養護施設等入所児童の自立支援について

児童福祉法の改正により、児童養護施設(養護施設)等において、施設の目的として「入所児童の自立支援」が明確に位置づけられたことにより、個々の児童の態様に応じた自立支援計画を策定し、入所から退所後を含めた自立のための継続的な指導を行うものである。
そのために、平成10年度予算案においては、措置費の中に非常勤職員の配置と活動費を盛り込んだところである。

(3)児童自立支援施設における学校教育の実施について

児童自立支援施設の入所児童に対する学校教育の実施については、教職員の確保や所要の施設整備など地元教育委員会をはじめ関係者の理解と協力が不可欠であり、ただちに学校教育を実施することが困難なケースもある。このため、当分の間は経過措置として、従来通り施設において学校教育に準ずる教育を実施できることとしているが、関係者の理解と協力を得て、できる限り速やかに、すべての入所児童について学校教育が実施されることが望ましいと考えているところである。
平成10年度予算案においては、各児童自立支援施設での学校教育が早期に実施されるよう、児童自立支援施設、児童相談所、教育委員会等の関係者による学校教育実施の検討会議を新たに設けるとともに、児童自立支援施設において福祉・教育機関の職員が合同で研修を行う学校教育実施促進事業を引き続き行うこととしている。

(4)児童養護施設等における適切な処遇の確保について

児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設における入所児童の処遇に当たっては、個々の児童の態様に応じた適切な処遇が図られることが重要であるが、近年、施設における体罰事件が後を絶たない状況については誠に遺憾であり、平成9年12月8日付児家第28号「児童養護施設等における適切な処遇の確保について」を通知したところである。
施設の指導に当たっては通知文の各事項に留意し、運営指導・指導監査及び児童相談所を通じ、入所児童の適切な処遇の確保を図るとともに、改めて児童処遇の全般的状況の掌握に努められたい。


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