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臓器移植対策室

1. 臓器移植対策

 死体腎の腎臓移植については、平成7年4月から、社団法人日本腎臓移植ネットワーク(現、社団法人日本臓器移植ネットワーク)本部とその全国7ヶ所のブロックセンターを中心として、移植情報を移植実施施設から分離、移植情報の流れを全国レベルにおいて一元化するなど、公平かつ適正な腎臓移植ネットワークを整備し、腎臓移植の円滑な推進を図ってきているところであるが、「臓器の移植に関する法律」が、昨年10月に施行されたことに伴い、脳死体からの、心臓・肝臓等の多臓器移植が可能となり、既存の社団法人日本腎臓移植ネットワークに多臓器移植に対応した新たな機能を付加することによって、臓器移植ネットワークへと拡充を図ったところであり、更に体制整備に万全を期すよう関係機関のご協力を賜りながら、全力を尽くしたいと考えている。
 また、毎年10月の腎移植推進月間において、国民に対して腎臓移植に関する各種の普及啓発事業を行っているところであるが、平成10年度においては、10月に第13回腎移植推進国民大会を広島県において開催する予定であり、引き続き腎臓移植の普及啓発に一層のご協力をお願いするとともに、併せて、多臓器移植についても、理解をより一層深めていただくよう普及啓発活動にご協力をお願いする。なお、この腎移植推進月間を多臓器移植の推進月間へと拡大していくことは今後の検討課題であり、関係団体等との協議が必要と考えている。
 角膜移植については、献眼思想の普及と角膜移植の推進を図るため、全国50ヶ所のアイバンク及び財団法人日本眼球銀行協会を中心に、国民対して理解と協力を呼びかけているところであり、各都道府県におかれても角膜移植の普及啓発、移植の推進についてご協力をお願いする。なお、昨年4月の診療報酬点数表の改定に伴い、その安全性の確保等のために、あっせん手数料を90,000円に引き上げたところであり、今後も感染症の発生防止等について周知徹底されるようお願いする。
2.骨髄移植対策

 白血病や重症再生不良性貧血等の血液難病患者に対する有効な治療法である骨随移植の推進を図るため、平成3年12月から「日本骨髄バンク」事業を実施しているが、当該事業の円滑な推進には骨髄提供者の確保が最重要課題である。事業開始以来満6年を経過した平成9年12月末現在、全国で約9万人の方々に骨髄提供の希望登録を行っていただいているところである。特に毎年12月は「骨髄バンク推進月間」としており、骨髄バンク推進全国大会を開催する等骨髄提供者募集のための全国運動を積極的に展開することとしている。各都道府県におかれては従前より普及啓発活動等により当該事業の推進に御協力いただいているところであるが、来年度においても一人でも多くの方に骨髄移植の機会を提供できるよう一層の普及啓発等に御尽力願いたい。
 また、「骨髄ドナー休暇」制度については、既に全ての都道府県において制定されているが、市町村においていまだに制定されていないところもあるので、その制定につき御理解、御協力くださるよう市町村に対する御指導のほどよろしくお願いいたしたい。
 さらに、平成6年度から実施をお願いしている一部保健所におけるドナー登録受付事業については、各都道府県の御協力により今年度から全都道府県で実施されることなりましたので御礼申し上げるとともに、一層の受付事業の充実をお願いする。また、多くの骨髄提供希望者を確保するため、骨髄バンク推進月間や各都道府県で開催する各種イベントに併せて臨時に土日における登録保健所の開設も併せてお願いいたしたい。
 なお、日本骨髄バンクは、骨髄移植を望む患者の移植の機会を拡大するため、平成9年4月より、全米骨髄バンクとの提供希望者の相互検索等の事業を開始したところであり、去る9月24日には、日米間における移植第1例が行われたところである。今後は、台湾・韓国などのアジア諸国をはじめ世界各国の骨髄バンクとも協力関係を推進していいくこととなっている。

3.臍帯血移植

 臍帯血移植とは分娩後、通常は破棄されていた胎盤及び臍の緒に含まれている臍帯血を採取し、その中に含まれている造血幹細胞を移植して、造血機能を再生させる方法であり、白血病や再生不良性貧血等の血液難病の有効な治療法として研究されているものである。我が国では平成9年9月現在26例(うち6例が非血縁者間移植)の移植が実施され、各地の研究者を中心に8つの臍帯血バンクが設立されている。この移植は、採取量が少ないものの骨髄提供者の侵襲を伴わない、増殖能が高く拒絶反応が起こりにくい等の利点を有しており、地方議会等から公的臍帯血バンクの設立等を求める意見書が多数提出されている。厚生省としてもこの移植の利便性を十分認識しており、今後全国的に推進するため、平成8年12月24日に保健医療局及び医薬安全局両局長の私的検討会として「臍帯血移植検討会」を設置し、技術面並びに運営面について幅広く検討をすることとしている。折しも平成10年1月19日に第1回目の本検討会が開催されたところである。



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