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8.血液事業対策について


(1)献血の推進・普及

 血液製剤の国内自給及び安全性向上のため成分献血及び400ml献血を推進しているが、200ml献血と400ml献血及び成分献血の割合を全国的にみるとかなりの格差が見受けられる。
 各都道府県においては、的確な採血計画の策定を行うなど管下市町村及び各血液センターと十分連携を図りつつ、献血制度推進モデル事業の活用等による効果的な献血推進運動を実施されたい。

(2)原料血漿の確保

 血液凝固因子製剤については、各都道府県等の御協力により一部のバイパス製剤を除き、国内自給が図られているところである。
 平成10年度の原料血漿の確保については、血液凝固因子製剤のみならず血漿分画製剤全体の自給率を向上させることをめざし、原料血漿確保目標量を80万リットルとし、昨年10月の血液事業担当者会議において、その確保をお願いしたところであり、その達成に向けご協力をお願いする。

(3)血液事業の効率的運営

 採血、血液製剤の製造・供給は、一部の地域を除いて各血液センターを単位として行われているため、血液製剤の需要と供給にアンバランスが生じやすく、結果的に献血が有効利用されないおそれがあることから、効率的、合理的な事業運営を行うため、日本赤十字社において、広域的な需給調整について取組が行われているが、各都道府県においても、血液事業の効率的な実施に向けて格段のご指導とご協力をお願いする。

(4)血液製剤の安全性確保対策の推進

 血液製剤の安全性をさらに高めていくため、昨年11月に中央薬事審議会の血液製剤特別部会の下に安全技術調査会を新たに設置し、安全性向上のための技術の在り方等について検討を行っていくこととした。また、PCR法によるHIV検出法の実用化に向けた研究や人工血液の開発研究等を平成10年度も引き続き行うこととしている。
 輸血後GVHD(移植片対宿主病)に関しては、従来より各血液センターにおいて医療機関からの製剤への放射線照射の要請に応えてきたところであるが、昨年12月に日本赤十字社より放射線照射血液製剤の承認申請が行われ、現在審査中である。
 自己血輸血は輸血による危険を避けるために有効であり、その採血及び保存等について専門的技術を有する血液センターの医療機関に対する協力が強く求められており、引き続き管下センターへのご協力方特段のご配慮をお願いする。
 なお、昨年9月より医療機関及び薬局において実施をお願いしている血液製剤に関する記録の保管・管理については、遡及調査を実施する上で必要なことから、引き続き関係機関への周知徹底方お願いする。

(5)血液製剤の使用適正化の推進

 血液製剤の適正な使用を図るため新鮮凍結血漿・アルブミン製剤等の使用基準を定めているが、各都道府県においては引き続き医師等の医療従事者を対象とした使用基準の説明会を行うとともに、二次医療圏の中核病院を対象とした専門家による個別説明会を実施し、使用適正化の一層の推進をお願いする。
 また各都道府県において、地域医療の代表者及び医療機関の管理者等の委員からなる血液製剤の使用に係わる懇談会を設置しているが、平成10年度においても、この懇談会を通じて血液製剤の使用について問題点を整理するとともに、血液製剤による感染症等の発生に関する情報の収集・提供をお願いする。

(6)血液行政の在り方に関する懇談会報告書

 「医薬品による健康被害の再発防止対策に関するプロジェクトチーム」の報告の指摘を踏まえ、平成8年10月に設置した「血液行政の在り方に関する懇談会」では、9回会合を重ね、昨年12月12日に座長から医薬安全局長に報告書が提出された。
 報告書では、人体の組織の一部である血液を原料とし、それ故にウイルス感染等の危険性を孕むこと、さらに国民の善意の献血を用いるという血液製剤の特性を踏まえて、(1)国内自給の推進、(2)安全性の確保、(3)適正使用、(4)有効利用、(5)透明性の確保の5つを柱として施策を推進することとしている。その上で、血液事業に関わる国、地方公共団体、日赤等の血液事業者、医療機関の責務と役割を明らかにし、更に計画の策定、献血量の確保、献血血液の有効利用、医療現場における適正使用の推進などの国内自給推進のための具体策、及び問診の充実、危機管理体制の充実、遡及調査の実施、HIV陽性者に対する検査結果の通知等の安全性確保の具体策を提言している。また、最後には、今日の時代の要請にこたえる新たな法制度の整備を行うことを提言している。
 これを受け、厚生省としては今後法律による対応が必要なものについては所要の法的措置を講ずるべく、今通常国会への法案提出を念頭に現在検討作業を進めている。また、法律による必要がない事項についても早急にその具体化を図ることとしている。
 各都道府県においても、その趣旨を十分ご理解の上、献血の推進をはじめとした今後の血液事業の推進に対するご協力をお願いする。



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